定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

小説定年楽農36

2018-11-12 21:30:46 | 小説定年楽農
価値観の変化
 町内会長を遂行してみると、地域の草取りや、ごみステーションの掃除やら、地域のお年寄りが自主的に行ってくれているのではありませんか。
 また、決して経済的に楽そうでないお年寄りまでも、村の神社のお祭りに寄付をしてくれます。
 戦前生まれの方々の公共心の強さに感心した。
 翻って、一郎は、自分の公共心のうすさに、どこか間違っていたのかなと反省している。
 その理由について考えてみると、一郎は「戦前の滅私奉公が結局のところ戦争へと巻き込まれていった」との思いを引きずったまま戦後社会の中で育ってきたように思う。
 心のどこかに、他人にさえ迷惑をかけなければと、後は束縛を嫌い、公共とか社会に関わることにためらいを感じてきたように思う。
 その上、近年の経済最優先の思想に、競争心をあおられ、ますます利己主義が強化されていったように思う。
 ところが地域では、前述のように公共心が強く、サラリーマン社会との価値観の違いを感じる。
 さらに、預金を減らしながらも、当面年金でなんとか食べていかれるようになると、考えが変わってきた。
 最近では、他人に世話になることに躊躇しないようにしている。
 他人に世話になることが、他人も私に世話になりやすくなるからです。
 最近、このような関係がわずらわしいどころか、このような環境で自分も生活できることが心地よく感じてきている。
 町内会長を引き受けた時は、時間がとられることに大きな犠牲を感じていたが、知り合いが増え、その人たちとの交流からその人たちの価値観や人生の一端に触れることにより、自分の思考の幅が広がり、毎日が楽しくなったような気がする。


小説定年楽農36-2 

地域にとけ込む方法
 地域は区画整理事業を実施中です。
 住民は、新しくできた住宅街の中央を流れる西古瀬川沿いに桜を植えようと市に要望し、市が河津桜を植えてくれました。
 町内会では「八幡 桜を育てる会」を結成した。
 当初、「河津桜」を「八幡桜」と付けるのも気おくれがしたので「八幡 桜を育てる会」として発足したが、十年以上たった今は、みごとな桜並木となり、「八幡桜を育てる会」となってしまっている。
 今では、100名の住民ボランティア会員が登録され、毎回都合のつく人の数十名が堤みの草刈等の作業に参加している。
 一郎は、そんなに口数の多い方ではありませんが、無言で作業していても、心は通じ合うものだと思っている。
 後日、別なところで出会っても、挨拶ができるようになるのです。


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