つらつら日暮らし

仏教、禅宗を学ぶ曹洞宗の禅僧によるつらつらなる日暮らし。時事ネタ、野球ネタもあります。

「登壇」の語について(2)

2018-03-07 22:28:55 | 仏教・禅宗・曹洞宗
昭和初期の文献ではあるが、黄檗宗の授戒会の作法について記した『戒会須知』(黄檗堂・昭和11年)から、「登壇」という語について考えてみたい。

そこで、戒弟の登壇については以下のようにある。

  授与度牒
 従来、度牒授与に就ては相等差謬を免かれす故に、戒弟をして番号の記入したる受け紙を渡し(半紙を縦に折り中央に三宝の印を押し右端に番号を記入す)合掌したる大拇指の間に挿ましむ、愈戒牒を授与せむとする時、書記長は登壇問訊して戒師前卓の上にある戒牒全部を奉戴して東階に下り、戒弟の登壇し来る者の番号と戒牒の附箋の番号と誤りなきやを調査して衣鉢師に渡す、衣鉢師は是を戒師に渡す、戒師は是を炉上に薫じて戒弟に渡す、直壇師は合掌して東単の戒頭師并に戒弟を雁行せしめ、是を引て東階より登壇す、戒師の前にて朝上し低頭して西階に下り、逐次登壇雁行交斑して戒牒授与の終るに至りて、原の座席に還るべし。
    前掲同著、13~14頁


このように書かれている。それで、おそらく曹洞宗の『血脈』が、黄檗宗でいうところの『度牒』『戒牒』に該当するものと思われる。そもそも本書は在家者への授戒について説かれたものである。よって、ここから黄檗宗では授戒の証しとして、『度牒』『戒牒』を授与していたことが分かるのである。なお、項目名は『度牒』だが、内容は『戒牒』なので、この両者は同じ物を意味しているのだろう。

それから、上記の内容を補完して説明すると、この時に授けられるのは、「三帰戒」「五戒」のみであり、曹洞宗が行っていたような、菩薩戒(三聚浄戒・十重禁戒)の授与は行われていない。しかし、だとすると、在家者相手の、いわゆる正式な「白四羯磨」を要しない授戒であるはずなのに、わざわざ「戒壇」を用意していたことが分かる。

この辺については、元々そうだったのか?それとも、曹洞宗で江戸時代には行われていた「登壇」が、こちらにも影響したのか?その辺について、正しく見極めねばならないのだが、記事を改めて考察したい。

そして、上記内容に於ける「登壇」だが、曹洞宗でいうところの「『血脈』授与」として行われている。そのためだけに、戒弟は順番に登壇し、戒壇上で戒師から『戒牒』を授与されているのである。それは正確に理解しておきたい。

また、本書で示す「戒壇」だが、図が挿入されているので、その部分のみ引用してみたい。



現行の曹洞宗の「戒壇」とは、随分と様相を異にするし、また、「登壇」についても、曹洞宗は戒師などと入れ替わりで戒弟が登る様子となっているため、勿論比べるべくもないが、しかし、こちらの黄檗宗の方が、本来の「戒壇」に近いことは明らかである。その意味で、やはり江戸時代の黄檗宗と曹洞宗の実際の様子を検討することが、余程大事になると思われる。

それはまた、次回以降の記事で行っておきたい。

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