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「まず保育所を」切実

2010-06-22 10:57:18 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【神奈川】から転載)
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「まず保育所を」切実

2010年06月22日
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仕事前に長女を保育所に預ける堀井千帆さん(中央)。長女は待機児童で、週3日の一時保育しか利用できない=横浜市鶴見区

 「行ってくるね。バイバイ」。横浜市鶴見区の堀井千帆さん(37)は自宅近くの保育所で、預けた長女(1)に何度も手を振った。パートの仕事に行く前に、週3回の一時保育を利用している。昨年、認可保育所への入所を申請したがかなわなかった。

 一時保育とはいえ、保育料が4万円を超す月もある。会社員の夫の給料があるものの、堀井さんがパートで得る月給は7万円。大半は保育料に消えている。

 県内では4月1日現在、認可保育所へ入れない待機児童が4117人にのぼる。このうち横浜市が1552人で最も多い。保育所の増設を願う声は切実さが増すばかりだ。

 堀井さんは「子どもが国に求められていないな、とつくづく思う。子ども手当より保育所を増やしてほしい」と訴える。

 菅直人首相が示した子ども手当の方針に、依然として賛否は分かれている。

 堀井さんは「現物サービスの上積みは一歩前進だが、国が真正面から少子化と子育ての問題に取り組まなければ根本的な解決にはならない」と否定的だ。

 親をなくしたり、虐待を受けたりした子どもは支給対象から外れる。こうした子どもを預かる横浜市内の児童養護施設の施設長は「県の基金から同額は支給されるが、使い切らないと返す必要がある。就職や進学に備えて貯金できれば良いのに」と嘆く。

 施設には生活費に困るなどして親が預けた子どももいる。この場合は手当が親に支給されるが、施設長は「これでは施設内の子どもで格差が出てしまう」と疑問を投げかける。

 鶴見区には在日外国人の住民も多い。国外に子どもがいる親の場合、年2回以上の子どもとの面会が支給要件になる。外国人の子どもらをサポートする同区のNPO法人ABCジャパンの比嘉サオリさん(37)によると、同区のブラジル人男性2人は旅費や仕事の関係で要件を満たせず、申請をあきらめた。「もらえるならすごく助かるのに」と話していたという。

 一方、小学6年の長女(11)がいる同区の会社役員の妻(44)は制度を評価する。一定以上の収入があり、児童手当は支給対象外だった。妻は「自民党政権は、企業や官僚に配慮した男の人向けの政治。家族に目が向いていなかった。子ども手当は、国民一人ずつに目を向けた第一歩。続けてもらえるとうれしい」という。

 社会保障論が専門の駒村康平・慶大教授は「衆院選公約の子ども手当は、現金給付に偏り過ぎた。現物サービスをバランス良く組みあわせないと、出生率の回復や、仕事と子育ての両立に効果がない。出生率の向上がないと社会保障も維持できないことをすべての世代が理解し、現金と現物給付が効果を持つ組み合わせを考える必要がある」としている。

(小島泰生)

◇キーワード・・・ 子ども手当

 民主党は昨年の総選挙公約で、中学卒業までの子ども1人当たり月額2万6千円を支給するとうたった。2010年度は半額の1万3千円が支払われる。従来の児童手当とは異なり、所得制限はない。参院選公約では、今後は「1万3千円から上積み」と修正し、上積み分は地域の実情に応じて現物サービスにも代えられるとした。サービスは保育所定員増や保育料軽減、医療費の負担軽減などを検討するという。

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