佐藤匠(tek310)の贅沢音楽貧乏生活

新潟在住の合唱指揮者・佐藤匠のブログです。

鬼束ちひろ考

2005年11月02日 00時58分18秒 | ポピュラー
 何だか分からないけど、なかなか落ち着かない。
3日や週末を使って、少し内容を手直ししたい。

 書く事がないとき、折に触れて、
いろいろ勝手に考察するシリーズ第1弾。

 鬼束ちひろ考

 色々なジャンルを取り上げるが、 
なぜ、第1弾で彼女を取り上げたのか。

 頑張って欲しいからである。

 彼女は2000年に「シャイン」でデビュー。
2ndシングルの「月光」が、テレビ朝日のドラマ
「トリック」の主題歌(エンディングテーマ?)に使われ、
ドラマのしり上がりの注目とともにヒット。そして、
デビューアルバム「インソムニア」が
爆発的な大ヒット(確かダブルミリオン)。
その後、シングル・アルバム・DVDを次々リリース。

 最初聴いたとき、「ここに目をつけたか」を思う。
歌詞のチョイスなど、ちょっとあざといかなとも感じたが、
「月光」の強烈なイメージをその後乗り越えられたのは、
彼女の書く歌詞、ソングライティング能力、
そして、唯一無二の歌唱力の賜物だと思う。

 ライブは行ったことがないが、TVやDVDを見ると、
そのどこか厭世的な表情、それと
ギャップのあるハイテンションな語り口、そして
歌声でかもし出す全体の雰囲気。
デビューから既にビッグアーチストの香りがした。

 しかし、彼女が不幸だったのは、
アルバムの評価が高かったため、いわゆる
「アルバムアーティスト」の仲間入りをしてしまったこと。
長く続くいわゆるCD不況も手伝い、
シングルのセールスが思ったほど伸びなくなる。

 これは、彼女に限った話ではない。
今、シングルは売れない。
何が原因なのか。僕は、12cmになったことも
要因の一つと考えている。
シングルとアルバムの境が無くなったというか。
とにかく、シングルとアルバムが両方売れる
アーティストは数少ない。

 そこで、レコード会社は、彼女のシングルCD
(確か)7枚を集めたCDBOXを売り出す。
これ、ただBOXにしてまとめ売りしたもの。
しかし、これが、彼女にとって本意ではなかったらしく、
レコード会社とのトラブルの原因となったらしい。

 その後、いろいろあったらしく(情報はあるのだが、
真偽が不明なのでここには書かない)、
レコード会社との契約を打ち切られ、
活動休止に追い込まれ、現在に至る。

 某女性誌では、活動を再開したと書かれていた。
本当なら嬉しい。
彼女は、自分で語っていたが、精神的に
安定している方ではないらしく、曲を書くことで、
自分を保っていると言っていた。
音楽家なんて、そういうものだ。
ただ、その不安定さが、音楽に関係ない部分での
トラブルになって欲しくないものだ。
今後、活動を続けていくなら。

 彼女の足跡を知るなら、ベスト版が2枚出ている。

「鬼束ちひろ the ultimate collection」(04.12.1)
「鬼束ちひろ SINGLES 2000-2003」(05.9.7)

 内容的には似ているのだが、
前者は無難な選曲で、後半似た感じの曲が続く感じ。
後者の方がお薦め。
CMで使われ話題になった「いい日旅立ち・西へ」や、
松任谷由実のトリビュートアルバムに収録された
「守ってあげたい」が収録。
内容的にバラエティーに富んでいて面白い。

 ただ、両方とも本人の意思にはおそらく関係の無い
ベスト版リリース。
後に出た後者の方が当然セールス的には低い。
が、彼女が正式に活動を再開するまでの
収入の足しになったらなと(大きなお世話だが)思う。

 とにかく、才能を埋もれさせるのは惜しい。
ミュージシャンに出来ることなんて、
曲を書いて、歌うことしかできないのだから。
そこで、これからの彼女自身を表現していって欲しい。
きっと、付いていくファンはいるはずだ。