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外国人学校 日本語教育に公的支援を

2015-01-21 16:41:30 | 多文化共生
(以下、京都新聞から転載)
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外国人学校 日本語教育に公的支援を
滋賀北部総局 古市大

新校舎を喜ぶ日系ブラジル人の子どもたち (東近江市甲津畑・日本ラチーノ学院)
  高齢化が進む東近江市甲津畑。1月中旬、滋賀県最大のブラジル人学校「日本ラチーノ学院」が移転した。廃校だった小学校にポルトガル語の元気な声が響き、学校関係者や住民が喜んだ。だが課題は多い。将来も日本に残るとみられる生徒約140人の多くは、日本語が十分話せない。
 「卒業後、日本の大学に進みたい。授業は面白いけどここで日本語を覚えるのは難しい」と高校3年のラファエル・ペドラーザさん(17)はポルトガル語で話す。ブラジルの教育カリキュラムに基づき授業を行う同校で日本語授業は、高校から週1回100分だけ。外国語専門学校講師や京都外国語大生、同大OBが2年前からボランティアで担当。日本語講師の猪原悦子さん(62)は「日本人と接触する機会も少なく、この授業時間で日本語上達は難しい」と話す。滋賀県愛荘町のブラジル人学校「サンタナ学園」でも日本語教室が、国の補助金の打ち切りにより今月で終了するなど外国人学校での日本語教育は十分とはいえない。
 ラチーノ学院では、昨年の高校卒業生10人はブラジルに帰らなかった。既に生活基盤が県内にあり、定住化が進んでいるためだ。多くの生徒は日本の専門学校で日本語を学んだり、就職するという。ボランティアとして日本語を教える京都外国語大2年川上ラファエルえいじさん(20)=東近江市=は「8割以上が日本に残る。だが、県内のブラジル人コミュニティーは連帯感が希薄で、滋賀で暮らすには自立する覚悟がいる」と話す。
 外国人学校に対して滋賀県と国は授業料や運営費を一部補助するのみだが、愛知県や浜松市など支援に積極的な自治体もある。浜松市は市内4つの外国人学校に日本語教師を常駐させ、授業料や教科書購入も一部補助する。同市国際課は「定住化が進み、不可欠な支援」と説明する。
 また、県内のブラジル人コミュニティーは日本人との交流が少なく、日本の習慣を学ぶ機会が少ないという。川上さんは「日本のルールを知らず勤務先でトラブルになることもある。リーマン・ショック以降、行政支援が比較的ある群馬や愛知などに移った人も多い」と話す。
定住化が進む中、両親が日本語を話せない家庭の子どもが、日本語を習得できないという悪循環が生まれつつある。外国人学校は、日本語が不自由で公立学校になじめない子どもの大切な受け皿だ。だが、日本語を十分話せない職員も多く、生徒に有益な情報を教えられなかったり、必要な援助を行政に伝えられないケースがある。
 ラチーノ学院の移転は、厳しい学習環境を視察した甲津畑自治会と同市が住民と話し合いを重ね、納得した経緯が注目される。こうした外国人学校を地域で見守る寛容な姿勢、併せて日本語教育を充実させる公的支援が必要だ。
[京都新聞 2015年1月21日掲載]

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