京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

疫神社の夏越祭から、『うるしの近代』 展

2014-08-01 05:09:02 | 美術・博物館


それにしても昨日は暑い一日でした。
今年は祇園祭が古式に戻り、前祭と後祭に別れ、山鉾建て、宵山、巡行もダブルで楽しむことができました。
祇園祭祭好きには、たまらない年でした。
昨日は、祇園祭の最後の締めとなる、八坂神社疫神社の夏越祭が行われ、私も行ってきました。




祇園祭関係者も集まり、今年の祭の成功に喜んでいました。
一般の方もお参りできるのですが、長蛇の行列で、私は昨年に続き今年も参拝は断念です。









八坂神社から京都国立近代美術館に向かいます。
『うるしの近代 京都、工芸前夜から』が開催されています。




漆器、現在は身近な存在でなくなりました。
でも、正月や祝いごとなどのハレの日には、今でも使われています。
わが家でも、お客様がいらした時は、漆器を使うことが多いです。
日本では、はるか昔から漆はとても身近な存在でした。
文房具、装身具、飲食器などに幅広く用いられてきました。
庶民の日常使いから、蒔絵などの装飾を施す漆芸に至るまで、日本人の生活を潤してきました。

明治6年(1873)、ウイーン万国博覧会に日本で初めて国家として参加しました。
その時、欧米に工業面では大きく劣っていたため、海外に発信できる数少ないのが、巧みの手技が結集した工芸品です。

京都の漆芸に大きな影響を与えたのば、浅井忠や神坂雪佳です。
浅井忠は、2年間のパリ留学を終えて帰国すると、1902年に開校した京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)の教授に就任します。
浅井忠の図案指導は後世に大きな影響を与えます。
また、この頃神坂雪佳も京漆園(1906)で図案の指導を行います。

展示会では、京塗を代表する塗師の木村表斎、明治の蒔絵師として名高い富田幸七、近代工芸の革新に中心的な役割を果たした浅井忠と神坂雪佳という二人 の図案家の作品が展示されています。
そして彼らの指導を受け、京都を代表する漆芸家となった迎田秋 悦、戸嶌光孚などの作品も、海外の美術館から の里帰り品も含めて一堂に展示されています。

素晴らしい漆芸の作品にうっとりしてしまます。

ところで、浅井忠も、神坂雪佳も表現方法やモチーフで琳派の影響をかなり受けています。
神坂雪佳の作品は、琳派そのものと言えます。
琳派が、ヨーロッパのアールヌーボーに極めて大きな影響を与えた日本美術という、時代的背景があったからだと思います。















繰り返しますが、ほんとうに素晴らしい漆芸の作品に感嘆しました。


近代美術館3階で漆芸の展示が行われていたのですが、4階では、『コレクションギャラリー』、京都国立近代美術館所蔵の近代の美術・工芸・写真が展示されています。

驚いたことに、ピカソの作品が展示されているのです。
ピカソ、「静物ーパレット、燭台、ミノタウロスの頭部」1938
スケッチ6点です。
ピカソのキュビズム時代の作品です。
これは、見る価値があります。

日本画では、「夏の日本画」のコンセプトで、林司馬、土田麦僊(朝顔)などです。
写真は、ユージン・スミスの作品、井田照一の1970年代の版画、工芸と民藝では、河井寛次郎や冨本憲吉などの作品が展示されています。

さらに、「ヨシダミノルの絵画1964ー1967」も展示されています。
ヨシダミノルは、1935年大阪生まれのモダンアートの作家です。










この美術館に来たとき、必ず撮影する景色