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小6少女自殺 なぜ救えなかったのか

2010-11-16 09:20:57 | 多文化共生
(以下、信濃毎日新聞から転載)
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小6少女自殺 なぜ救えなかったのか 11月14日(日)

 同級生から無視され給食をひとりで食べていた。「くさい」「近寄るな」といった心ない言葉も投げかけられていたという。「やっぱり『友達』っていいな!」という描きかけの漫画を残し、自ら命を絶った。群馬県桐生市の小学6年生の少女である。

 SOSはあった。本人のいじめの訴えを受け、両親が学校に何度も相談していた。学校側も少女の孤立に気づいていた。なぜ救うことができなかったのか。

 学校側は当初、「いじめは把握していない」と説明した。その後の調査で「いじめがあった」と転じたものの、自殺との因果関係は認めない。事の重大さから目を背けているようにみえる。

 市長が市教委に調査の続行を指示した。もっともである。子どもたちの間で何が起きていたのか。徹底した調査から事実を明らかにすることだ。少女へのせめてもの償いであり、再発防止につなげるためにも欠かせない。

 両親によると、いじめは5年生のときに始まった。フィリピン人の母親のことを同級生にからかわれたという。外国人に対する子どもたちのまなざしが気にかかる。この時点で学校側は踏み込んだ指導ができていただろうか。

 いじめの背景に「学級崩壊」があることにも注意が要る。市教委によると、学級は6年生になってから落ち着きがなくなり、給食の時間も「仲良し」同士が勝手に集まるようになった。

 こうした情報は教員の間で共有されていたのか。担任をサポートする態勢は十分だったか。学級崩壊に気を取られ、少女の苦しみをくみとりきれなかった面がないか。丁寧な検証が要る。

 再発防止策は簡単ではない。いじめが起きたときは、加害者と被害者のほか、傍観者の存在を見過ごせない。今回も自分が標的にされないよう、見て見ぬふりをしていた児童がいたかもしれない。

 さらに複雑なのが、多くの子は状況次第で加害者にも被害者にもなることだ。首都圏の小中学生を対象にした国立教育政策研究所の調査では、8割以上がいじめの被害、加害をともに経験している。

 いじめた側を罰するだけでは、解決は難しい。どうしたらいじめを止められるのか。教師も、親も事実と向き合い、粘り強く対策を話し合うほかない。地域も連携のあり方が問われている。

 桐生市教委は、調査結果をできる限り公表してもらいたい。二度と繰り返さないために、苦い教訓が広く共有されるべきだ。

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