空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

承前

2011-10-04 21:37:20 | Weblog
 承前

 でまあ,次には『日本の戦国時代だって,それなりに社会はまわっていた』という意見が典型的に出てくるものであろう。
 そういう意見の背後にあるキモチは,たとえば

a 現在のソマリアって,日本の歴史に当てはめていえば戦国時代くらいってわけだよなw うわ遅れた民族乙
b 日本の戦国時代のような戦乱の時代でも,自治組織は存在した。そのようなものがソマリアに存在していてもおかしくないんじゃね?

 aの方向の意見は,歴史の発展段階説を採ってるわけで,あっさり民族差別等々の心情に陥ることだろう。
 bの方向の意見は,通説―ソマリアはリアル北斗の拳状態だ―に対する異論を受け入れ,事実の認識へ,実情の理解へ歩みを進めることができるものだろう。

 日本の戦国時代で,「日本」という枠組みがそれなりにあっただろう,その枠組みの規制が働いていただろう証拠はなんだろう? そう考えてみるといい。
 ―やっぱり,天皇制かな,と疑ってみることができる。

 それは別に,万世一系の天皇これを支配す,といったほどの―明治政府の如き―ものではなく,制度的,精神的に,最終的にはまあそこに落ち着くかねえ,という共通認識があったという程度かもしれない。どの程度の規制の力を持っていたかは,素人には分からない(つーか専門家でも測り難いだろう)。

 しかし少なくとも,上総守を名乗るバカはいなかっただろう。

 ―うん,取りあえず,その強度はさておき,天皇制というモノが戦国時代日本の人々のアタマを何かしら規制していたことは推測できるわけだ(亀井茲矩[日本語版Wikipedia]みたいなステキ頭脳は超例外だろう…)。

 じゃあ,リアル戦国時代なソマリアで,我々の戦国時代の天皇制(ないしそれ以上の権威)に相当するようなモノはなんだろう?

 ―それは恐らく,まず筆頭に挙げられるのは「イスラーム」だろう。そして「氏族」も相当強力な枠組みとしてあるだろう。また,「民族国家ソマリア」というのも結構な強さで彼らを規制している(Hizbul Islamがソマリア国旗を引き下ろしたら,すげぇ反発食った事を想起せよ)。さあ,我々の手元には,ソマリア社会を分析するための分析軸が三つできた!

 このうち,「イスラーム」についてちょっとだけ考えてみよう。アルシャバブがいう「イスラーム」とは,どうも現地の風習になじまないらしい。具体的には聖者崇拝を認めるかどうかで。となると,ソマリ人のイスラームは,少なくともワッハーブ風ではないことが推測される。じゃあそれは,どのくらい我々が理解する”普通の”スンナ派なんだろうか…?

 氏族というけど,それらはいくつあるんだろう。そして「支」族は,その勢力は…?

 民族国家ソマリアとは,どのくらいが意図されてるものなんだろう。オガデン地域は…?



 …まあそこまで行くと,流石に知識を蓄積しないとなんともならない。誰も彼もにそういった知識の蓄積を求め,考察を要求するのは不合理だ。

 しかし,こんな地の果ての失敗国家を知ってどうする,という意見には一定の反論をすることができる。ソマリアを鏡に,実は我々は自分自身の歴史や社会を分析する眼を養っているのだ(だからこの目的のためなら,別に対象はソマリアでなくても一向構わない)。今あげた例に沿って言えば,天皇制とイスラームないし氏族制を対比することで,射程を測っているのだ。

 …まーこんな具合に,社会学なり歴史学なりの授業の導入を始めてみるテスト。

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