てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

逆転世界 プリースト

2006年04月04日 | 読書
初読。
地球都市と呼ばれる巨大な建物。
子ども達はその建物の中だけで育ち、
外に出られるのは特定のギルドの者のみ。
主人公が成人に達したとき、見習いギルド員として
外に出ることができたが、
その光景は学校で習ったものとは、異なっていた・・・

という、なんだか~、どこかで~、よく聞くような~設定です。
ちょっと違うのは、この建物が動いていることかな。
え?
動いているのは、よくあるって?
逆に動いていない方が珍しいって?

しかしですね、この建物、宇宙船じゃないんですよ。
しかもですね、動き方なんですが、レールの上を動くんですよ。
あ、レールは少しずつ敷設していくんですがね。
後ろのレールを取り外して、前に繋げていくという、手間のかかる方法で動きます。
川があったら、橋も作っちゃうよ~。

ね、ちょっと違うでしょ。

しかし、動き方が変わっているだけか・・・
と思ったらば、話も全然違いましたよ。

この手の話って、
こうした封鎖的な社会のやり方が通用しなくなってきているところへ
新成人が新鮮なものの見方で、事件を解決に導く、
その過程で、社会成立の秘密が明らかになり、
新しい希望に満ちた開放的な新社会が建設される
となりますよね。

従来のやり方が通用しなくなってきているっていう点は同じなんですが、
一握りのスーパーヒーローが活躍するというような話ではありません。

一読、強烈に印象に残るのは、実に奇妙な世界の風景です。
細部をみれば、どこかで聞いたことがあるような事柄ですが、
それにしても妙な世界です。
まず、この妙な世界に魅せられます。

最後の方になって、世界の秘密が明らかになるわけですが、
複雑な気分です。
そうか、そうだったのか?!とすっきりできません。
それってどういうことなんだろう?と考え込んでしまいましたよ。

この『逆転世界』は、プリーストの初期代表作なんだそうです。
なかなか面白かったのでほかの作品も読んでみたいと思います。

『なかなか面白かった』とか『面白い』とか、毎回、書いているから、
実際どれぐらい面白く感じたのかわかりにくいかもしれませんね。
この本については、
いやあ久しぶりに面白い初読の本に巡り合ったなぁ
というぐらい面白かったです。

今のところ、初読では今年1番。
って、読んでる本、少なすぎの上に紹介もしてませんが・・・

ポストマン  ブリン

2006年04月04日 | 読書
再読。
ケヴィン・コスナーが映画化して不評だった『ポストマン』の原作。
原作を読むと、そのまま映画化できそうなのに、どこが悪かったんだろう?
映画観てないから、わかんない。
あ、でも、やっぱり不評の『ウォーター・ワールド』、私はわりと好きなので
もしかしたら『ポストマン』も意外といけるかも。

ブリンというと、知性化シリーズがとっさに思い浮かびますが、
この作品は、それらとはずいぶん違います。
あんまりSFっぽくないしね。

舞台は、世界戦争後のアメリカ。
今までの文明が崩壊して、北斗の拳の世界になってます。
そして、戦後13年だったかな?まあ、それぐらい後の話です。
この13年ぐらいというのが、キモで、
戦前を知らない世代が出てくる一方で、
戦前に大人だった世代もまだ生き残っている時代。
生活が厳しいので、みんな若死にするみたいですが。

そんなときに、定住地を探してさすらっていた主人公が、
ふと見つけた郵便配達員の自動車。
中にはミイラ化した郵便配達員と手紙の束がありました。
物資が極端に不足している時代のこと、
主人公は郵便配達員のジャケットや手紙の束の入ったカバンを失敬します。
(手紙の束は、裏紙になるし、寂しいとき読めるし)
しかし、次に立ち寄った村での成り行きで、
主人公は郵便配達員であると嘘をついていかざるを得なくなっていくのです。


特に第1部が感動的。
過去の文明への郷愁が、哀れを誘います。
絶望で自暴自棄になっていた人々が結集していく第2部以降は、
それに比べると、すこし何ですね。
オズの魔法使いだし、なんかヒーロー物みたいになっていくし。
再読だったので、先が読めているのも悪かったかもしれません。
少なくとも、初読のときは、
「この本、すごく面白い!」と思いましたよ。