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在留管理新制度  自治体は試行錯誤

2012-07-27 11:52:34 | 多文化共生
(以下、読売新聞【群馬】から転載)
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在留管理新制度  自治体は試行錯誤

 国と市町村がそれぞれ行ってきた在留外国人の管理を国に一元化した新しい「在留管理制度」が今月スタートした。外国人労働者が多数居住する県内では、制度の前提となる外国人の所在確認が難航している自治体も多く、新制度導入を巡る試行錯誤がしばらく続きそうだ。(片岡直人)

 新制度では、新たに「在留カード」を受け取った正規滞在の外国人は、住所変更の申請で国民健康保険も同時に届け出が済むなど利便性が高まった反面、不法滞在者はカードが無く、医療や通学などのサービスを受けられない懸念が生じている。

 人口中の外国人比率が約15%と全国の市町村で最高水準の大泉町は、制度発足に伴い住民票となるデータを記した「仮住民票」を3383件送付したが、このうち299件が現住所不明で戻ってきてしまった。

 県保健予防課によると、厚生労働省は、カードを持たない外国人にも予防接種などは実施することを求めている。しかし、大泉町健康づくり課は、「万が一の副作用に備えて接種後は継続的な管理が欠かせない。住所の把握は必要」と困惑しており、外国人登録証明書に代わる確認手段を探したいとしている。

 予防接種について、県内自治体の対応はまちまちだ。館林市は「不法滞在状態を抜けるよう指導しながら行う」、前橋市は「希望があれば行う」としている。一方、伊勢崎市は「住民票を持たない人には行わない。日本人も同じように対応している」との立場だ。

 制度が始まった今月9日から読売新聞が県内12市と大泉町を対象に調査を行ったところ、発送した仮住民票が戻ってきた件数は安中市(外国人比率0・65%)の0件や、沼田市(同0・95%)の3件のように、ほぼ周知が出来た自治体がある一方、前橋市(同1・28%)は2962件中130件、伊勢崎市(同4・95%)では5572件中約490件が、それぞれ戻ってきたという。新制度自体を知らないままの外国人が多く残されている可能性も考えられる。

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 「一番の心配は子どもの健康。病気にかかったらどうしようと思う毎日。薬代も全額負担になるし」

 東毛地域に住むミャンマー人男性(31)はミャンマーの民主化運動に加わり軍政を逃れて、1999年12月に来日。難民申請がいつ認められるか分からず、在留カードが配られていない。フィリピン人の妻(32)と2歳になる長男、生後7か月の次男と月4万円の2DKのマンションで4人で暮らすが、「新制度について何も説明を受けていない。これから、健康保険や子どもの教育など住民サービスを本当に受けられるのか」と不安そうに話した。

 日本では会社経営の知人からの援助に頼る日々。「カードが欲しい。でも実現するかどうか分からない。心配事がまた一つ増えた」と頭を抱えた。

■ 在留管理制度

 日本に住む外国人に対しては従来、法務省入国管理局が出入国と滞在期間を把握し、自治体が、身分証となる「外国人登録証明書」を発行してきた。証明書は在留資格を問わず発行できたため、不法滞在者も取得できた。今月9日始まった新制度は管理を国に一元化し、外国人も住民基本台帳に記載され、新たに在留カードが渡される。不法滞在者は記載の対象外でカードが受け取れない。
(2012年7月27日 読売新聞)

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