佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

調性考~ポピュラー音楽にみられる傾向を中心に~

2007年04月19日 21時35分37秒 | ポピュラー

 

 若干印象論になってしまうことを

予めお断りしておきますが、

あくまでブログのネタ範囲だと思って、読んで下さい。

 

 

 

 しばしば思うことなのですが、

ポピュラー音楽の世界って、調性が軽視されている気がします。

軽視というか、重要じゃないのかなと思います。

 

 

 

 実は、クラシックの世界では、

時代にもよると思いますが、調性というのはかなり重要です。

交響曲に「○長調」とか「○短調」とか付いていますし、

調を変えると、印象が非常に変わりますね。

シャープやフラットが付かないハ長調は純粋さを表す、とか、

作曲家等が、調性自体に意味合いを見い出していることもあります。

 

 

 ポピュラー音楽の調性について書くくらいですから、

僕自身も結構気にはします。

絶対音感とも絡む話で、ちょっと逸れますが、

以前、合唱団Nの某人が、

 

「Fis-dur(嬰ヘ長調)って、柑橘系の感じがするんだよね」

 

と言っていて、

「分かる!!」と、僕自身も非常に納得したことがあります。

調性による曲のイメージは、大事だということです。

 

 

 

 しかし、ポピュラーの世界というのは、

ボタン一つで移調出来る時代ですし、

カラオケでもキーを動かして歌うことは当たり前ですし、

あまり調性による曲のイメージとかを

気にしていないのかなと思うことがしばしばあります。

 

 

 何故そう思うかと言うと、

例えば歌手やバンドがいるとしますが、

大ヒットした自分の曲と、全く同じ調性の曲を

書くことがあるからです。

おまけに、テンポが近いと、僕の中では完全に

「似た曲」という評価になります。

僕の中では、後の曲の評価が下がるんです。

「なんでそんな似た曲を書くんだろう」と。

 

 

 具体的に例を挙げると、

例えば、今ヒットしているコブクロの「蕾」。

最初がD-major(D-dur、ニ長調)で始まるのですが、

この最初を聴くと、

僕はどうしても、彼らの「永遠にともに」という曲を

思い出してしまうんですね。

今では結婚式でよく歌われる曲で、彼らの代表曲ですが、

この曲は「蕾」と同じ調です。

実を言うと、「蕾」は、

サビでB-minor(h-moll、ロ短調)にいくので、

曲全体の印象は違うのですが、

どうも思い出すんですよね。

 

 

 もう一つ言うと、

印象論ですが、

僕の中では、サザンオールスターズも、

D-majorを良く使用するイメージがあります。

「真夏の果実」と「TSUNAMI」や、アップテンポの曲でも

使っているイメージがあります。

 

 

 これ、もしかすると、

敢えてそうしているのかなと思います。

僕みたいな聴き方をする人のほうが少なくて、

その人のヒット曲の良いイメージをもってくるために

そうしているのかもしれません。

 

 

 あと言えることは、

どんな歌手にでも、音域というのがあります。

だから、自分の得意な音域を使おうとすると、

必然的に使えるキーが限られてくるというのはあります。

 

 

 あと、物理的な問題もあります。

バッハやショパンの例で分かると思いますが、

調性というのは、長調が12、短調が12、

合計24しかありません。

数が決まっているので、これ以上は使いようがないわけです。

 

 

 でも、もし自分がソングライターなら、

絶対に違う調を敢えて使う、と思います。

24の調性をフルに使いきる気がします。

でも、多分、ポピュラー音楽については、

そこに重要性はないので、

別の部分が大事になるのでしょうけど。

 

 

 まあ、そんなこと言ったら、

ポピュラーは、主に循環コード

(例えばC-F-G-Cと、和声的に循環するコードです)を

使うわけですから、似てくるのは当然、とは言えます。

 

 

 まあ、サザンの例にしても、

全部の曲を調べたわけじゃないので、

あくまで僕だけの印象論です。

同意される人も少ないかもですね。。。いかがでしょう。