定年楽農

第二の人生を農で楽しもう

私の農業改革論

2013-05-11 20:32:19 | ひとりごと
先に開かれた産業競争力会議の「攻めの農林水産業」は、TPPの農業対策とはならない。
TPP対策には、食料安全保障の考えが欠かせないからである。
農業は、産業としての側面と、食料を供給するという2つの側面がある。
農業を産業としての側面から捉えれば、「攻めの農林水産業」の方向は理解できる。しかし、これは、30年も前から始まった一村一品運動にみられるように、農業者、地域、食品加工業者などが連携し、付加価値をつけるために努力を続けている考えである。
今回の「攻めの農林水産業」では、「バリューチェーン」とか「6次産業化」という新しい言葉が使われてはいるが、理念は変わりない。
ただ、規制緩和し、今まで以上に異業種の参入を促すのであれば、進める価値はある。
もう1つの食料を供給するという側面は、食料安全保障の観点からTPP対策には必須である。
今の世界情勢は、国連の非力、国益のぶつかり合いの政治、経済の中で、食料逼迫時代となった場合に、頼れる国は、どこもないからです。
農地、用水は輸入できないのです。
食料安保を踏まえたTPPの農業対策について私の考えを述べる。
第1に、太平洋戦争直後を思い出し、生きるための最低限の食料(世界的食料逼迫時でも国民の最低のカロリーが確保できる力)を想定する。
第2に、それを供給できる農地を対象農地として特定する。そこには平常時は、必ずしも対象作物を作らなくても、逼迫時に、その作物が作れればいい。例えば、平常時には牧草地、食料逼迫時には、馬鈴薯を作るなど。
担い手、技術、資源が必要という意見もあるが、この中で尤も重要と思われるものは、農地すなわち土壌である。土壌の醸成が一番年月がかかるからである。
第3に、対象農地は、国が基盤整備を行うなど関与を強め、私権を制限する。ここには、農地法、農振法を厳格に運用する。
耕作放棄地に注目されているが、相続により、毎年1万ha以上が非農家に農地がわたっていると聞く。また、収穫しない果樹を植えただけで税金を逃れている農地もある。
第4に、対象農地は、売買、貸付などにより、個人、法人を問わず、自由に農業生産に参入できるようにする。
第5に、これらの経営は、不足払い制度により持続可能な経営とする。
農業を成長産業として食料自給率を向上させる考えでは、一部の農産物生産の強化にはなるが、逼迫時に食料の質、量を確保できない。
工業製品であれば、平常時の対策の延長線上に不測の事態の対策を考えてもいいが、食料の逼迫は、命に関わるからである。
最初から不測の事態を想定し、その対策を打ったほうが、わが国の財政からいって得策と考える。
コメント
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