天然居士のとっておきの話

実生活には役に立たないけど、知っていると人生が豊かになるような話を綴りたいと思います。

正村ゲージ

2013-11-01 | Weblog
 正村ゲージと言う言葉を御存知の方は、余りいないと思います。
 ゲージとは、本来は長さや重さを測る測定器の事ですが、
 そこから転じて、色々な意味があります。

 ここでは、パチンコ台の釘の間隔、
 あるいは釘の配置全般と言う意味で使います。

 この正村ゲージは、第二次世界大戦後の1948年(昭和23年)頃に、
 名古屋市西区で遊技場を経営していた正村竹一が考案したものです。

 それまでのパチンコ台は、入賞口は多かったのですが、
 釘は均等に打たれ、玉は単調に上から下にただ流れ落ちるだけでした。
 正村は、釘の配列に工夫を凝らし、
 上下左右にめまぐるしく飛び交うように発案します。
 入賞口を少なくし、釘の本数も大幅に減らしました。
 現在のパチンコ台にもある、天釘、傘釘、袖釘、袴釘などは、
 全てこの正村ゲージが原型となっています。

 正村ゲージでは、パチンコ台の一番上にある4本の天釘の
 一定の場所に玉を当てれば入賞口に入る確率が高まり、
 玉をはじく人の技術が問われることになります。
 また、玉の動きはスピーディで変化に富み、
 穴に入るかどうかのスリルを楽しむ事ができました。
 こうした事が人気を集め、正村の遊技場は連日満員の盛況となります。
 これを見た名古屋の遊技機メーカーも
 正村式パチンコ台を大量生産した結果、
 全国に波及し、名古屋はパチンコの発祥地と言われるようになります。

 正村竹一はこのゲージ構成を特許申請せず、
 他業者が無償で模倣するのを黙認します。
 そのため、晩年の正村は考案者として歴史に名を残しても
 金銭的財産は其れ程残せなかったと言われています。
 しかし、もし彼が特許を取っていたら、
 現在程のパチンコの隆盛はなかったであろうとも言われています。
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