京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。主夫見習い中。
美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

「根付け」がこんなにすばらしい物だったとは

2013-11-14 06:29:16 | 美術・博物館

今回は『根付け』です。
根付けは名前を知っている程度でしたが、先日NHK「美の壺」のアンコール放送を見て、大変興味を持ちました。根付けの奥深さ、魅力を初めて知りました。





根付けとは携帯電話にぶら下げられている、キャラクター 付きのストラップ。このストラップの元祖が、根付です。今も昔もお洒落小物は人気があります。




根付は江戸時代に流行り、印籠や煙草入れと組み合わせ、着物の帯 につり下げていました。大名から庶民まで皆、お気に入りの根付を持っていたと言います。





お伊勢参りの記念として買い求められたそうです。



以下、番組で紹介された根付け名品と解説を紹介します。

根付の逸品「つるべに蛙」。井戸水を汲みあげる桶に、蛙が鎮座 するしゃれたデザインで、大きさは1センチにも満たないものです。





こちらは3. 5センチほどの蕎麦打ち職人です。一分の隙もない細かな彫りが印象的です。根付は置物ではなく、帯にさげられるもの。そのため根付師と呼ばれる職人は、 360度、どこから見られてもいいように、彫刻を施したのです。





根付にはもう一つ特徴があります。これは中国古代の仙人をかたどった根付で す。






デザインは物語の登場人物、干支の動物、身の回りのものまで千差万別です。
根付鑑賞最初のツボは 「“極意は小さく丸く”」で、根付ならではの、美しさがあります。
そんな根付の名品がこちら。江戸時代後期の名工・鈴木正直の作で、大きさはわずか4センチほどです。イノシシの足が巧妙に折りたたま れています。







こうした丸く小さな根付で、正直はその名をはせました。
正直の子孫、阪井正美さんは、正直の技を受け継ぐ五代目の根付師 です。
朝熊黄楊(あさまつげ)という地元でとれる硬い木にひたすら彫りを加えていきま す。一つ完成するのに1ヶ月。根気のいる作業です。これは初代正直の手になるデザ イン集す。ここに丸いデザインの秘密があります。
あくまで写実的でありながら、ポーズを工夫して丸くしようとしていることが分 かります。
特に難しいのが龍。この細長い体を、いかに自然に丸めるかが思案のしどころ。 結局このポーズに行き着きました。






実際に彫ってみると見事に丸 まっていますね。これが正直以来、脈々と受け継がれてきた根付の形です。丸ネズミは正直の作品 の中でもとりわけ人気の高かったものです。






「手のひらの上の小宇宙」と言われる根付。その小さく丸い世界は実用性と芸術 性をともに実現しようとした職人の心意気が、生み出したものだったのです。

今度は根付を江戸の人々がどう楽しんだか、探っていきましょう。
小野里三昧さんは、今最も将来が期待されている根付師です。 古来人々に愛されてきたカッパ。三昧さんは妖怪や動物の根付を得意としていま す。
いつも水が入っている頭のお皿ではスズメが水浴び中。古くからあるテーマにひ とひねりユーモアを加えるのが、三昧流です。





こちらは猫・猫・猫。この猫たちが合わさると、なんと一匹の猫の顔になります。






作品の元になったのはこの江戸時代の浮世絵。三昧さんにとって根付とは江戸の 心を体現するもの。絶えず古い根付の心を探りながら、制作に取り組んできたと いいます。

根付鑑賞二番目のツボは 「粋な遊び心を楽しむ」。
江戸時代ならではの、のびやかな精神を根付に見ていきましょう。
こちら、どうみても本物の栗?と思いきや、実はこれも根付なんです。質感まで本物そっくりにつくってあります。勘違いしない人、いませんよね。






根付けで謎々も楽しめます。草履の上に蛙、さて、その心は?





草履は旅の象徴。そこに蛙を合わせて「旅から帰る」。旅から無事に帰る、という願いが、込められているのです。
こうした謎かけは「判じ物」といい、江戸の人々のお気に入りでした。
ではこの判じ物は、どうでしょう。中央に、草刈りなどに使う鎌。その下に奴 (やっこ)の文字。そして周りをとり囲む輪っか。このなぞなぞ解けますか?
(やっこ)の文字。そして周りをとり囲む輪っか。






では正解です。 これは「か、ま、」ですね。奴(やっこ)は「ぬ」と読むのがポイント。そして 「わ」。つまり「か・ま・わ・ぬ」。江戸で流行っていた洒落だそうです。
どうしてこんな根付が生まれたのでしょうか?
お上を笑いとばすかのような、とぼけた根付をお目にかけましょう。ぼた餅をくわえた小僧さん。さっと振るとおもちをぱくり。
口が開いたり閉じたりす る、からくりの根付です。







江戸の庶民が幕府の目をかいくぐりながら育んだ遊びの精神が発揮されています。
根付好きのどのお客さんもきまってすることがあるそうです。それはとにかく根付を触ることだと言います。単に品を手に取るのではなく手のひらで味わうように触ります。

最後の壺は “なれ”を味わう。
なれこそ根付の鑑賞に欠かすことのできないポイント。なれとは年月を経た根付が変色した り人が使い込んだことで、すり減ったりした状態をいいます。

象牙でできたイノシシの根付を江戸時代と昭和のもので比較してみます。昭和の方は象牙特有の白い輝 きを放ち、毛並みの彫りも細かく揃っています。





一方200年前の根付は、全体が黄色く変色し、彫り も一部消えかけています。これがなれです。






根付の愛好者にとってなれが大切なのはなぜなのでしょうか?
アメリカ人の根付コレクター、ジェリー・メステッキーさん。10年前、根付の繊 細な技に日本ならではの美を見いだし収集を始めたといいます。やがて根付には、さらに奥深い世界があることを知ります。それが「なれ」を味 わう精神でした。
メステッキーさんが集めているのは、よくなれのでたものばかりです。250年ほ ど前に作られた根付。古びた象牙特有の温かな飴色が、気に入っています。





猿回しに扮した猿。一体どれだけの人が、こpの顔を触って、楽しんできたことで しょう。 なれとは、先人達の手のひらの記憶。 なれを味わうことは、根付への愛を受け 継いでいく事なのです。





いかがでしたでしょうか。なかなか粋な趣味ですね。


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