天使幼稚園

カトリックの精神に基づいて未来を生きる子どもたちを育てます

<園長だより5月号>あなたたちのがんばりを

2019年04月24日 08時03分58秒 | 園長だより
「あなたたちのがんばりを」

 先日行われた東京大学の入学式での上野千鶴子さんの祝辞が話題になっています。
「あなたたちは、がんばれば報われると思ってここまで来たはずです。ですが、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。」
と、大学合格者の男女比などを例に挙げ、社会には不公平なことが数多く存在することを学生たちに伝えました。

 そして「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。がんばる前から、『しょせんおまえなんか』『どうせわたしなんて』とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶(おとし)めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。」
と、弱い立場の人たちのことを思い、他者のために自分の力を役立ててくださいと呼びかけられました。

 さらに「そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。」
と、ありのままの自分や他者を受け入れることの大切さを教えてくださいました。

 上野さんは女性学の立場からこのお話をされましたが、その中心にある思いは、今から2000年前、私たちに大切な掟を示してくださったイエスさまの教えと同じものでした。

「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネによる福音書第13章34節)
イエスさまは常に弱い人に目を向け、助けてくださいました。そして人々にもイエスさまと同じように、弱い人を大切にしなさいという新しい掟を示してくださいました。

 また、「キリストにより、体全体は、あらゆる節々が補い合うことによってしっかり組み合わされ、結び合わされて、おのおのの部分は分に応じて働いて体を成長させ、自ら愛によって造り上げられてゆくのです。」(エフェソの信徒への手紙4章16節)
と、イエスさまにつながった私たち一人ひとりは、それぞれが異なる役割を担った掛け替えのない存在であり、互いに助け合っていくことが素晴らしいことなのですということを教えてくださいました。

 上野さんは、最後に「これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。」
と、これからの学び方を示して祝辞を終えられました。未来を生きる子どもたちのみならず、私たち大人も、自分の「がんばり」を、人のために使える社会にしていきたいものです。

     (園長 鬼木 昌之)
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