佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

合唱団ぽこ・あ・ぽこvs合唱団NEWS 交流戦 第1戦 in 上越

2006年10月23日 21時52分20秒 | 合唱

 

 土曜日夜、

上越市の浄興寺というお寺で、

標記交流戦がありました。

 

 

 交流戦といっても、野球じゃありません。

 

 

 高校の同級生で同じ合唱団だったこの合唱団の指揮者二人。

私は二人の1年後輩でした。

当時から二人は、「水と油」として有名でした(笑)。

決して、仲が悪いわけではありません。

ただ、「水と油」なのです。

交わらないのです(笑)。

 

 

 OB等には有名なこの話ですが、

その二人は、早くから自分で合唱団を立ち上げ、

片や上越市、片や新潟市を拠点に、

活動してきました。

 

 

 その二人が、ひょんなことからジョイントをすることに。

しかし、お互い「友好的に」ジョイントするという雰囲気ではない

(嫌い合っているのではなく、水と油なのです(笑))。

そこで、友好ではなく、「競い合う」ジョイントコンサートを企画。

昨年から始まったプロ野球の「交流戦」になぞらえ、

今回の企画となったわけです。

 

 

 今回、交流戦では、「第1部」で真剣勝負、

「第2部」では両団のレパートリーによるジョイントでの共演。

第1部のルールは、

1996年に日本合唱指揮者協会が主催した「Choral Space 96」という

模擬国際合唱コンクールのルールに則って行われました。

 

・持ち時間20分

・無伴奏

・A:ルネサンス・バロック、B:近現代の海外作曲家による作品、

 C:自国(日本)の作品、それぞれから1曲以上選びプログラミング。

 

というルール。

 実は私とNEWSの指揮者であるこっちさんは、

このコンクールを聴きに東京まで足を運んでいました。

お互い学生だったと思いますが、刺激を受けて帰ってきました。

確かこの時だったと思いますが、

東京在住の某合唱指揮者と一緒に聴きに行き、

その帰りに銀座で食事をしたのですね。

その時、その指揮者から、

 

「新潟を背負って立つんだぞ」

 

と言われた時、こっちさんは、

 

「いえ、新潟を背負って潰れます」

 

と名言(迷言?)を残したことが。

  

 しかし、今やこっちさんは数々の団体で指導し、

コンクール等でも実績を残している。

この時の言葉が迷言ではなく、名言の方に向かっているのは、

後輩としても個人的に感無量です(本当か?)。

 

 さて、そんな国際コンクール形式で開催された交流戦。

お寺が舞台。

ここのお寺にはピアノがあって、ジャズなども演奏されるらしい。

 

 実はここのお寺の系列(何て言うのか忘れた。。。)の寺が、

私の実家のお世話になっているお寺。

ここの寺にお墓があるのです。

だからよく来る寺でした、たまたま。

 

 

 お客さんは結構入っていました。

入場の際に、聴き比べた結果を記載する紙が、

プログラムと一緒に配られました。

先日僕がゲットした余りのスコアペン、

有効活用していただきました(笑)。

 

 

 要は、聴衆が審査するということです。

結果は第2部の最後に発表。

 

 

 最初はぽこ・あ・ぽこ。

A、B、Cのそれぞれ2曲ずつ、計6曲。

 

 

 

 さて、ここで断っておくことなのですが、、、

実はここからちょっと辛口が続きます。

 

 

 というのも、

聴き始めて、すぐに気づきました。

自分の耳が、今までにないくらい

「批評家として」、「審査員として」聴いていたことを。

要は、悪いところばっかりが目立って聴こえたのです。

 

 

 断っておきますが、

両方の合唱団について、僕は演奏を聴いたことがありますし、

それまでは、そんな思いで聴いたことはありませんでした。

しかし今回、審査するということを念頭に置いて聴くと、

驚くほど辛口の意見ばかりが頭に浮かんできました。

 

 審査するという経験は、

恐らく、中学校の合唱コンクール以来。

「差異を聴き取ろう」と思った時に、今回、

耳が非常に批評的になりました。

 

 

 それを「少し」オブラートに包みながら書きます(笑)。

両指揮者様、すみません。。。

勿論、この文章だけで判断する人がいることも

踏まえて書きますので。

 

 ぽこのルネバロは2曲ともマドリガル。

ラッソ「やまびこ」はハモリは良いけど、曲の内容の表現に

不足があったと思いました。モンテヴェルディ「Ecco~」は

5声に分かれるにはちょっと厳しいかなと。

 

 近現代。

フィンジ「My spirit~」は、こなれた音が鳴りました。

スタンフォード「青い鳥」は、ハモリの良さの反面、

曲の世界を表現する表現力の不足を感じました。

 

 日本人。

松下耕「五木の子守唄」は、曲が難曲過ぎた、

信長貴冨編「島唄」も、曲の持つ力を伝えるには至らなかった、

という僕の判断でした。

 

 

 続いてNEWS。

ルネバロはビクトリアのミサより2曲。

こちらも手馴れた感じはあったが、

宗教曲に欠かせない男声(バス)の厚みの不足と、

女声とのアンバランス、

また、語弊を恐れずに言えば、

曲に対する指揮者と歌い手の思い入れが出てしまって、

聴きづらい演奏になってしまったかと。

アンケートには、「主観」が強すぎ、

「客観性」が足りないと書きました。

 

 近現代。

シェーファー「17の俳句」より3曲。

サウンドスケープと呼ばれる「音空間」の創造に挑戦。

よく歌っていたが、あの空間において、

それぞれの言葉や手拍子等、諸々の素材の表現の差異に

不足があったと感じました。

聴き手にその空間を届けるには至っていないという判断。

 

 邦人。

民謡を素材にした久住和麿と夏木邑介(同一人物です)の曲2曲。

こっちさんが混声版を初演したので、

曲のことはよく分かって振っていたが、

6声部になるこの作品、正直を言えば、

混声版の持つ厚みが足りない。

あと、6声部になるが故の不安定さが演奏に出たかと。

 

 

 と、聴きながら、このように

辛口コメントばかり浮かんできたのです。

他の人は、様子を見る限り、

こんな風には聴いていなかったと思います。

ただ、僕自身、「審査をする」という責任上、

かなり厳しい耳で聴いた事も事実。

交流戦というステージでは、僕は

「それを求められた」と解釈し、厳しい判断を。

これは、アンケートの方に書きました。

 

 僕が出した結果は、NEWS。

ただ、付け加えたのは、

 

ルネバロがNEWS,

近現代がぽこ、

邦人がNEWS、

 

の2-1だったと書きました。

アンケートの方に、上記のような辛口コメントを書きました。

 

 

 2部の合同演奏。

まずこっちさんが、NEWSの持ち歌、佐藤さおりを振る。

サウンドが打って変わって安定。よくハモる。

NEWSで聴くサウンドとはまた違う響き。

次にぽこの指揮者T先輩が、ぽこの持ち歌

後藤丹作品を振る。

これもまた安定した響き。2曲目は特に良かった。

 

 アンコールではお互い1曲ずつだったか。

第1部の審査結果発表では、NEWSに軍配。

この後罰ゲームで、負けた方が接待したとのこと。

どうだったのでしょうか。

 

 

 さて、今回の交流戦について。

 

 正直言ってしまうと、第1部は楽しめなかった。

これは、コンクールを審査する人の感覚なのだろう。

「悪いところ」を探す聴き方になってしまった。

それを越えて楽しめる演奏の段階までは、

正直、両団とも達していなかったと思う。

そういう意味で、この交流戦は、

お互いの団にとってはプラスだったと思うが、

聴き手である自分にとっては、第1部は正直難しかった。

第2部が、個人的には救いになった。

 

 

 あと、こういうコメントをした一つの理由として、

僕が最近、「合唱団における個人の重要性」を

強く感じているからだと思う。

両団の指揮者は水と油ながら、

両団の合同が奏でた演奏は、

正に両指揮者が求めるサウンドだったと思う。

要は、指揮者同士、サウンドの「嗜好」及び「志向」において、

向いている方向が近いのである。

しかし、厳しいことを言うと、両団とも、

それが、合唱において重要ではあるが、

あくまで一つの要素である、「ハモる」という行為にから、

脱し切れていない演奏だったと僕には聴こえた。

 

 僕が最近思うことで、

合唱団にも一人一人の歌い手があり、

一人一人の「歌う」という行為、

更に言えば「声を発する」という行為、

それらの必然性、

つまり「私が歌う理由」、「何故歌うのか」という

根本的問いかけ。

そこから発された個人の「相和」、否、「相乗」であるサウンド、

合唱がそこに行き着いて欲しいという願いを込めての

辛口コメントだったと理解して欲しいのだ。

お二人や両団員の方には分かってくれるものとして、

敢えてアンケートとブログに書いたわけです。

勿論アンケートは記名して書きました。

結果の方も自主的に記名しました。

審査する「責任」を考えての行動と捉えて下さい。

 

 

 といっても、

こういう斬新な試み、面白いと思う。

新潟に発信しようと意欲は勿論買える。

もっと大きなうねりを作って欲しいという願いもあるが、

一石を投じたと評価して良いと思う。

 

 

 次回は再来年、新潟市で開催予定とか。

皆さん、この交流戦、次回に足を運んでみては。

 

 

 最後に。

 

 これはフォローでも何でもないのだが、

二人の後輩として聴きながら思ったことが。

 

「僕は歌い手としての経験値は10年勝っているが、

指揮者としての経験値は10年負けている」 と。

 

 自分の振る団を持たない

自分に対する焦りを感じて聴いていました。

長年続けてきた上でのサウンドには敬意を表さないといけない。

僕はまだ、指揮者として何もしていない。。。と。

 


週末の動向

2006年10月23日 00時05分55秒 | 日記・エッセイ・コラム

 

 今日は出来事だけ書いておきます。

 

 

 土曜日。

本当は、小出に行って、

「結の灯り 震災メモリアルライブ’06」に寄る予定を、

前日にキャンセル。

今の体力・精神力を考えて、ハシゴを断念。

 

 

 15:00前に家を出て、

下道で上越へ向かう。

予定した時間通り到着。

合唱団ぽこ・あ・ぽこと合唱団NEWSの交流戦会場、

浄興寺へ。

 交流戦は興味深く拝見しました。が、

ちょっと長くなりそうなので月曜日にでも。

 

 その後、後輩二人と食事へ。

1年分笑いました。

 

 実家に帰ったのは23:30。

遅れる連絡を入れなかったのは反省。

こういうとき、携帯持てといわれます(苦笑)。

 

 

 日曜日は午前中に実家を出て、

13:00からの長岡フェニックス合唱団の特別練習へ。

15分遅れました。すみません。。。

歌いまくって17:00。

急いで抜けて、高速で新潟へ。18:00からユートライの練習。

実は体調不良と東京行脚で、

2週練習を休んでいて、

今日は僕が仕切る回。しかし、15分遅れる。

公衆電話から連絡。

到着後、練習。

音の確認が中心だったが、

自分のしゃべりを抑えて歌ってもらうことを中心に。

時間を考えると、結構さらえた方かも。

 

 ガソリン入れたり買い物して、

22:00過ぎに帰宅。

夕食を摂ってメールのチェック、ブログの書き込み。

 

 忙しかったですね。

でも、移動が気楽に運転できたので、

そこそこリラックスもして。

寝ます。