天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

国定忠治の肖像

2015-08-25 | Weblog
 下記のアドレスに国定忠治の肖像がありますので、
 ご覧頂ければ幸いです。
 http://www.tochigi-edu.ed.jp/center/bunkazai/bunkazai/list/274.htm

 これは、「赤城録」と言う和綴本に載せられている国定忠治の肖像です。
 「赤城録」は、忠治の伝記を記した小冊子ですが、
 この口絵は、栃木県指定の文化財にもなっています。

 国定忠治は、江戸時代後期の侠客ですが、実在の人物です。
 本名は長岡忠次郎、
 上州佐位郡国定村(現在の群馬県伊勢崎市国定町)で生まれた事から、
 このように名乗っていたようです。
 1851年1月22日(嘉永3年12月21日)、関所破りの罪により、
 上野国吾妻郡大戸村大戸関所(群馬県吾妻郡東吾妻町大戸)に移送され、
 その地で磔の刑に処せられました。享年は41歳と伝えられています。

 この忠治像を描いたのが、足利の画家の田崎草雲です。
 江戸で、谷文晁の門下に入って絵の修行を行うとともに、
 梁川星厳との交流もありその影響から尊皇思想を抱いていました。
 足利藩に帰ってからは、藩の絵師となりますが、
 藩論を尊皇に統一し、
 藩内の百姓を徴兵した「誠心隊」の差図役にもなっています。
 明治維新後、1876年の第1回内国勧業博覧会へ画を出品し、高評を得た外、
 1890年には、最初の帝室技芸員になっています。
 草雲は、山水画の研究のために旅行を繰り返し、
 剣客・博徒との交際も深く
 中山道の大親分の信濃屋喜兵衛の残した文書によると、
 甲州では博徒の竹居安五郎宅に宿泊するなど、
 「亦諸国貸元親分衆に詳しきもの」とされています。
 そして、国定忠治とも会った事があるようです。

 上記の肖像画は、忠治に会った事のある人が描いたものとして有名です。
 もちろん、草雲は忠治を写生した訳ではなく、
 忠治の死後、思い出しながら描いたようですが、
 当時の一流の絵師が描いた絵ですから、
 その風貌をよく捉えているものと考えられます。
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2 コメント

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Unknown (時代錯誤)
2015-08-27 21:19:07
岩波新書に「国定忠治」がありまして、それを面白く読んだ記憶があります。それに拠ると忠治の活躍した舞台は上州国定村の近辺で、渡良瀬川の河川敷に展開する流れ地と呼ばれる、無税の土地で栽培されている桑を本にした養蚕業をめぐる争いで、土地の顔役をある諍いから殺しをやる。つまり、侠客どうしの勢力争いということになります。

忠治はある意味無鉄砲のようで居て、大変に義侠心に富み、自分より弱い者に決して手を出す事は無く、飢饉の時などは、自分の資財の大半を投げ打って助けたといいます。灌漑が必要な時に資金の出所が無く困っている時には、忠治が持ち金を拠出したと言われています。当時、渡良瀬川の川筋には流れ地が多々あり、其処を桑畑にして養蚕業が盛んに成ったと言われています。この富をめぐってヤクザ侠客が横行するのが、当時の新田郡でした。国定忠治の家は、遠い昔には足利尊氏と戦った新田義貞の家臣団の一人で、今は百姓に成っては居るが血筋は名家に連なるという。ですから武道の心得は常に持っており、そういう意識を忠治は気持ちの底に持って居たかも知れません。

関東取締り出役に追われて赤城山に立てこもります。当時最新式の鉄砲を装備し、火縄銃の出役たちを恐ろしがらせるほどの戦力を持って居たと云われています。忠治は凶悪な人物に描かれていますが、史実はそんなことは無く、義侠心にあふれた筋を通す見所のある人でした。もう少し後の時代に生まれていれば、藍玉で富を築き、尊攘倒幕の志士として高崎城をクーデターで乗っ取ろうとした若き日の渋沢栄一にも連なる事があったろうと思います。
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有難うございました (天然居士)
2015-09-07 18:15:20
時代錯誤さん コメント有難うございました。

なるほど。
国定忠治は相当な人物だったのですね。
彼が処刑された罪は関所破りでしたから、様々な活動とはかけ離れた感じがしました。

その割には田崎草雲の描く国定忠治は、いかにも博徒の親分のような気もしますが、人間は見かけではないのかも知れませんね^^
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