つらつら日暮らし

今日から秋の彼岸会(令和元年度版)

今日から秋の彼岸会である。23日の御中日を含めた前後7日間が該当する。成立経緯などについては、【彼岸会―つらつら日暮らしWiki】をご覧いただければ良いと思うのだが、日本で始まった行持であり、中世以降は庶民が善行を積む機会を得るために行われていた。

ところで、以前から拙ブログで何度か採り上げている三田村鳶魚編『江戸年中行事』(中公文庫・昭和56年)を見ていたところ、少し気になることがあったので、【江戸時代の彼岸会の様子】という記事で書いたこともある。近世の江戸では「六阿弥陀詣で」と称して定番化されたイベントだったらしい。

曹洞宗でも、各地の習俗に従って彼岸会をしていたようだが、いわゆる叢林行持としては立項されず、以下のような記述があったことが知られている。

彼岸会の事は諸清規に見る処なし。故に本規も亦之を掲載せず。然れども朝廷已に春分秋分を以て皇霊祭を修し玉ふことなれば、僧侶は無論、旧慣に拠て二期の彼岸に臨時の法会を営み、開山世代及び檀越の亡霊を普同供養し、且つ毎日説教を修して可なり。
    『明治校訂洞上行持軌範』「年分行事」巻末「春秋二季彼岸会」、カナをかなにするなど見易く改める


このように、江戸時代までの清規には、彼岸会のことが書いていないとしているのである。そのため、『行持軌範』でも明治期に作られた最初のものには、載っていないのである(昭和には『昭和改訂曹洞宗行持軌範』[昭和25年]で立項された)。それで、気になるのは、上記一節で、朝廷が春分・秋分に「皇霊祭」を行っていることを承けて、我々も行持をすべき、という立場であったことである。

皇霊祭とは、以下のようなものであった。

春分秋分の二節は、歳の内にて昼夜平分の時なれば、いつはあれども殊に此二節を以て歴代 天皇の皇霊を祭らせ給ふ也。
    内藤耻叟『大祭祝日義解』博文館・明治24年、25頁


これだけだと、皇霊をお祀りする理由がちょっと分からない。ただ、昼夜平分(要するに、春分・秋分は中夜の長さが一緒)ということになるようだが、それが何故、皇霊に繋がるかが書かれていないのである。まぁ、春分・秋分はその昼夜等しいという特殊な日付から、太陽神に関する信仰等や、日の出・日の入りが真東・真西(特に西方)に関することもあって、関連する行事が構築されたように思われるわけである。

この祭は 今上天皇陛下が、歴朝の皇霊を合せ祭りたまふ国忌なり。
歴朝天皇の霊を祭らるゝこと、中古の制、詳に知りがたしといへども、後に御年忌祭・御正辰祭と称し、一歳の中、数百度の御霊祭を行はせたまひしこと有りき、維新の後に至り、種々御経歴ありし上、かくては祭事頻繁に過ぎて、国儀と為すに堪ふべからざるを以て、明治十一年六月五日、令して 歴朝の皇霊をば、春分秋分の二季に合祭する事と為し、之を永例としたまひき、此の日宮中に於て行はせらるゝ儀式左の如し〈以下、「皇霊祭次第」は略記〉。
    池永厚『祝祭日衍義』普及舎・明治24年、53~54頁


ここから何となく分かってきたことは、やはり皇霊を祀るという行事そのものは、中世の頃には良く分からないものだったようで、しかし、後には歴代天皇の忌日・生誕日の両方を祀るようになったのだが、明治天皇で既に122代目であったことからも分かるように、一年の内に数百回も行事を行うようになると、その煩瑣な様子が他の行事などを圧迫したのであろう。そのため、明治11年以降は、歴代天皇の皇霊を、春分・秋分の二季に併せて祀るようにした、ということらしい。

元々が、年忌・生誕祭という2つの行事だっただけに、年に一度というわけにもいかず、しかも、お盆や正月には他の行事もあることから、手薄な春分・秋分が選ばれた、ということのようである。

ということで、皇霊祭については分かったが、問題は我々が行う彼岸会である。結局のところ、庶民も含めた信仰としては、仏教的な善行を行って貰う、というのが基本になる。よって、最たる善行として、お墓参り、お寺参りなどがあるわけである。その基本を忘れずに、是非、勤めていただきたい。

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