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外国人患者受け入れに3つの課題- 認証制度発足でセミナー

2012-10-16 10:30:33 | 多文化共生
(以下、キャリアブレインから転載)
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外国人患者受け入れに3つの課題- 認証制度発足でセミナー

 日本医療教育財団はこのほど、外国人患者への対応や受け入れ体制の整備に関するセミナーを開催した。病院が外国人患者を受け入れる上で「言語対応」「未収金」「安全管理」の3つが課題になるとの指摘があった。

 2010年6月に閣議決定した「新成長戦略」では、外国人の患者が安心して受診できるための環境整備をしようと、医療機関の認証制度が創設されることになった。厚生労働省は認証機関を公募し、日本医療教育財団が選ばれ、今年7月から「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」がスタートしている。
 認証制度は、いわゆるメディカルツーリズムを目的に来日する外国人だけでなく、日本で暮らす外国人への環境整備も目的としている。
 認証では、認定調査員(サーベイヤー)が書面と訪問による調査を行う。評価は、▽受入対応▽患者サービス(通訳・翻訳、院内環境の整備、宗教・習慣の違いを考慮した対応)▽医療提供の運営▽組織体制と管理▽改善に向けた取り組み―の5項目で行われる。
 対象は、日本医療機能評価機構もしくは、Joint Commission International(JCI)の認証を受けた病院となっている。

 日本医療教育財団の石井雅典氏は、認証制度の概要と受審のポイントを紹介した。その中で外国人患者を受け入れる際に、「言語対応」「未収金」「安全管理」の3つが課題になると指摘した。
 「言語対応」では、日本語での対応が難しい外国人が来院した場合、担当者が明確になっていないために現場が混乱したり、兼務で対応する職員の本来業務が圧迫されることなどを挙げた。また、通訳者を付ける場合のリスクについて認識が不足していたり、言葉が全く分からないため、通訳の精度も担保できていないことを例示した。
 解決に向けた取り組みとして、専任の担当者を置いたり、電話通訳を活用したり、自治体と連携し、低コストで通訳を付けたりするといったケースを紹介した。
 また、医療機関・通訳者・外国人患者の3者で、通訳を介する診療のリスクを書面で共有したり、外国人患者に通訳サービスの満足度調査を行った例も紹介した。
 未収金を防ぐために、医療費の概算や計算方法を分かりやすく伝えたり、日本の公的保険制度について周知するケースもあった。
 安全管理については、特に欧米系の患者は、インフォームドコンセントなどを強く求める傾向があり、治療や療養方針について、事前説明を徹底したり、訴訟を回避するためにも、翻訳した同意文書やクリニカルパスを外国人患者と共有し、理解と同意を得た上での診療を徹底している事例も紹介された。

■学術交流を契機に患者受け入れへ

 セミナーでは、外国人患者を受け入れているケースも報告された。
 鹿児島市の「整形外科米盛病院」(94床)は、人工関節置換術などを得意とする単科病院で、昨年から中国・北京市の「中国リハビリテーション研究センター」との学術交流をスタートしている。
 米盛公治理事長・院長は、2年ほど前に中国国内の医療やリハビリに関する調査を依頼した。調査を通じて、中国リハビリ研究センターが日本の方式に近い施設で、リハビリにも意欲的なことから、学術交流を開始。共同で▽外来診療▽外科的治療▽人的交流―を進めてきた。
 外来診療では、研究センターにおいて、米盛病院のスタッフが日本の診断技術(臨床・読影)を示し、中国側が評価するといった診療を行った。
 外科的治療では、米盛病院が最小侵襲手術(MIS)の手技を示し、日本製の人工関節インプラントを提示し、昨年10月から1年間で8件の手術を行っている。
 今年8月には、中国からの患者が訪日し、米盛病院で人工膝関節形成術(TKA)を行った。この際、中国リハビリ研究センターの医師、看護師、理学療法士も参加している。
 米盛理事長は、中国の医療者に日本の医療が本当に良いということを理解してほしいと言い、「そうでなければ、中国から日本に患者を紹介しようという気持ちにならない」と指摘した。
 米盛理事長はまた、外来診療や健診など軽いもので外国人患者を受け入れたいと思うかもしれないが、日本でなければできない、日本で行うから質が高いと思われる入院治療でなければ、受け入れは難しいとの見方を示した。
 また、メディカルツーリズムに対して批判の声はあるとしながら、鹿児島を含む地方は疲弊しており、人口が減っていく中で、病院の医療の質を保つのは、非常に難しいと指摘。「たくさんの患者を診て、たくさん治療を行わなければ、良い医療の質を提供することはできない」と述べ、患者を求めてマーケットを広げていく必要があると訴えた。【大戸豊】

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