京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

『相田みつを』日曜美術館

2015-02-23 05:45:25 | 美術・博物館

今回の日曜美術館は『自分のことば じぶんの書 ~書家で詩人・相田みつを~』です。
番組で紹介された書を紹介します。




私にとっては、相田みつをは生き方の伝道師みたいところがあります。
自分の心のありのままをさらけだし、相田はそれを書にする。
心をさらけだすことはできるようで、とてもできないことです。
また現代はありとあらゆる情報が手に入り、多くのことがわかりますが、
逆に自分のことは、知っているようで知らないものです。
ですから、相田の書を見ると自分の心がえぐられたようで、ドキッとします。


よく知られた作品です。

『にんげんだもの』1980





作者は書家で詩人、相田みつを(1924~1991)です。
60歳のときに出版した『にんげんだもの』はミリオンセラーとなり、
平成3年67歳で亡くなるまで創作を続けました。
独特の書体で、心に響くことばを創り続けた、 『にんげんだもの』は、
初版から30年を迎える現在も、多くの 人に深い感銘を与えています。


「そのとき」1970年代後半




相田みつをは栃木県足利市に生まれ、19歳から書を習い始めます。
着実に伝統的な書の技法を習得し ていきますが、その一方、
現代には現代の書をかかなければならないという思いが強くなります。
ろうけつ染めを用いた前衛書や詩文書などに挑戦。高い評価を得ます。

書への探求心は強くなるばかりで、思いや感動を伝えるにはどうしたらいいのか。
たどり着いたのが、自分のことばをじぶんの書で伝える、ということですた。
相田は書壇を離れ、独自の道を歩み始めます。
自分と向き合って、素直な自分をさらけ出し、書にするのです。

「わたしは人間を」1950年代前半





「自画像(ろうけつ)」1955





「しあわせはいつも」1958 ろうけつ染め





相田は生活のために、企業の包装紙デザインもやっていました。


「古印最中包装紙」1961





「MEETサブレ包装紙」1963





「自画像」1960年代後半
ドキッとします。





そんな相田に影響を与えたのは、仏教です。
擦りきれるほど愛読した道元禅師『正法眼蔵』に深く傾倒します。





18歳から仏教を学び始め、生涯の師と出会います。





禅僧武井哲應(1910ー1987)が開く 『正法眼蔵』の講義に30年以上通い続けました。
私も 『正法眼蔵』は読みましたが、非常に深い書物です。





武井老師から学んだ仏の道。特に影響を受けた言葉は、
「仏道をならふといふことは自己をならふなり」です。
良い師に出会うのは最上の喜びでしょう。





「弱きもの」1974





「自己顕示」1986





晩年の作
「雨の日には」1991





四十代の「雨の日には」1970年代前半





五十代の「雨の日には」1980





「しあわせはいつも」1991












東京丸の内に相田みつを美術館があります。
今生誕90年を記念した展覧会が開催されています。
来館者は年間40万人、多くの人が何度も繰返し足を運ぶそうです。

相田の作品を見て、共感する自分を探しているのかもしれないですね。




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6 コメント

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おはようございます (まー君)
2015-02-23 08:06:54
相田みつをは私が住む栃木県南部の足利市の出身です。彼の書体と名言の数々はこころに響きます。それは自分が忘れていた事を、気づかせられるからでしょう。以前は日めくりカレンダーを購入し日々名言を読んでいました。
足利市は、足利学校でも有名ですね。
相田みつを美術館 (葉月)
2015-02-23 08:14:07
おはようございます。

丸の内の美術館の事をコメントしようとしましたが、とうに御存知でいらっしゃいましたね。
わたくし、しょっちゅう前を通るのです。
通るたびに『入ってみたい』と思うのですが、今日もまた通りすぎてしまいます。

いつでも行けると行かないものです。トホホ。
京都で…さん、東京にお越しでしたら是非に足を運んでくださいまし。

昨日の記事の空の色、素晴らしいですね。
春霞もなく、スッキリと澄んだ空気を感じます。奥の群青まで見えるようです。
相田みつを (tango)
2015-02-23 11:56:34
この方の作品はこころに響きます
当店でも一時作品のこぴーがとてもよく売れました
また、整骨院にもはってあります、カレンダーも見かけます

読みながら自分に言い聞かせます
常にな・る・ほ・ど…思い当たります!
字体も魅力的です
ちょっとでも反省しよう
ちょっとでも真似をしよう
ちょっとでも心を寄せて見ましょう
目にしたとき心にとめるのですが……
難しいことばかり!でも大好きな言葉~~~
これを真似して書く方も多いけれど心が
ないと思うのですよ、私は!
まー君さんへ (京都で定年後生活)
2015-02-23 14:34:16
こんにちは
相田みつをの書は、実に味わい深いです。
内面を深く見つめ、心から絞りだした言葉は、見るものに深く突き刺さります。
相田みつをの本も読みましたが、深く曹洞宗に傾倒されていました。相田も座禅で自己を見つめたのだと思います。
私も一度、曹洞宗の座禅会参加したことがありますが、臨済宗で慣れ親しんだ私にはかなり違和感があり、その後参加はしておりません。
今はもっぱら臨済宗の座禅会通いです。


葉月さんへ (京都で定年後生活)
2015-02-23 14:39:13
こんにちは
わざわざお気遣いいただき、ありがとうございます。
週末に東京に行きますが、時間があれば相田みつを美術館にも寄ろうと考えております。

葉月さんの職場がお近いようですね。
ぶらぶら歩いてみるつもりです。

雨が降らなければと願っています。
一応雨男ではないはずですが、、、。

tangoさんへ (京都で定年後生活)
2015-02-23 14:50:31
こんにちは
現在相田みつを生誕90年の展示会が東京で開催されています。
こういう展示会が、全国で巡回すればと思うのですが、、、。
心にズキズキ突き刺さるような言葉、書ですね。

人間はどうしても傲慢になりがちですから、こういう書に出会うと、心が落ち着きます。
なかなか自分の内面と、向き合うのはできないことですが、努力したいです。

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