2021年4月。コロナウイルスが蔓延(まんえん)し、マスク生活が続く中、みなさんは天使幼稚園に入園してきました。感染を予防するため多くの制約がある中での幼稚園生活のスタートになりました。お誕生会は大勢の人が集まるのを避けるため、誕生日の人だけ集まって、園長先生の「でかでか紙芝居」を見てもらいました。運動会は3クラスずつ2日に分けて開催。秋の遠足の代わりに「おむすびころりん」の人形劇の鑑賞教室を開きました。でも12月のクリスマス会は年少さん全員で「サラダでげんき」の劇をすることができました。
年中さんになった時もまだコロナウイルスの流行は続いていましたが、先生たちは知恵を出し合いながら感染対策を講じ、遠足を再開するなど、前の年にできなかったことを少しずつできるようにした1年間でした。
そのころのみなさんは、「ぼく4さい。」「わたしも、4さい。」と、よく自分の年を教えてくれました。また、「ねんちゅうさんだから、できるようになったよ。」と、年中さんになってからできるようになったことを、たくさん話してくれました。一人ひとりの成長の様子を見ても、できることがいっぱい増えていました。
それから1年以上が経ち、みなさんができるようになったことは、もっともっと増えていますね。日本地図のおしごとが終わり世界地図に取り組んだ人。難しい折り紙がすいすいできるようになった人。鉄棒で前回りだけでなく、逆上がりもできるようになった人やボールを投げたり取ったりするのが上手になった人。また、自分でたくさんの本を読むことができるようになった人やお友だちがいっぱい増えた人……。この1年を振り返ってみると、できるようになったことがいっぱいいっぱい見つかるのではありませんか?
4月からみなさんは1年生。幼稚園時代とは時間の使い方も、勉強への取り組み方も大きく変わります。さらに学年が進むにつれて、それまでは、新しいことに挑戦しても簡単にできていたことが、だんだんできるまでに時間がかかったり、できなくなったりする経験が増えていきます。
でも、簡単にできないことが増えてきた時こそが、みなさんにとって大きく成長するチャンスです。
「人間に必要なのは困ることだ。絶体絶命に追い込まれたときに出る力が本当の力です。」
これは本田技研工業の創立者、本田宗一郎さんのことばです。困難に出会ったとき、そこであきらめることなく、どうすればできるようになるかを考えたり、先生やお家の方、友だちに相談したりしながら、「絶対にできるようになるぞ。」という強い心を持って取り組むことを通して、困難を乗り越える力がついていきます。そして、その力が、みなさんがおとなになった時に役立つものです。
マザー・テレサは、私たちに神さまからのメッセージを伝えてくれています。
「神様は私たちに、成功してほしいなんて思っていません。ただ、挑戦することを望んでいるだけよ。」
できるようになることではなく、できるようになるために挑戦すること、そして努力することこそ大切だという教えです。
小学校に入ってから、そして中学校、高等学校、大学などに進む中、たくさん困難なことに出会っていくことでしょう。でも、そこで負けることなく、自分にはできるようになる力があるんだと自分を信じ、高い目標に向かって進むことを続けてみてください。
「夢見ることができれば、それは実現できる。いつだって忘れないでいてほしい。」(ウォルト・ディズニー)
(園長 鬼木 昌之)