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高齢女性の万引/背景多様幅広い支援必要

2014-02-12 09:39:56 | ダイバーシティ
(以下、河北新報社から転載)
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高齢女性の万引/背景多様幅広い支援必要

 女性の犯罪に焦点を当てた「2013年版犯罪白書」で、高齢女性に万引を中心とした窃盗犯が急増している実態が明らかになった。
 高齢社会が進展する中、新たな課題として正面から向き合う必要があるだろう。
 白書によると、12年の女性刑法犯のうち、65歳以上は1万6503人。このうち万引が1万3482人で82%に達している。高齢男性の割合(47%)に比べ、際立った数字だ。
 昨年刑務所に入った65歳以上の女性受刑者で見ても、285人中、234人(82%)が窃盗罪で、20年前の13倍に上る。近年は全国の九つある女子刑務所の平均収容率が100%を超えており、高齢女性の万引増加が、刑務所の過剰収容の一因になっている。
 高齢者による万引の背景が多様で、容易に解明できないことが対処を難しくしている。
 万引をした高齢者に関しては、その8割以上が経済的困窮状態ではなかったことが警察庁の調べで分かっている。盗んだ物は安価な日用品が多く、おにぎり1個というケースもある。
 「友人や相談相手がいない」「生きがいがない」など、孤独を訴える高齢者が少なくないほか、認知症を患っているケースなど、心理的・精神的な要因が深く関わる実態も浮かぶ。
 加えて女性の場合は、ドメスティックバイオレンス(DV)の後遺症や、過食症のために食品の万引を繰り返すなど、特有の要因も重なる。法務省が昨年実施した女子受刑者の調査では、4159人中、124人に摂食障害が認められ、そのうちの89人(72%)が窃盗罪だった。
 万引に及んだ背景、要因が複雑に絡み合うだけに、薬物や性犯罪のように一律の指導プログラムを構築するのは難しい。加齢に伴う体調変化など、女性ならではの問題点も踏まえた個別の対応が求められる。
 白書も指摘しているように、医療的な措置や心身のケア等、外部の専門家との連携強化が欠かせない。各施設が事例を積み上げ、情報を積極的に共有していくことも大切だろう。
 そもそも刑務所は男性受刑者の収容を前提にしている。女性受刑者は男性受刑者のように、犯罪傾向の進度や属性によって収容先を区分されることなく、同一施設に混合収容されている。矯正や更生のための教育も、男性受刑者を想定した内容だ。
 その結果、女性刑務所では刑務官の負担が大きく、個別対応が必要な受刑者への目配りも十分にできていないとの指摘がある。男性を基準にしてきた刑務所運営のあり方が限界に達しているのではないか。
 高齢犯罪者は釈放後の身元引受人の確保が難しく、12年に満期釈放された高齢女性の33%は、適当な帰住先がなかった。
 年齢的にも就労先を見つけるのが困難な中で、地域からの孤立と経済的困窮から万引を繰り返すような悪循環が起きないか心配だ。出所後の手厚い支援も社会全体で考えたい。

2014年02月09日日曜日

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