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「同床異夢の『日本語能力重視』」

2008-02-26 21:22:39 | 多文化共生
 外国人をどう生活者として地域で受け入れるか。これは国の所管でいえば総務省だろう。外交を所管する省庁が、日本国内の地域社会の現在抱えている問題や今後のあり方など展望できるのだろうか。
 このブログでは否定的コメントをつけたくなるような記事は掲載しないのだが、当記事は、後日にも役に立ちそうなので、スクラップしておくことにする。

(以下、NIKKEINETから転載)
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更新:2008/02/25
「同床異夢の『日本語能力重視』」

政治部・永澤毅(2月18日)

 「日本語ができる外国人は、どんどん日本に入ってきてもらったらいいじゃないか」――。

 きっかけは高村正彦外相の一声だった。外務省と法務省は日本で長期滞在を希望している外国人の入国審査や在留期限の延長にあたり、日本語がどれだけできるかを考慮する制度を設ける検討を始めた。年明けから、課長級の会合を3回開いた。

 ある外務省幹部は「『日本語ができないと入国できない』というのではなく、『日本語がある程度できるから、他の要件を低くして入国を認める』というような方向に持っていきたい」という。イメージするのはIT(情報技術)や娯楽・芸能といった専門的・技術的分野での就労が目的の場合で、一定の技術や才能がなければ日本への滞在を認めないが、日本語能力があれば条件を緩和してはどうかというものだ。

 外務省には海外での日本語普及に役立てるという理屈もある。同省は独立行政法人の国際交流基金を通じ、海外での日本語普及事業に取り組んでいる。この幹部は「有能な外国人が日本語を学ぼうと思う動機づけをすれば、日本語普及に一役買える」と説明。政府は日本語の学習拠点を来年度中に現在の7倍にあたる約70カ所に拡充するが、今後はさらに増やす方針だ。

 ただ、ことはそう単純ではない。「外国人への管理を強めたい法務省と、必ずしもそうではない外務省。日本語能力を重視すると言っても同床異夢だ。議論がまとまるのか」。国内で外国人対象の日本語教育事業を所管する文化庁は指摘する。

 制度の検討を進める外務省領事局外国人課によると、事務レベルの議論の出発点は在日外国人問題にあったという。1990年の出入国管理・難民認定法(入管法)改正により、中南米などから多くの日系人の2、3世が日本にやってきて、大半は単純労働の職に就いた。

 仕事場である工場の周辺に住んで、母国語が通じるコミュニティの中にいれば、日本語ができなくても暮らしていける。半面、周辺住民との交流は不足しがちになり「昼日中から学校に通っていない子どもたちがたむろしている」「ゴミ出しの日を守れない」など、不安や不満を生んでいる。「言葉の壁」によって生じる混乱の芽をどう摘んでいくかが、法務省などの関心事だ。

 日本国内に滞在届を出している外国人は2005年末までに200万人を突破し、約10年間で65万人も増えた。外相は「前から言われていたのに、検討がちんたらちんたらしていた。前に進めたい」と意欲を示すが、ことの本質は外国人労働者の受け入れ問題だ。外務、法務両省が「日本語能力」に限った具体案をまとめたとしても、経済産業省や厚生労働省、経済界や労働組合など、関係省庁や団体との調整というハードルが待ち構えている。法相の経験者でもあり、外国人労働者を取り巻く事情にも通じた高村氏は複雑なパズルをどう解くのだろうか。

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