てっきりてっくり

あっという間に1日が終わっちゃう

『天風の彩王 藤原不比等』 黒岩重吾

2005年06月03日 | 読書
天風の彩王 藤原不比等  黒岩重吾
初出 1997年


たまには、こういうのもいいかも・・・と、出張用に買った本です。

向き不向きというものがあるんでしょうね。
どうも、言い回しが、私には合いませんでした。
期待していたのは、権謀術数渦巻く宮廷物。
たしかにそういう面もありますが、どうも不比等の女性関係に重点が置かれているような感じ。
美貌や男の魅力を武器に、成り上がっていくのも面白いのでしょうが、なんだか、しっくりこない。

尚、amazonの書評では、星5つなっています。

『キャッチワールド』 クリス・ボイス

2005年06月03日 | 読書
キャッチワールド クリス・ボイス 冬川亘・訳 

ワイドスクリーンバロックSFの傑作と言われる作品。
ハヤカワSF文庫は、本の背表紙に、この本がどんな内容かが書いてあります。

そこには、
正体不明のエイリアンが地球に向かっている。エイリアンは攻撃的で、会話不能。
このままでは地球が危ないから、選ばれた人々が迎撃に向かう。

といったことが書かれています。

ほほう。知略を尽くして宇宙人と戦う話だな。
もしかしたら、会話不能と思えたエイリアンとも、なにかのキッカケで会話できるかも。。。

とか、思っちゃいますよね。

どっかで見たことがあるような、「あらすじ」ですしね。
「エンダーのゲーム」も似たあらすじでしたね。でも、本の内容というか、主眼は宇宙戦争とは別のところにありました。

「キャッチワールド」でも同じです。


主人公は田村艦長。戦艦の名前は憂国号!
まず、名前にビックリですね。
この田村艦長は、エイリアン打倒のため育てられただけあって(エンダーか!?)、エイリアン打倒への意思は異常に強固です。
何が起ころうと、どんな手段を取ろうと、地球が滅ぶことになろうが、自分以外の人が全員死ぬことになろうが、絶対自分がエイリアンを倒しに行きたいのです。
病気です。
他の乗組員も症状は違いますが、病気っぽいです。
さらに、船団全体を支配するコンピュータも病気です。
コンピュータを含め、イニシアティブを取りたい人でいっぱいです。

そんなわけで、みんな、無事、エイリアンを倒しに行けるんでしょうか。

という話です。


読了後、冒頭に出てくるキャッチワールドとは何か、クロウとは何かという疑問で、頭が混乱するお話です。

でも、面白いよ。

『銀色の恋人』 タニス・リー

2005年06月03日 | 読書
銀色の恋人 タニス・リー 井辻朱美・訳 
原題 The Silver Metal Lover 1981年初出


タニス・リーというと、ファンタジーの女王ですが、SFもあるんですね。
ということで、買った本です。

裕福で何不自由のない生活をしていた16歳の少女が、ロボットに恋をするSF恋愛小説です。
少女が母親から自立する物語でもあります。
少女が恋したロボットは、赤い髪の毛、銀色の肌をもつ美しい新製品のアンドロイドです。
彼女は、恋愛が高じて、とうとう親に内緒で、自分の持ち物を一切合財売り払ってロボットを買取り、家出します。

家出に至るまでの少女の感情の揺れもよく書かれていますが、やはり一番面白いのは、家出後のロボットとの生活です。
これで、相手が普通の人間だと、幼い2人の同棲生活は上手くいくはずがないし、まあ、先が見えたりして、そんな話は別に読みたくもないって感じになります。
しかし、相手は、幼いどころか、娯楽用ロボットです。
ロボットですから、それらしく見せるようにプログラムされているだけで、本来、感情というものがありません。
人間だと自己犠牲にすぎるような行為も、ロボットなので自然に受け止めることができます。

少女の振る舞いも、リアリティがあります。
支配的な母親に育てられた、お金に不自由はしないけれども、自分に自信がもてない思春期の娘が、母親の呪縛から逃れていく様が丁寧に書かれています。


そもそも、『成就する見込みのない恋』という前提があるところが、とても切なく悲しく、そして美しい物語です。


『タイム・シップ』 スティーヴン・バクスター

2005年06月03日 | 読書
タイム・シップ スティーヴン・バクスター 中原尚也・訳 
原題 The Time Ship 1995年初出


SFの古典、ウエルズの「タイム・マシン」の続編。遺族からの公認も受けています。

主人公の時間航行家は、「タイム・マシン」での冒険の後、家に帰りつくことができたが、モーロック族から少女を救うため、再度、超未来をみざす。しかし、時間航行中に見える外の世界の様子は前回とは違っていた。しかも、ふと気づくと、タイム・マシンの外からこちらを見つめる生物がいる。そいつは、あろうことか、こちらに向かって突進してくる。
恐怖に駆られ、時間航行家はタイム・マシンを止める。
ふと気づくと、回りは漆黒の闇の世界だった。


「タイム・マシン」は大体のあらすじが分かっていれば大丈夫です。
(私が、そう。子どもの頃、読んだかすかな記憶でなんとかなりました。)

今回の時間旅行は、前回(ウエルズの)とはずいぶん違います。
この違いは、SF読者層の変化と、現代社会のものの見方から来てるんでしょうね。要するに、大人向けで今っぽいタイム・マシンです。
超未来が舞台ですから、とてつもないスケールの話です。かと思うと、スチームパンクっぽい描写もあり、ワクワクしながら楽しく読み進めることができます。

仲間になるモーロック族がキュート。

『屍鬼』 小野不由美

2005年06月03日 | 読書
屍鬼 小野不由美 


地形上、行き止まりにある村。人口の移動も少なく、周囲から孤立しがちな村。
そんな村に、突然、奇妙な死が連続する。
新種の伝染病の可能性を疑い、極秘のうちに調査を進める医師と友人の僧侶。
やがて、その恐るべき正体が明らかになっていく。



文庫では、全5巻になっています。
1巻は、ほとんど村人紹介と背景説明です。事件はおきますが、まだまだ序盤と言う感じ。
2巻から、怒涛の展開になっていきます。もう止められません。
4巻終了で、ちょっと息つぎができます。
この作品は、そのつもりで時間を確保した上で読みはじめることをお勧めします。

文庫の裏表紙に書いてある説明の文章も、煽りが面白いです。
こんなオーバーな表現は、本書中には出てきませんけどね。


とにかく、キャラが立っています。
最初のうちは、登場人物の多さに混乱しますけどね。
これだけの人数を書き分けるているのは、本当に力作だと思います。

あと、小野不由美らしく、この本でも文体は端正です。
それと、この本は、「ホラー」という分野に分類されるものですが、怖くないです。
だから、怖いのが苦手な人にもいいです。

山場は、なっちゃんが受験勉強してるところ、
お医者さんが一人で徹夜するところ、
お医者さんが近所の奥さんとお祭り見物に行くところかな。
(うぅ。。。ネタバレ防止のため、へんな書き方になっちゃうよぅ。。。)

一番、悲しいのは、なっちゃんのシーンだね。彼の周りがねぇ。。。
ここらは、涙なくして読めませんね。

『星海の楽園 -知性化の嵐3』 デイヴィッド・ブリン

2005年06月03日 | 読書
星海の楽園 デイヴィッド・ブリン 酒井昭伸・訳 
原題 Heaven's Reach 1998年初出


さて、ボリュームたっぷりのこのシリーズも、最後です。

まずは、前作のネタバレから。。。





惑星ジージョにやってきた巨大宇宙戦艦は、皆から恐れられている強力な種族ジョファーのものでした。ジョファーは、6種族に降伏を要求します。しかし、ジョファーは、残忍な種族で、要求に屈することはできません。
ジージョの海に逃げ込んだイルカたちの船ストリーカーも、6種族に味方します。
ストリーカーが囮となって、ジョファーの戦艦を宇宙空間におびき出すことに成功しました。




ということで、第3作『星海の楽園』となるわけです。

だから舞台は宇宙です。
このシリーズ、まさか宇宙に話が広がるとは思ってもみませんでした。
さらに、妙な空間にまで話が広がります。
ジーリーシリーズとまではいきませんが、結構、大きな話になってます。


構造としては、いままでと同様、各人の視点から話の積み重ねで進んでいきます。
でも、数は少なくなってます。
最後は、個人単位ではなく、場所になってます。


えっと、ところで、ジョファーって、知性化の嵐1で、私の好きなキャラクターとして紹介したトレーキという種族の従兄弟種族なんですよ。
トレーキって、ドーナッツみたいな輪が重なってできている集合生命体で、ある特殊な輪をつなげるとジョファーになるんです。
皆から嫌われているジョファーと皆から好かれているトレーキ。

なんだか、宇宙種族って自分勝手なほうが強いみたいです。
あんまり外交努力ってしないのかな。
ま、それぞれ随分違いがあるから、相互理解より、腕力で勝負になるのかもしれませんね。。。

『戦乱の大地 -知性化の嵐2」 デイヴィッド・ブリン 

2005年06月03日 | 読書
戦乱の大地 デイヴィッド・ブリン 酒井昭伸・訳 
原題 Infinity's Shore 1996年初出


知性化の嵐シリーズ第二作目です。

1作目のネタバレ記述があります。






平和に6種族が暮らしていた惑星ジージョに、突然やってきたローセンの宇宙船。
ローセンの目的は、ジージョの遺伝子。
知性化を施せば宇宙航行が可能になる種を見つけることは、どの宇宙種族にとっても重要なことなのです。(奉仕期間があってお得だし、宇宙種族間での地位も高くなる)
ところが、そこへさらに巨大な謎の宇宙戦艦がやってきました。
というところまでが、前作。

さらに、最後にこのシリーズが、『スタータイド・ライジング』の続編であることがはっきりわかります。




あいかわらず、異なる場所にいる人々の視点からの話が続きます。
今回は、さらにその数が増えています。
このため、ちょっと頭を使わざるを得ないわけで、それが結構、快感。

新しくやってきた宇宙種族の視線も加わり、なかなか楽しいです。
ジージョの人々(って書き方でいいかな。ヒト以外もたくさんあります。)は、本当に前向きに頑張ります。
これが、ジージョに逃げ出して無法に植民した種族の末裔で、その罪を許してもらうために知性を失いたい・・・と思っている人たちかと疑いたくなるぐらい、勇猛果敢に事態に向かっていきます。
そして、それぞれ別個に進んでいた話も、ひとつにまとまっていきます。


『変革への序章 -知性化の嵐1』 デイヴィッド・ブリン 

2005年06月03日 | 読書
変革への序章 デイヴィッド・ブリン 酒井昭伸・訳 
原題 Brightness Reef 1995年初出

知性化シリーズものです。
しかも、この「知性化の嵐」は第3部まで続きます。1部上下巻なので、「知性化の嵐」だけで6冊というボリュームです。
ブリンは、その前にハヤカワから出た「グローリー・シーズン」があまり面白くなくて、読了できていなかったのですが、知性化シリーズということで期待半分で購入しました。

本を開いてすぐに、地図と用語・キャラクター説明があります。
用語説明は、本文に取り掛かる前に、ざっと目を通しておいたほうがいいです。
特に種族については、頭に入れておく必要があります。

前提となる知識として、この世界では、自力で恒星間飛行ができるまでに文明が発展する生命体というのは有り得ないというのがあります。
たいてい、じゃなくて、絶対、そこまで発展できるように手を貸す別の宇宙種族が存在します。
そして、それを『知性化』と呼び、知性化された種族は一定期間(まあ、1万年とかぁ?)、お礼に奉仕しないといけません。
人類が飛び出したのは、そんな宇宙だったのです。
そして、人類には知性化を助けてくれた宇宙種族(主族といいます)がいません。
それはおかしいので、おそらく過去に誰かが人類を知性化したはずだが、見捨てられたのだという見解が取られています。
というわけで、人類は見捨てられた種族として軽蔑されています。
が、たまたま、宇宙にデビューする前に、イルカとチンパンジーを知性化していたので、かろうじて面目を保てているという状態です。

【さて、この本は、こんな話】
文明が惑星に与えた損害を回復させるため50万年前から立ち入り禁止となっている惑星ジージョに不法に入植した7つの種族。不法入植が当局にばれるのを恐れつつも、知性が退行していく「贖罪の道」をたどることを希望に生活している。7つの種族のうち、1つは、「贖罪の道」をたどり、準知性生物に退化した。
最後に入植したのが、ヒト。この後、大規模な種族間戦争が起きたが、現在は協定を結び、平和になっている。
さて、6種族間の平和の礎である「聖なる日」が近いある日、一人の異星人がジージョに不時着した。。。



この本は、別の場所にいる複数の人物(?)が交互に語っていきます。
関連のない話が、まとまって一つになるのを期待しながら読み進めていったのですが、残念ながら、本作では、まだ1つになりそうで、1つになりきっていません。
タイトルの通り「序章」なんです・・・。
では、読みにくいかというと、そうでもありません。
それぞれの種族の特徴や、生活状態もしっかり書かれていて具体的なイメージが湧きやすく、話の先が知りたくて、どんどん読み進んでしまいます。

私のお気に入りは、トレーキの大賢者アスクス。形も円錐形で可愛い気がする。でも、歩くところは想像したくないけど。
あと、ケウエンの<鋏の先>。カニみたいなイメージがあるけど、イラストを見ると、円盤型宇宙船ぽいかな。

『ソリトンの悪魔』 梅原克文

2005年06月03日 | 読書
ソリトンの悪魔 梅原克文 
ソノラマ文庫NEXT 初版は1998年


日本の最西端に海上都市を建設中、あと少しで完成というときに、正体不明の生物に破壊されてしまった。
この事故により、地底に残された基地と潜水艇の人々。彼らを救わなくてはいけない!


いかんです。あまり覚えてないです。
正体不明の生物が何者かは、覚えているんですけどね。
緊迫感があって、面白かったですよ。とくに救出活動のあたりはそのまま映画とかにできそう。
でもなぁ、正体不明の生物があれだしなぁ、あまり一般受けしないかも。

まぁ、普通に楽しく読めます。