てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

かめくん

2005年07月31日 | 読書
かめくんは、亀山とか亀田という苗字だから、かめくんと呼ばれているのではない。
ましてや、本物の亀というわけでもない。
かめくんは、亀型2足歩行ロボットなのだ。
にせもののかめということで、レプリカメとも呼ばれている。
大きさは、人間と同じぐらいで、木星戦争用に作られた。
戦争って、敵は誰なのか、もう終わったのか、まだ続いているのかすら、誰も知らないのだけど。

かめくんは、いつから、どうして、自分がここにいるのか、覚えていない。
周りを見渡しても、レプリカメは自分ひとりだけ。

かめくんは、今まで勤めていた会社が合併されることになり、首になってしまった。
住んでいた社宅も出て行き、新しい町で暮らし、新しい仕事を探すことになる。



かめくんは、以前の記憶がないこととか、社会の様子がよくわからないことなど、あまり気にしていない。
新しい住まいや、新しい仕事がうまくいっていれば、それで満足している。
子ども達に、「やーい、かめ、かめ」とボールを投げつけられれば、プシューと鼻息を荒くして怒るけど、そのときだけだ。

大好物のりんごを食べて、たまに猫を飼ってみたり、散歩中に哲学的な夢想にふけったり、普通の生活を楽しんでいる。

物事が曖昧でよくわからないまま、状況を淡々と受け入れるかめくん。

ユーモアとペーソスにあふれた北野ワールドです。




『かめくん』 北野勇作 (徳間デュアル文庫)


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