多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

ブラジル人学校で月謝を払えない家族が続出

2009-01-30 09:05:48 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【茨城】から転載)
=========================================
ブラジル人学校で月謝を払えない家族が続出

2009年01月29日
写真

「国際教室」で学ぶ日系ブラジル人の児童。気兼ねなくポルトガル語を使えてホッとするという=20日、常総市水海道天満町の水海道小学校

 日系ブラジル人たちを取り巻く雇用情勢の悪化が、子どもたちの教育環境にしわ寄せされている。私立のブラジル人学校では5万円前後かかる月謝を支払えない家族が続出。一方で、ブラジル人学校に通えなくなった子どもの受け皿となる公立小学校は、自治体の財政難で通訳の配置などに十分な支援策を取れないのが現状だ。(川上裕央)

 ブラジル人学校は、2月に新学期を迎える。更新契約がピークの1月、今年は異変が見られた。
 「新学期から半日のコースに変更したい」
 下妻市堀篭のブラジル人学校「エスコーラ・ピンゴ・デ・ジェンテ」に問い合わせの電話が相次いだ。両親のいずれかが職を失ったり、給与が圧縮されたりして、月謝4万5千円(3歳まで5万円)を支払う余裕のない家庭が増えたためだ。
 同校では昨年で、200人弱いた児童生徒数が半減した。退学に歯止めをかけようと、新学期から高学年を中心に月3万円の半日コースを新たに設けると、半数の生徒が変更を希望したという。
 校長で日系2世の吉田・マリア・シズ子さん(56)は頭を抱える。同校には日本人の日本語教諭を含め教員が8人いる。生徒や授業が減っても、学校運営には教員は削減できないため、今年は教員の賃下げで対応せざるを得ない状況だ。
 同校は土浦市、牛久市、栃木県小山市などからバスやバンで子どもの送り迎えをしているが、公的な支援は受けていない。吉田さんは日伯両国の政府や自治体に財政支援を求める一方、雇用環境の改善を切望する。「パパやママの仕事を確保してあげないと、学校がつぶれてしまう」。そんな思いを込め、18日に都内であった在日ブラジル人のデモに参加した。

 学費の高いブラジル人学校から、日本の公立学校に移る子どもたちも少なくない。常総市立水海道小学校は児童数611人のうち、外国籍の児童が1割を占めている。市内では最もブラジル人の子どもが多い公立校だ。
 「クワトロ(4)、マイス(足す)、オイト(8)は。えーっと」
 ブラジル人の男子児童が、両手の指を折りながら、足し算の60ます計算を解いていた。日本人教諭に在日ブラジル人2世の通訳が言葉の助け舟を出す。同校に設けられた「国際教室」だ。日本語が苦手な外国籍の児童は、国語と算数の時間にこの教室にやってくる。
 月々の費用は給食費など4千円前後で済み、ブラジル人学校より負担は少ないが、常に日本語がネックになる。国際教室には24人が学ぶ。さらに1~2月上旬にかけ、ブラジル人児童6人が転入してくる。ほとんどがブラジル人学校からの転校組だ。
 常総市教育委員会によると、市内の小中学校14校に在籍の外国人の児童生徒数は08年5月1日現在165人と、1年前から2割増えた。同市は、日本語の堪能なブラジル人通訳4人をパートで採用し、3校には配置している。しかし、児童生徒数が比較的少ない11校には一切回せていない。
 通訳不足から起きる問題は、児童生徒への学習面だけにとどまらない。給食費など家庭からの持ち物の確認、安全に登下校する方法などの生活指導まで学校生活すべてにかかわる。子どもよりも日本語が分からない保護者も珍しくなく、電話もままならないという。
 学校現場からは「通訳の数は多い方がよい」との声が強い。同市教委は09年度予算で増員を要望しているが、担当者は「財政が厳しい中で、予算措置されるかどうかはわからない。最悪でも現状維持はしていきたい」と話す。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿