京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

『本阿弥光悦 日本最強のマルチアーティスト』日曜美術館

2013-11-16 06:20:08 | 美術・博物館

今回の日曜美術館は『本阿弥光悦』です。
光悦については、教科書で習った記憶があるくらいで、今まで作品をじっくり鑑賞したことはありません。





本阿弥光悦(1558~1637)は桃山時代から江戸時代初め、漆芸・書・陶芸 などジャンルの垣根を飛び越え、いずれの分野でも「光悦風」と呼ばれる、斬新華麗な作品を 残し「日本のダ・ヴィンチ」とも言われる人物として有名です。






光悦は京都で室町時代から続く、刀剣の砥ぎと鑑定の名家・本阿弥家に生まれました。町衆の身分 でありながら徳川家康や加賀前田家、烏丸家など一流の武家や公家と深いつながりを持ち、文 化人として京都の顔役的存在でした。
国宝や重文に指定された、光悦の「漆芸」「書」「陶芸」の傑作の、空前絶後のユニー クさをトップアーティスト が、その秘密に迫っていくという番組です。

番組で紹介されました光悦の作品を紹介します。

山のように盛り上がった漆の硯箱には、度肝を抜かれそうです。
橋を見立てて鉛を使う斬新さ、デザインは、日本工芸史上屈指の名品と言われています。
刀剣の砥と鑑定の家に生まれたことが、斬新な作品に生かされているということです。

国宝「舟橋蒔絵硯箱」




重文「樵夫蒔絵硯箱」
樵の足は、貝殻、着物は鉛、山の稜線は箱のなかともつながるデザインは見事です。




重文「群鹿蒔絵笛筒」
直径4センチの筒に23頭の鹿が貝や鉛で描いています。




光悦は書家としても一級で、光悦が生涯打ち込んだのが書と言われています。

「四季花鳥下絵新古今和歌集和歌色紙帖」









光悦の書の最高傑作 重文「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」
鶴の絵の作者は、「風神雷神図」で有名な俵屋宗達です。
絵の上に歌を書くというのは光悦が初めてでした。





初公開の新古今和歌集和歌巻
この下絵も 俵屋宗達です。





1615年、58歳の光悦は徳川家康より、京都鷹峯の土地を拝領します。
光悦はここに、筆や紙をつくる職人をまねき、今で言う芸術村をつくります。ここで熱中したのが茶碗作りです。ここでも、それまでの常識を覆す画期的な作品を作り続けます。

重文「赤楽茶碗 雪峯」
茶碗に走るひびを金色の漆で埋めているのですが、それがびっくりするような迫力感があります。





重文「黒楽茶碗 雨雲」
今にも雨が降りそうな真っ黒な雲を茶碗に描いています。





重文「赤楽茶碗 乙御前」




国宝「白楽茶碗 不二山」
国産の茶碗で国宝に指定されている2つのうちの一つだそうです。窯のなかで、偶然たんかした色合いの茶碗で、光悦は二つとはできないという意味で「不二山」と名付けたそうです。





「黒楽茶碗 七里」





光悦の死後屋敷は寺となり、境内には光悦の墓碑がある「光悦寺」ですが、紅葉のきれいなところとして有名です。毎年見頃時期には大勢の人が参道に集まります。私もほぼ毎年紅葉の見頃に光悦寺、源光庵なを訪れます。
以前撮影した光悦寺の参道です。