つらつら日暮らし

或るカルトからの上映会のお誘い

知り合いのご自宅に、仏教映画の上映会についてのご案内が来ていたらしい。東京都内のことである。それで、拙僧に「これは何だ?」と尋ねてきたので、早速その案内チラシの画像を送っていただいた。

第一の感想、「あぁ・・・彼らですか」というもの。第二の感想、「アニメ、全6回もやるんだ。見るのも大変だな」というもの。なお、その送って下さった相手には、「危ないから、絶対に行かない方が良い」といっておいた。先方は「もちろん、行く気は無いけど、こういう案内は珍しいから天神さんに聞いてみた」ということであった。

ということで、その画像であるが、当方にて部分的に加工して掲載した。それがこれである。



なお、標題は「なぜ生きる―苦しくとも生きねばならぬ理由は何か」というものである。そして、「親鸞聖人の生きざまをアニメーション映画で学ぶ」と書いてある。拙僧は実は、「標題」の段階で、このチラシの発行元を理解した。これは、本部が富山県射水市にある、浄土真宗親鸞会という会のチラシである。

この会については、色々な話がある。例えば、次のブログ・サイトをご覧戴きたい。

さよなら親鸞会
なぜ私は親鸞会をやめたのか
浄土真宗親鸞会被害 家族の会
親鸞会を脱会した人(したい人)へ
飛雲 ~親鸞会の邪義を通して~


それで話をまとめると、拙ブログでは以前に【或る法論の現場】という記事も書いているが、この会は、元浄土真宗本願寺派僧侶であった高森顕徹氏が設立し、代表を務める。教義的には「親鸞聖人の教えを学ぶ」と自称しているが、その絶対他力の発想とは相容れず(または、それを正しく信じるためと称して)、阿弥陀仏の本願力が問われずに、信者に対して「地獄に落ちる」などが多用されているという。

よって、その教えは、脅迫的内容であり、悪から逃れるために会員に対して「善行」を勧めている。この「善行」とは、実質的には教団への献金(敢えて、布施とはいわない)などを意味しているので、かなり危うい教団である。一説には、カルトであるともいう(宝島社『カルトの正体。』参照)。そして、活動的にも本願寺やその関係者・関係寺院に対しての、嫌がらせに等しい示威活動などを行っているようで、正直いって褒められない。

この教団のトップである高森氏は、何か発言する度に、アンチ高森氏の人達が、細かく解説してくれているので、とても助かるのだけれども、とりあえず会の名前こそ「親鸞会」ではあるが、客観的・学術的に公平な視点から見て、高森氏の言っていることは「断章取義」的であり、本来の親鸞聖人の意図に契っているとはとても思えない。

ただし、この会の悪質なところは、彼らの公式サイト(敢えて、リンクはしない)の副題に「分かりやすい仏教の勉強会を全国で」と書いてあるように、仏教について分かりやすさを前提にして説くことを主眼とした勉強会の実施、或いは講師の養成を行っていることである。なので、この会の「実態」を知らない人が、勉強会に参加したり、講師のブログの読者になってしまったりする。或いは、ブログ・サイト等のリンクをSNSなどで拡散したりする。大学でも知らずに講師で雇おうとしたりする・・・等々。あ、こんな記事もある。

淑徳大学、親鸞会講師の講座を事前に中止(やや日刊カルト新聞)

耳障りの良い言葉だけを並べ、初心者向け、分かりやすさ、それが良い仏教の話なのだと勘違いしていると、こういうことになってしまう。

それで、今回の「公開上映会」についても、その「仏教を分かりやすく伝えるため」に作られた映画らしい。全6回で、テーマも「何のために生きるのか?」「人は死ねばどうなるのか?」「苦しみの元はどこにあるのか?」「『歎異抄』の意味とは?」「お釈迦さまは何を教えられたのか?」「亡くなった人の供養はどうすればよいのか?」「親鸞聖人が90年の生涯で教えられたことは?」となっている。それを親鸞聖人の全生涯を通したアニメ映画の形に変えて、伝えようという趣旨のようである。しかも、参加を勧める文章にも「分かりやすい解説もありますので」とある。

だが、この「解説」というのが、実はくせ者である。ここに、その「解説を作る人」の「恣意」が入ると、内容はその本来の主旨から外れ、別の方向に行ってしまう。先に挙げたような「テーマ」は、実のところ、数学・科学のような意味での客観性が伴った「回答」があるわけではない。無論、「普遍性」があるのだが、それは「信念」に基づいて構築されるそれであるから、注意が必要である。この「普遍性」と「客観性」を混同すると、「仏教は科学である」とかいう謎の言明になる。

しかし、仏教も明らかに、特定の信念体系に基づいていて、初めて意味のある教えである。よって、そのことを、説く側も或る種の倫理として身に付け、聞く相手にもそう理解させねばならない。いたずらに自説のみを客観性などで「正義」とし、他を主観的な「邪義」だとして非難するようなマネをするべきではないのである。所詮は、主観と主観のぶつかり合いだ。

それにしても、先に掲載したチラシではその部分を加工してしまったが、今回の企画、開催場所は、一応「公的施設」である。とはいえ、最近ではそういう施設も、別の運営会社が入って行う場合もあり、或る意味、貸し会議室状態である。ただ、それを知らない人は、「公的施設」を使っているというだけで安心する場合があるかもしれない。また、主催についても共催についても、この「親鸞会」であることを隠している。

今回の場合、主催は「親鸞聖人に学ぶ会」、共催は「(株)チューリップ企画」となっている。前者は実態は良く分からないが、しかし、確実に親鸞会であろう。また、後者については【(株)チューリップ企画と浄土真宗との関係を教えてください。-Yahoo!知恵袋】などから、親鸞会関連の組織であることが知られる。同社のサイトを見ると、本当にこれでもか、というくらいに「やさしい」という言葉が連呼される。しかし、却って怪しい。だいたい、良く考えて欲しい。そもそも仏教は、かのゴータマ・ブッダが、6年とも12年とも言われる修行期間を経て、ようやく体得した真理である。それがそんなに「分かりやす」かったり、「やさし」かったりするのだろうか?ブッダ自身の教えは、一見するとそう見える。だが、それは、相手に合わせた説法なのであって、その都度教え方を変えている。そして、本人にはそれで良いのかもしれないが、関係なく、後にただ仏典を学ぶ際には、色々と混乱を来す。

そういうことを思う時、要はこの会のいう「やさしさ」や「分かりやすさ」というのは、ただの宣伝文句なのである。分かり難い教えを、分かりやすく説くのは、詐欺師の仕事である。分かり難い教えを真摯に分かり難く、しかし粘り強く説くのは、宗教者の仕事である。この点を誤解してはならない。そして、結論としては、こういう勧誘に引っかかってはならない、ということである。無論、自分の人生も家族も破滅させたいのならば、話は別だ。

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コメント一覧

おさごえ民家園
親鸞聖人に学ぶ会ってなんだ?
おさごえ民家園と旭公民館で開催するアニメ上映が同じ名前です。
しかしおさごえ民家園の電話対応の人は場所を提供しているだけとのこと。
善悪なんて誰が決めるんですか、とも言われた。
旭公民館の方は調べるといってくれました。

手元にあるチラシにはチューリップ企画という字も一万年堂出版という字も浄土真宗親鸞会という字もありません。
仏教専門の講師、読者10万人の仏教月刊誌を発刊している創業20年の出版社、学びやすいテキスト、第3巻、アニメ上映会、という語句はありますが、不鮮明ですし不誠実な表記です。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> おさごえ民家園 さん

この記事は、同様のチラシが配布されると、一気にヒット数が上がります。是非、この記事を参照して、皆さん自身が冷静に判断されることを願います。
あやしげ
親鸞聖人全生涯アニメ上映会
同様のチラシ(前半2/3位は全く同内容)が2018/12/6和歌山市内に配布されました。主催:阪和親鸞聖人に学ぶ会 と書かれ、電話番号と名前?が書かれているだけで、主催団体の詳細不明。やはり会場は公的会館。しかも聖人の紹介欄に「(前略)無人島に1冊持っていくとすれば、親鸞聖人の「歎異抄」(後略)」とある。揚げ足をとるようだが歎異抄の著者は唯円。かなり怪しいと思って検索、こちらのコメントを発見。やはり・・・! チラシの左下には小さな文字で「自由なお志を受け付けております。」とあり、被害者が出ないことを祈るばかりです。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> あやしげ さん

和歌山県でも、御坊市の関係で、真宗の門徒さんが多いでしょうから、気を付けていただきたいものです。
風月
親鸞上人への憧れ
http://blog.goo.ne.jp/fugetu3483
善良な人々は、親鸞聖人への憧れがあるように思います。信頼もあるでしょうから、上人のお名前を騙ったこのような会は、気をつけなくてはなりませんね。
そのうち道元会などと、立ち上げる人も出るかもしれません。カルト集団をチェックする体制は、純粋な若者たちが巻き込まれないためにも必要です。オウムの若者たちも地獄におちると脅されて、抜け出せなかった人も多かったようですから、気の毒といえば気の毒です。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> 風月 さん

ご指摘の「道元会」は、意外と宗派内にあるような気がしておりますが、さておきまして、カルトへの対策は、解消されることなき、常なる課題です。かの、花園大学の某先生も、一時期騙されていたそうですし・・・
やっぱり。
兵庫県在住のわが家のポストに同様のチラシが入っていました。
特におかしな表記もないのですが、なぜでしょうね、すぐに「なんかあやしい」と思い、ネット検索をしてこちらにたどりつきました。
今回のチラシでは連絡先に個人の携帯番号が書いてあるだけでした。

でも、仏教を正しく普及しようとしている団体さんも、これぐらい積極的にしてくれたらな(笑)。
私もたまに「説教とか説法とか聞きたいな」、と思いますもん。。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> やっぱり。 さん

> 兵庫県在住のわが家のポストに同様のチラシが入っていました。特におかしな表記もないのですが、なぜでしょうね、すぐに「なんかあやしい」と思い、ネット検索をしてこちらにたどりつきました。今回のチラシでは連絡先に個人の携帯番号が書いてあるだけでした。

ご指摘ありがとうございます。問題は、「おかしな表記も無い」のに、「あやしい」ということです。そして、そのイメージ通りに怪しいのです。無論、信教の自由がありますから、こういうことは言いたくないのですが、被害者が出たり、裁判が多いという教団については見過ごすことが出来ません。

> でも、仏教を正しく普及しようとしている団体さんも、これぐらい積極的にしてくれたらな(笑)。私もたまに「説教とか説法とか聞きたいな」、と思いますもん。

お住まいの地域については存じませんが、結構ちゃんと調べてみると、説法会しておりますけどね・・・拙僧が住んでいる地域では、朝刊に毎週、説法会の日程(各宗派)が載っていますね。
のんちゃん
こんにちは。
東京都の西側、多摩地区在住です。
本日チラシが投函されていました。
上映場所は二ヶ所で両方とも市内の公民館です。

子どもが浄土真宗の幼稚園に通っているので親鸞様にはいつも親しんでいます。
が、チラシを読んでも目的がよくわからず、案内もなんだかおかしいです。
何がおかしいのか具体的に申し上げるのは難しいのですが、とても違和感のあるチラシです。

主催の方の携帯電話番号が載っているだけで地域のお寺さんでもないですし、いろいろすっ飛ばして突如として現れたのが不思議です。
聴講したければまずは地域のお寺さんでしょうから。
これによって地域のお寺さんが誤解を受けるようなことがなければいいのですが。
tenjin95
コメントありがとうございます。
> のんちゃん さん

相変わらず各地で上映会をしているようですね。

今後の様子についても、注意深く見ていかねばならないと思っております。
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