私は子どもの頃は果物があまり好きでなかったが、果物好きの伴侶をもったおかげで、好物になった。桃・梨・林檎・柿を生食するのは、お菓子嫌いの私の楽しみである。
男性は果物を剥くのが不得手というか剥きたがらない人が多く、またナマで齧るのが得意な人も少ない。私も例外でなく、剥いた果物を食べたい。しかし、同性の無骨な手で剥いた果物は食べたくない。
不思議なことに、果物ほど女性に剥いてもらうと美味しい食材はない。白魚のような指が、ぺティナイフを器用に遣って手早く皮を剥く。それを、八つ割りにして供してくれると、同じ果物でも断然味覚が違う。
日本女性の醇風は、食後に食卓で果物を剥いて供する習慣である。外国でも同じだろうか?食前に剥いておいたものでは、感動を呼ばない。
果物を剥かない女性は情に欠けるなどと言うと、鼻先で笑われる時代だろう。皮を剥くといっても、ピーラーで剥いた果物に情は籠らない。
ところが世の中、加齢のせいか、はたまた感情の揺らぎが原因か、夫に果物を剥いてやらない妻が増えているらしい。パインアップルがカットされてスーパーに並ぶ時代だ。主婦が果物の皮を剥く行為は、着実に減っているのだろう。
白魚のような指も経年劣化は免れない。食事の度に、果物の皮を剥くのが煩わしく面倒になるのはよくわかる。
それだけに、果物を剥いてもらうと、無性に嬉しい。男性は女性に果物を剥いてもらうと、恩義を感じるようにできているのではあるまいか?と思う。
適齢期を迎える孫娘には、妻から特訓を施しておいてもらおう。
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