つらつら日暮らし

仏教、禅宗を学ぶ曹洞宗の禅僧によるつらつらなる日暮らし。時事ネタ、野球ネタもあります。

大正期日蓮宗の得度作法について

2018-09-19 09:26:02 | 仏教・禅宗・曹洞宗
日蓮宗も江戸時代の慧明院日燈(1642~1717)が著した『草山清規』を始め、法式の整備が進み、その到達点の1つが北尾日大(1877~1946)著の『日蓮宗法要式』(平楽寺書店・大正10年)であったらしい。なお、北尾は近代戦前期に至るまでを主たる活動期とし、戯曲の制作など多方面に功績を残した。

それで、先日アップした【日蓮聖人の説く菩薩戒】でも、日蓮宗の得度作法について不透明さが残ると指摘したこともあるから、『日蓮宗法要式』「第二篇 特殊法式」に収録された「(六)得度式」を見ておくことで、その辺を理解しておきたい。

一 三宝礼
二 読経
三 奉告文
四 祖訓
五 浄髮
六 読経
七 授戒
八 授服
九 授名
一〇 答辞
一一 発唱
一二 唱偈
一三 読経
一四 祖訓
一五 唱題
一六 宝塔偈
一七 回向
一八 四誓
一九 三帰


以上である。内容からは、我々曹洞宗にも共通する内容が複数見られる。ただし、不思議に思える箇所もある。以下に箇条書きとして示しておきたい。

・授戒は以下のような遣り取りである。
〔導 師〕今身より仏身に至るまで、本門の妙戒、能く持んや否や。
〔得度者〕能く持ち奉る、南無妙法蓮華経。
※以下、「本門の本尊」「本門の題目」と続き、具体的な戒本が無い。

・授服は何を授けるかが不明。
・授名は「安名」授与に相当。
・何故か「三帰」は授戒に含まれず、儀式最後に唱える。
・「血脈」授与は無い。


以上であろうか。とにかく、「授戒」といいながらも、具体的な戒本が無く、「三帰」すらも含まれないというのは、或る種の驚きである。また、式中にある「祖訓」2回や「唱題」「宝塔偈」というのは、我々曹洞宗には一切存在しないけれども、出家の功徳を説くものと、『法華経』帰依を示すものであるといえる。

また、「四弘誓願」は他宗派でも出家時に唱える儀礼が存在しているため、珍しい印象はない。しかも、それは授戒が終わってからということになるだろう。

簡単に見てみたが、曹洞宗とはその思想的意義も何もかも違う印象であった。しかも、天台宗・浄土宗系の菩薩戒による出家儀礼に還元できない内容であった。曹洞宗も略作法を基本とし、その点では日蓮宗にも共通しているが、日蓮宗はおそらく、先に挙げた諸宗派の儀礼を参考に、独自に作ったのであろう。

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