てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

竜を駆る種族

2006年04月27日 | 読書
古いので、覚悟して読み始めました。
確かに翻訳文も古っぽい印象を醸し出しています。
浅倉久志なんだけどなーと首をひねっていたら、
そのうちにリズムに乗ってきて、いい感じになってきました。

どうやら、時代は人類が宇宙に拡散しきったときのようです。
拡散しきって、文明も忘却のかなた・・・
そんな辺境の惑星で細々と生きながらえている人々は
力をあわせるでもなく、互いに対立しています。
さらに、別の惑星からは圧倒的な文明を持つ竜状の宇宙人が時折襲ってきます。

対立する陣営の人々と、完全なる受容をモットーとするバラモンと呼ばれる人々、
それに竜状の宇宙人たち。
互いに考え方が違うので、意思の疎通ができません。
古っぽく感じたのは、作品が書かれた時代が古いからではなく、
人類が滅亡の際に立っているからでしょうか。
はでな戦闘シーンもあるのですが、全体に悲しげな、疲れた雰囲気が漂っています。
戦闘に勝利しても、疲れが残るだけ・・・
唯一の希望でもあるバラモンも、なぜか明るい未来を感じさせません。


竜状宇宙人のチンプンカンプンさ加減が半端じゃないことと、
バラモンのまだるっこしさが、新鮮。

残念ながら、ジャック・ヴァンスの本は古本以外では、手に入りません。


4月18日読了

重力の影

2006年04月27日 | 読書
ジョン・クレイマー著の「重力の影」、本格ハードSFだそうです。
現役科学者が書いただけあって、実験室の様子が興味深かったです。
教授陣についても、「これはフィクションです。実際にこんな人は身の回りに全くいません」と
言われても、いやあ、そんなこと言って、周りにいた人をちょっと極端にしただけでしょ・・・と思わせるものがあります。

さて、主人公は実験物理学の非常勤助手。
彼と才色兼備の院生の女性が中心となり、共同で研究を進めていたのですが、
偶然、奇妙な現象を発見してしまいます。
それが、「超ひも理論が導く影の宇宙」なわけですが、
さらに大学の研究成果を狙っている企業の悪い奴らがからんで、
さらにかわいい子ども達も巻き添えになって、
と、サービスたっぷりのサスペンス物になっています。
本格ハードSFと銘打っていますが、読みやすいです。
超ひも理論なんて、ちんぷんかんぷんでも全然平気です。
ほー、へー、ふー、はーと思っているうちに先に進めますから。
途中、サイバーパンクに対する批判もあって、書かれた時代を彷彿とさせます。


ああ、それと、主人公の大学の初級講義が、
偶然、前日に見たテレビ番組と似ていて、楽しかったです。
でも、授業、1時間なんですね・・・。


それにしても、影宇宙、生物学的にはどうなんでしょう?
危なくないのかな。
「宇宙戦争」の結末みたいなことが起きる気がするんですが、
どうなんでしょう。

4月17日読了

ハサミ男

2006年04月27日 | 読書
『ハサミ男』は叙述トリックがあって、それがポイント♪
って読む前から知っていました。
推理小説の推理トリックは、苦手で最初から考えるのを放棄してるのですが、
叙述トリックは得意なんです、私。

で、どうして気づけないかな。
本書後半のある人がある人を訪ねてくるシーンまで、まったくわかりませんでした。
その箇所、一瞬、なんのことやらと頭が真っ白になりましたもん。
読んだ人はわかりますよね、ほら、あの箇所ですよ。
それって完全に騙されたってことですよね。

はあ?
と思って、読み返してみて愕然としました。
どうして私がこのトリックに気づけない?
あっちにも、こっちにも、うわあ、こんなことまで書いてあるのに・・・
と、大変悔しい思いを致しました。


ちょっと言い訳するならば、
へんだな、とは思っていたんですよ。
たぶん、読んだ人は全員、変だなと思うはず。
それぐらい変なのに、なんでーー?!


ハサミ男と警察捜査陣の両者の視点で交互に進む話ですが、
ハサミ男に関しては、最初のうち
お前なんてそのハサミで首を切って死んでしまえ~と
思うぐらい嫌な奴全開だったのですが、
読む進めていくにつれて、魅力が出てくるから不思議です。
最初に読んだときは気になったハサミ男の独白も2回目は気にならなかったし。
不思議です。

心の闇は心の闇のまま、あえて突っ込んだ解釈がされていないのも好印象。

ちょき、ちょき、ちょき

4月14日読了