チャウ子のそれでも本を読むのだ

チャウ子のごった煮風500字読書日記
地味に更新中^^;

サバイバル会計学

2009-03-21 12:11:06 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「サバイバル会計学」
柴山政行著
PHP研究所刊です


著者の柴山さんは公認会計士。
まえがきに
「経済は、つきつめていけば「お金をいかに賢く蓄え、いかに賢く使うか」
という活動に落ち着きます」とあります。

その裏付けとして、会計学・6つの裏ルールが紹介されています。

1 お金はそれ自体、何の使用価値もない
2 相手の便利は自分の利益。自分の便利は相手の利益
3 「見えざるコスト」を見る者が、取引を自由に操る
4 1年後の100万円は今日の95万円
5 取引は、有利な時期を選ぶべし
6 1000円の物を1000円出して買ってはいけない

この6つの裏ルールに関しては本書に説明がありますので、
読んでいただければと思いますが、本書は読みやすく、
タイトルに会計学とありますが堅苦しい内容ではありません。

第1章の「日常で出会う経済・サービスのカラクリ」と
第2章の「その取引は本当にトクなのか?」は身近な話題が満載です。

特に私が興味深かったのは
「食券制の店に学ぶ、見えざるコストの削り方」
「心のバランスシートが乱れると、余計な買い物をしてしまう」。

食券制のお店ってなんか味気ない気がしてたのですが、
店側としたらこういう考え方があったのかぁと。

三匹のおっさん

2009-03-20 12:56:54 | 小説 単行本
今回ご紹介するのは
「三匹のおっさん」
有川浩著
文藝春秋刊です


ストーリーは…

定年退職と同時に自宅で開いていた剣道場を閉めることにした清田清一は、
幼なじみの立花重雄、有村則夫と私設自警団を結成し、
町内を夜回りすることにするのだが‥

「図書館シリーズ」「阪急電車」で楽しませてもらった有川浩さんの最新作。

有川さんと言えば「ベタ甘」ストーリーでもお馴染み(?)ですが、
今回は還暦を過ぎたおじいさんが主人公。
路線変更?と思いながら読み始めました。

今回の作品は清田清一の孫・清田祐希も重要な登場人物。
祐希は口も悪く、見かけもチャラ男(死語?)くんですが、
なかなか人間の心理をよむのがうまい高校生。
お嬢さん育ちの母親よりもある意味大人です。

一方清一を初めとする「三匹のおっさん」は
まだまだじいさんとは呼ばれたくない気骨のあるおっさんたち。
この三匹のおっさんたちが町内の様々な事件に巻き込まれ、
解決していくお話です。

現代社会では忘れがちな人間と人間の繋がり。
見て見ぬふりをすれば、やり過ごせそうな出来事も
この三匹のおっさんたちは見逃しません。

それはある種の正義感でもあり、責任感。
有川さんはそのちょっとした出来事にも目を向け、
物語にしてしまうところはさすが

今回も楽しませていただきました。
ベタ甘ぶりも健在(笑)

会社に人生を預けるな

2009-03-19 12:31:54 | 新書
今回ご紹介するのは
「会社に人生を預けるな」
勝間和代著
光文社新書です


日本の雇用制度の特徴と言えば「終身雇用」と「年功序列」ですが、
私は「終身雇用」に関して言えば「アリ」、
「年功序列」に関して言えば「ナシ」だと思っています。

理由は簡単で、「終身雇用」は雇用の安定性を保てる。
「年功序列」は優秀な人間のやる気を削ぐからです。

しかし本書を読み始めて数分でうーんと思ってしまいました。

終身雇用制の場合、大卒だと40年ぐらい勤めることになりますが、
最近の情勢を見るとそのビジネスモデルが40年までもたない。

これは確かにこれまでは絶対に潰れないと思っていた企業でも
先はどうなるかわからない。

勝間さんはこのことから見ても、
私たちの大事な人生を預けてしまっていいのか?
つまり「終身雇用制」は様々な問題を抱えているとの指摘です。

本書は「終身雇用制度」の問題と「リスク・リテラシー」についてがテーマです。

「リスク・リテラシー」に関しては本書を読んでいただきたいと思いますが、
私が最近気になってることを最後に。

よく、これからは国に頼るな!ということが言われています。
もちろん、自分の人生は自分で責任をもつのは当然です。
でもなんかこうしっくりしないものを感じていたのですが、
勝間さんが代弁してくれました。
「最低限の生活ができるように、
あるいは最低限のリスク管理の仕組みを国民に提供するのは政府の責務です。
だからこそ、私は現在の日本政府はその提供が十分でないため、
責められるべきものだと感じているのです」。

「社長力」養成講座

2009-03-18 12:33:04 | 新書
今回ご紹介するのは
「「社長力」養成講座」
小宮一慶著
ディスカヴァー携書です


書店で見かけたときは、てっきり「社員力」だと思ってました。
よく見ると「社長力」でした。
果たして?

まず、経営という仕事とは何か?
小宮さんは
①企業の方向づけ
②資源の最適配分
③人を動かす
の3つをあげています。

中でも重要なのは①の企業の方向づけ。
要するに戦略ですが、基本は「お客さま」の動向をきちんと見ること。
これは会社とそこで働く全員が「お客さま志向」であること。
言われてみれば簡単そうですが、
これがたやすいことではないというのはよくわかります。

私が読んでてハッとしたのは、
「目的」と「目標」は違うということです。
利益を上げることは「目標」であって、「目的」ではない。

「目的」とは存在意義。
つまり「ビジョン」。
目標はビジョンに向かって進んで行くときの通過点。

会社は利益を上げなければ成り立ちませんが、
利益を上げさえすればそれでいいのかと言えば私は疑問に思います。
特に今の世の中の状況を見ていたらそう感じてしまいます。

小宮さんはこうも書いています。
人が寝食を忘れて働くのは、そこに「誇り」や「信念」があるから。

これまで小宮さんの養成講座は全部読ませていただいてますが、
本書が私的には一番気持ち的に入り込むものがありました。
もちろん私は社長ではないですが

「人たらし」のブラック謝罪術

2009-03-17 13:08:37 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「「人たらし」のブラック謝罪術」
内藤誼人著
だいわ文庫です


内藤さんの「心理学者が教える「超」勉強術」(2月20日ご紹介)が
面白かったので、読んでみることにしました。

内藤さんはユーモアのある方で
なんとなく力の抜けた感のあるところが私は好きなんですね。

タイトルの「人たらし」にしても普通は悪い意味ですが
(女たらしの方が私には馴染みがある)、それは間違いと書いています。

ちょっと相手を持ち上げる行為、
それがお世辞やウソであっても相手が喜ぶならば、
非難される筋合いはない

さて、本書は謝罪術をテーマにしていますので、謝罪のテクニックを。

私が笑ってしまったのは「がん首をいくつもそろえる」。

とにかく何人かで謝罪するということなのですが、
数の論理を味方につけようという魂胆。

取引先に謝罪に行くときも、できるだけ人数をそろえる。
肩書は関係ないので、ヒマそうにしている人は片っぱしから連れていく。

こうすれば、自分のことを「軽んじていない」と
相手も目に見える形で理解できる。
まあ、ぞろぞろ来られるのもどうかと思うのですが、
その辺は臨機応変で(笑)

あと「たとえ自分の責任でも、心の中では他の原因になすりつける」とあります。
これは落ち込んだり、意欲を失わないようにとの内藤さんの助言ですが、
あくまで「心の中で」というのは忘れずに

なんとなくな日々

2009-03-16 18:06:45 | その他 全般
今回ご紹介するのは
「なんとなくな日々」
川上弘美著
新潮文庫です


かなり以前に読んだ川上さんのエッセイ「ゆっくりさよならをとなえる」
が好きでした。

のんびり、まったりした文章のリズムや内容が
妙に嵌まってしまう。
題材も好きでした。

今回のエッセイ「なんとなくな日々」もそうですが、
日常生活の何気ないシーンが川上さんの語り口で楽しめます。

ごくごく普通の生活の風景、暮らし。
登場する人物も、場所もごく普通。

ふらっとどこかへ出かけて、ちょっと一杯引っ掛けて
そそくさと帰る。
その雰囲気が好き
(私はお酒を飲まないので、少しそういう感じが羨ましい)。

友人や子供の一言でとりとめのない妄想が膨らんでいく
そんな雰囲気も好き。

川上さんのエッセイを読むと
平凡な暮らしもそんなに悪いものではないよなぁと
思えるから不思議。



蝕罪

2009-03-15 15:32:29 | 小説 文庫本
今回ご紹介するのは
「蝕罪」
堂場瞬一著
中公文庫です


ストーリーは…

刑事・高城賢吾は警視庁に設立された失踪人捜査課に配属された。
早速、結婚を間近に控えた男性の失踪事件が
男性の母親と婚約者から持ち込まれるのだが…

失踪人捜査課の室長はキャリア志向の女性・阿比留真弓。
高城とコンビを組む・明神愛美は捜査一課に異動が決まっていたが、
事情により失踪人捜査課に。
失踪人捜査課はお荷物部署で、課員はやる気がなく‥という構図。

高城自身もある事情があり、酒浸りの毎日を過ごしていました。
こんな高城がひとりの男の失踪にのめり込んでいきます。

最初はどうってことのなかったこの失踪が、段々事件性を持ち始め、
じわりじわり真相に迫っていくのは面白かったのですが、
伏線みたいなものや意外性がないのは少し物足りなく思いました。

せっかくの長編なので何箇所か落としどころみたいな箇所があれば
もっとストーリーに膨らみができたのではないかなと。

多分この作品はシリーズ化されるでしょう(?)から
次回作はそのあたりに期待したいと思います。

ブラザー・サン シスター・ムーン

2009-03-14 12:52:31 | 小説 単行本
今回ご紹介するのは
「ブラザー・サン シスター・ムーン」
恩田陸著
河出書房新社刊です


ストーリーは…

高校からの同級生・ザキザキトリオの楡崎綾音、戸崎衛、箱崎一は
それぞれ同じ大学に入学したが、進む方向はそれぞれ違っていた‥

第一部は綾音、第二部は衛、第三部は一の語りとなっています。

私は恩田作品では「夜のピクニック」が断トツに好きなのですが
(と、言っても大した冊数を読んでいるわけでもない)、
今回のこの作品は系統的に言えば「夜ピク」の系統なんでしょうね。
ただ、恩田さんの系統ではこちらは本流ではない感じがしますが‥

さて、第一部の綾音ですが、
これはどうも恩田さん自身がモデルなのかな?と勘繰りました。

活字中毒だけど、小説家になりたいなんてことは、
口が裂けても言いたくないし、
心の底では思っていることを認めなくなかったというのは、
恩田さんの大学時代の本心なのではないかと邪推。

第三部の一の映画監督として脚光を浴び始め、
インタビューを受けながら、どこかその栄誉を客観的に見つつ、
意識が浮遊してる感じ。

この作品は、まだ自分の立ち位置がグラグラしている学生時代の
少し危うい淡い思い出を描きたかったのかな?と。

プリンセス・トヨトミ

2009-03-13 20:04:59 | 小説 単行本
今回ご紹介するのは
「プリンセス・トヨトミ」
万城目学著
文藝春秋刊です


ストーリーは…

会計検査院という役所の3名の調査官、松平、鳥居、旭・ゲーンズブールが
大阪府庁に調査にやって来た。
鳥居と旭・ゲーンズブールは社団法人 OJOの調査に向かうのだが‥

松平は公務員試験をトップで合格したキレ者。
鳥居はおっちょこちょいだが、ミラクル鳥居と呼ばれており、
変なところでカンが働く。
旭・ゲーンズブールはハーバード出の長身の美女。

このエリートたちが大阪に向かうところから物語は始まります。

そして次に登場するのは大阪市立空堀中学校の橋場茶子と真田大輔。

大輔はずっと女になりたくて、
セーラー服を着て学校に行くという行動に出ることに。
茶子はそんな大輔を応援しています。
大輔の両親は空堀商店街で「太閤」というお好み焼き屋をやっています。

と、登場人物の紹介だけでも盛り沢山なのですが、
とにかく面白かったの一言に尽きます。

鳥居のキャラといい、やくざの組長・蜂須賀といい笑えます。

この日本のトップとも言えるエリートと
大阪の普通の庶民がどうして接点を持つのか?
まず、そこの過程が面白い。

この作品にはとにかく全編大阪への愛が溢れており、
大阪育ちの私はそれだけでも感動ものでした。

大阪という町への愛もあれば、親子の情もあり、
女は男の所業をお見通しというのもあり。

大阪の人間が情に篤いのは当たり前(?)ですが、
松平にしても旭・ゲーンズブールにしても
決してエリートの鼻持ちならない人間ではありません。

松平が大輔の父・幸一を前にして思う
「どれほど弁が立とうと、知識があろうと、ウソをついている人間は所詮弱い。
世の中で最も強いのは、正直に行動する人間である」
のところに松平の底辺を流れるものが感じられます。

とにかく面白いし、いい小説でした。
幸せな気分になれました

雇用大崩壊

2009-03-12 12:56:40 | 新書
今回ご紹介するのは
「雇用大崩壊」
田中秀臣著
NHK出版 生活人新書です


常々私は人間が生きていく上で、安定した雇用は
基本になるものだと思っています。
当たり前のことですが、
雇用があって税金も社会保険料も納められます。

なので、今の派遣切りの問題やロスジェネの問題は
大変な問題だと感じています。
そして高齢者の年金受給年齢を引き上げ、定年延長をし、
高齢者に長く働いてもらおうとしながらも、
若年層には仕事がないというのは不思議な気がします。

これは雇用のミスマッチということでしょうが、
よく言われる仕事を選ぶなということですが、それは乱暴ではと思います。
人間には好き嫌いや向き不向きもあります。

さて、著者の田中さんはとにかく不況対策を!という主張です。
積極的な財政政策と金融政策の組み合わせを行うこと。

金融政策としては量的緩和政策に転換する。
市場に多くの貨幣を供給する。
そうすることで、銀行はより多くの貸し出しを行い、
企業もお金を借りやすくなる。

しかし定額給付金の2兆円などは規模が小さく、
将来の増税と連動させたことで、
効果が薄れたというのはそのとおりだと思います。

景気対策というなら
もっと思い切ったやり方もあったのではないかと。