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ある日突然、母国語を忘れてしまった少女のお話

2010-06-08 11:40:20 | 多文化共生
(以下、マイコミジャーナルから転載)
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ある日突然、母国語を忘れてしまった少女のお話

2010/06/08

今回はタイトルにもあるように、あることで母国語を忘れてしまった少女のお話。この少女はクロアチアの"Knin"というところに住んでいて、彼女らが通常使う言葉は当然ながら"Croatian(クロアチア語)"。それなのに、あることを境に彼女はその"Croatian(クロアチア語)"が全く理解できなくなり、両親や他の人と話すときは「通訳」を介さないと会話もできなくなってしまったんだそうです。

いったい何が彼女に起きたのでしょう!!??

実は彼女、あることで24時間の間昏睡状態にあったのですが、目を覚ますと同時に彼女は母国語である"Croatian"には全く反応しなくなり、それどころか、ちょっと前から習い始めたドイツ語がネイティブ並に流暢になっていたと言うんです。つまり昏睡状態から覚めてからは、クロアチア語は全くだめ。ドイツ語しかわからなくなったということのようです。

こんなことってあるんでしょうか?

ところが「Though doctors say it's unlikely that the girl's German actually improved because of the coma, instances of lost language and bizarre changes in speech are more common than one may think.」とあるように、医師たちは「この少女のドイツ語が急激に上達したことはまず考えにくい」と前置きした上ですが、昏睡状態から覚めた直後にはこういったケースは希ではなく、意外と多くみられると説明しています。

このような症状のことは"Foreign Accent Syndrome(異質アクセント症候群)"と呼ばれ:

「Those with this disorder will often be unable to speak after suffering a stroke or other brain trauma and when their voices return, they will sound as if they have a foreign accent.

とあるように、昏睡状態にあった者や脳卒中、脳損傷患者がその後言葉を取り戻したとき、その話す言葉があたかも他言語(外国語)のようなアクセントになってしまい、まるで外国語を話しているように聞こえることがあるというのがその実態だとか。

そしてそのアクセントはそのどきどきで異なり、フランス語のように聞こえたり、中国語のようだったり、スラブ語だったりと様々。ただし、だからといってその言語の本当のアクセント(正しいアクセント)とは確実に異なるんだそうですけど……。

しかし今回のクロアチアの少女のケースは"Foreign Accent Syndrome"とは明らかに異なるもの。

「The case of the Croatian teen is a bit more puzzling, however, because she has reportedly swapped languages. Though her condition remains unexplained, experts say her injury may have something to do with damage to the language production centers of the brain.」

と書かれているように、彼女の場合はどうも言語を司る脳の部分に何らかの傷害や影響が加わったことによるものではと医師たちは推察しているようです。

そして未だ解明されてはいませんが、第二言語を学んでいるときこのような傷害を受けると、往々にしてその後(回復後)にその言語の著しい上達が見られるという例が数多く報告されているんだそうです。

またこの記事でもう一つおもしろいのが、

「As long as a second (or third, or fourth) language is mastered in early childhood, it will be stored in the same place as the first, Jokel adds, but languages learned later in life will be stored elsewhere.」という点。

Jokel氏によると、幼い頃に学ぶ他言語(第二、第三、第四言語など)は第一言語(母国語)と同じ脳内のエリア(言語野)に組み込まれるが、後に学ぶ言語は言語野以外のエリアに組み込まれるとのこと。

言語はよく左脳が司ると言われていますが、もしそうなら、ある程度の年齢になってからの語学学習では左脳ではなく……右脳でしか受け止められないってこと???……ひょっとしたらこれこそが私たちが英語や中国語、フランス語など外国語がなかなか習得できない理由なのでは?、ちょっと考えさせられますよね!?

今回のURLはTeen Wakes from Coma Speaking Fluent German - ABC News。興味がある方は是非チェックしてみてください。

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