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企業戦略の一環としてのダイバーシティ、女性活躍推進=大和総研

2012-03-14 12:21:47 | ダイバーシティ
(以下、Searchinaから転載)
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企業戦略の一環としてのダイバーシティ、女性活躍推進=大和総研
【経済ニュース】 2012/03/08(木) 09:32



  経済産業省は3月1日に「ダイバーシティと女性活躍の推進~グロ-バル化時代の人材戦略~」という研究会報告書を公表した(※1)。従来から女性活躍推進というと内閣府や厚生労働省の領域で、女性の権利や労働者の福祉という観点からの政策が多かった。ではなぜ、今経済産業省が「ダイバーシティ」、「女性活躍推進」なのだろうか。筆者自身も委員として参加した今回の研究会では、労働者の立場からではなく、企業経営の立場からのダイバーシティや女性活躍推進について議論を重ねてきた。そして報告書では、ダイバーシティ推進の1つの理由として、グローバル化に対応するために組織としての多様性、つまり、適切な「人材ポートフォリオ」組成の必要性をあげている。更に経営戦略との面からダイバーシティ推進を、「『縮小均衡』から、『価値創造経済』への変革を遂げるために必要な『人材面の構造改革』」と位置づけ、「女性活躍推進」については、ダイバーシティ推進の「イントロダクション」と捉えている。

  日本で男女雇用機会均等法が1986年に成立してから25年、その後育児休職制度などさまざまな女性活躍推進にむけた法制度が整備されてきた。しかしこの2月21日に日本生産性本部が公表した女性社員に関する調査結果(※2)によると役員の女性比率は3.4%、部長が1.8%、課長でも6.8%にすぎない。実際、女性社員の中には、教育してもすぐ辞めたり、上昇意欲や、やる気がない社員も少なくなく、その結果役職にふさわしい女性社員が少ないという職場の現状をみれば、納得できる数字なのかもしれない。しかし、均等法から四半世紀もたつのに、課長職ですら1割に満たない現状を見る限り、日本の多くの経営者は女性活躍推進を経営に生かさず、単なる労働コスト上昇要因としてしかとらえてこなかったように見える。

  確かに、女性を活用しようとすれば、子育てや家庭のため残業ができない社員や、法定で1~1.5年、企業によっては最長で3年にもわたる育休という長い不稼動期間のある社員を増やすことになる。制度のフル活用を当然の権利として職場の同僚への配慮の無い女性社員の弊害が指摘されるケースもある。高度成長時代の企業戦士―会社の指示に従い深夜残業もこなし、休暇もほとんどとらない、つまり高い稼働率の男性社員―を前提としてきた日本企業の経営者にとっては、こうした稼働率の低い社員が増える労務施策は大きな障害に思えるのが当然かもしれない。

  確かに、同一の品質の製品・サービスを大量に生産し販売してきた高度成長時代なら、長時間労働できる男性社員の経営的メリットのほうが大きかったのだろう。しかし長時間労働の弊害も小さくない。会社に長時間拘束されれば必然的に人間関係も仕事中心、考え方も会社の常識に染まっていく。そして自分の健康管理や、家庭生活、趣味や社会活動など市民としての活動に充てる時間は削られていく。そのような長時間労働対応型男性社員は多様な価値観に触れることがほとんどなく、会社や業界の常識内の知識および男性的、同質の価値観や知見に基づいて、硬直的な発想や判断を下しがちになる。

  しかし、グローバル化が進展する中で、企業は顧客や世界中のさまざまなステークホルダーのニーズにタイムリーに的確に対応しなければ生き延びられない状況にある。そこで求められる能力は多様な価値観や社会的状況を理解し、適切に状況判断し対応していく柔軟性であろう。そのためには、社員の多様なジェンダー、国籍、言語、年齢、宗教などの特性を考慮した人材ポートフォリオを持つ必要があるが、その人材ポートフォリオ構築の手っ取り早い手段が、女性活躍推進なのである。人口の半分が女性ということは、顧客市場も労働市場も半分が女性である。

  今回の報告書では、ダイバーシティ推進の経営効果として、女性の視点・センスを生かしたプロダクトイノベーションとプロセスイノベーション、人材確保の優位性、モティベーション向上などの「職場の効果」をあげている。また、女性活躍度と企業業績、企業価値、労働生産性との正の相関性についての多数の調査結果も紹介している。たとえば、OECD諸国においては男女共同参画度と1時間あたりGDPには有意の正の相関があることが報告されている。

  女性活躍推進は、製品開発や、業務において今まで無かった女性の目線から新しいイノベーションを生み出す可能性がある。また女性活躍推進のためには、ワークライフバランスなど働きやすい職場の整備が必要となるが、これが職場の雰囲気や風通しを良くして、モティベーションを向上させる効果も期待される。また報告書では、女性活躍推進のためにトップのコミットメントの重要性にも触れ、今後の重点施策の一つとして女性活躍推進の取組みの情報開示の仕組み構築をあげている。企業経営者は、女性活躍推進の社会的要請を単なるコスト増をもたらす避けたい課題として捉えるのではなく、女性という人財の有効活用は長期的な投資であると認識を変え、その結果日本経済および社会の活性化につなげていただきたい。

  (※1)企業活力とダイバーシティ推進に関する研究会報告書
(※2)公益財団法人 日本生産性本部「第3回『コア人材としての女性社員育成に関する調査』結果概要」

  (執筆者:河口真理子 環境・CSR調査部 株式会社大和総研)

仕事やめ被災地の前線へ 外国人ボランティアの献身

2012-03-14 11:43:22 | 多文化共生
(以下、日本経済新聞から転載)
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仕事やめ被災地の前線へ 外国人ボランティアの献身
「これからも忘れない」 広がる絆
2012/3/14 7:00

 米軍のトモダチ作戦、台湾などからの多額の寄付――。昨年の東日本大震災の際に、多くの国・地域から被災地に寄せられた支援が、今なお絶えることなく続いている。被災地には連日、外国人ボランティアが訪れ、次の支援活動を計画する団体や個人も多い。「あの日を忘れない」外国人ボランティアの今を追った。

被災者に笑顔を――。被災者にフラダンスを教える、米国人ボランティアのキャサリン・スーさん

 「自分のできることで、できるだけ長く被災者をサポートし続けたいと思った」。米カリフォルニア州からやってきたバートン・スーさん(39)とキャサリン・スーさん(32)夫妻は、今年1月から岩手県一関市でフラダンスや絵で被災者の心をケアする活動を続けている。きっかけは昨年5月にボランティアとして日本を訪れたこと。被災した人々の心が深く傷ついているのを実感し、1年間の予定で日本に戻ってきた。

■経済損失約2500万円

 簡単な決断ではなかったはずだ。バートンさんはソフトウエアエンジニア、キャサリンさんは企業の人事担当者の仕事を辞め、車も売った。夫妻が日本に来なかった場合に得ていた年収と、来日中の出費をあわせると、経済的損失は約30万米ドル(約2460万円)にもなるという。しかも日本語は話せない。

 それでも「経済的には厳しいが、1人でも多くの人を励ますことができるなら、何よりうれしい」と屈託がない2人。絵やフラダンスを被災者たちに教え寄り添い続けることが、何よりの支えになると信じている。

震災発生直後の3月下旬、福島県いわき市でボランティアをする、米ジョージア州から来たグレッグ・トンプソンさん

 「たくさんの災害を見てきたが、東日本大震災の被害ほど、ひどいものは見たことがない」。こう話すのは、家族ぐるみで被災地での支援活動を続けている米ジョージア州のグレッグ・トンプソンさん(57)。妻(57)と、震災直後の昨年3月下旬に被災地を訪れ、12日間の支援活動に参加。その後も9月に10日間、10月にも1週間、被災地を訪れた。息子のウィルさん(23)も大学の休みに3週間、岩手県でボランティア活動を行ったという。

 世界中の被災地を訪れた経験があるグレッグさんは、人手が不足する活動も心得ている。昨年3月の訪問時には、原子力発電所の事故の影響でボランティアの希望者が少ない福島県での活動を志願。いわき市の避難所に食料などを届け続けた。

 「私たちの力は小さいかもしれないが、1人でも助けられればと思う。まだまだ支援は必要。米国の人々にも決して忘れてほしくない」とグレッグさん。今年9月にまたボランティアに訪れるつもりだという。

■すでに今夏のボランティア殺到

 被災地の復興の支え手として存在感を増す外国人ボランティアたち。その実数はどれくらいだろうか。被災3県の社会福祉協議会によると、震災ボランティアの延べ人数は宮城県が45万9063人(3月11日時点)、福島県が14万6943人(同)、岩手県が33万6840人(同9日時点)。「その少なくない割合を外国人が占め、今もサポートを続けている」と多くのボランティアセンターは口をそろえる。

被災地で活動する外国人ボランティアは後を絶たない

 被災地支援のボランティア派遣を手掛ける非政府組織(NGO)クラッシュジャパン(東京都東久留米市)の場合、これまでに活動した約2400人の震災ボランティアの半数を外国人が占める。しかも、今なお海外からの問い合わせやボランティアの申し出はひっきりなし。年明けからは今年6~9月の夏休みに被災地で活動したいという申し出が増えており、調整に追われているという。

 震災から1年たち、受け入れ体制が充実したことが大きい。当初、ボランティアは4人以上の団体に限っていたが、昨年10月ごろから個人での参加も受け入れ始めた。その結果、新たな参加者だけでなく活動を繰り返す外国人も増え、今も確実に一定数のボランティアを被災地に派遣できるという。

■安全確保を徹底

 原発事故で避難区域が設定されていることもあり、ボランティアの安全確保も進めている。今年1月、米海軍に勤務経験のあるナタン・ウィリアムスさん(41)を安全管理を担うセーフティーチーフとして採用。ボランティア派遣先の放射能測定などリスク管理の体制を整えた。

福島県で放射線量を測定する、クラッシュジャパンのナタン・ウィリアムスさん

 もっとも、個別の組織が体制を整えるだけでは不十分との見方もある。クラッシュジャパンのエグゼクティブアシスタント、鈴木りべかさん(25)は「日本でのボランティア活動では、政府と非営利組織(NPO)の連携など課題が多い。今後も外国の人々から助けを受けるため、日本側でやるべきことも多い」と指摘する。たとえば地域ごとの放射能の汚染レベルなどは国レベルで対外的に情報発信することが不可欠とみる。既に多くのボランティアが放射能などのリスクを承知の上で、日本を訪れている。その覚悟に何もせず甘えることは許されないのも確かだろう。

 「放射能拡散の不安を感じながら暮らす被災地の人々を思えば、私たちが短期間の支援活動をするのは大したリスクではない」。そう話すのは米ミシガン州に住むケビン・クロースさん(38)。今夏、ボランティアとして初めて来日する予定だ。

 こうした「これからも忘れない」海外の人々の友情と善意に応えるためにも、日本人は彼らの安全を全力で確保しつつ、より一層復興に力を注いでいく必要がある。復興を陰から支え続ける外国人ボランティアの日々の献身を決して忘れてはならない。

(電子報道部 岸田幸子)

外国人住民と日本人が協働 大泉で災害想定訓練

2012-03-14 11:42:56 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
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外国人住民と日本人が協働 大泉で災害想定訓練

2012年3月12日 11時10分

飲食店で大地震に遭ったと想定し、避難やけが人の応急手当てをする訓練=群馬県大泉町で


 外国人と日本人が協力した災害想定訓練が十一日、群馬県大泉町朝日のいずみの杜(もり)であった。震災をきっかけに町内外の日系ブラジル人でつくったボランティアチーム「We are with You」が町と初めて開いた。

 外国人が人口の約15%を占める大泉町は、震災で震度5強を記録した。訓練には日系ブラジル人や日本人ら約二百人が集まった。

 参加者は、飲食店内で大地震に遭ったと想定し、椅子や机が倒れ、食器が散らばった会場で訓練した。けが人や意識不明者、目が不自由な人らがあちこちにいるとの前提で、参加者は助け合って安全な場所まで避難し、けが人に応急手当てや人工呼吸、心臓マッサージなどをした。

 チームの代表で同町のレストランオーナー、マルコ・アントニオ・宮崎さん(47)は「災害では情報を知らずにパニックになるのが一番怖い。国籍を問わず協働することが必要だ」と話した。日系ブラジル人の子どもらによる震災を題材にした寸劇や、ブラジル料理のスープの炊き出しなどもあった。

(中山岳・東京新聞)

「空の花形」客室乗務員にも「多文化」ブーム

2012-03-14 11:42:29 | 多文化共生
(以下、東亜日報から転載)
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「空の花形」客室乗務員にも「多文化」ブーム


MARCH 12, 2012 06:53

「うわ、すごいですね。韓国語ができるの?」


入社後の初めての乗務で韓国人乗客からかけられた言葉の中で覚えている言葉は何かと言う質問に、ウズベキスタン国籍のガリーナ・ゴルシュキーナさん(26・女)は、ためらうことなくこのように答えた。一人のお婆さんに、癖のある韓国語で「荷物を棚に入れましょうか?」と尋ねたところ、返ってきた反応だった。彼女は、「その一言に、『韓国人乗客らは外国人乗務員を嫌うのでは』と言う心配がなくなった」という。06年から、アシアナ航空で働いているゴルシュキーナさんは、同社の外国人客室乗務員の一人だ。


●母国語・英語・韓国語を難なく駆使


最近、アシアナ航空や大韓(テハン)航空など、国内国籍の航空会社の国際線に乗れば、韓国語に慣れていない外国人乗務員をたびたび目にする。09年は269人(9.5%)だったアシアナ航空の外国人乗務員は、10年333人(10.6%)、11年361人(10.8%)と増え続けている。大韓航空も、計6200人余りの客室乗務員のうち、現在、500人が外国人だ。国籍は、タイやマレーシア、日本、中国、ロシアなど多岐に渡っている。


外国人乗務員が増えたのは、仁川(インチョン)空港がハブ空港に浮上したことを受け、外国人乗客が増え続けているからだ。外国人乗務員に対する韓国人乗客の反応が良いことも、影響を及ぼしている。当初、アシアナ航空は、コミュニケーションの問題で外国人乗務員に対する国内人乗客らの不満が多いのではと懸念したが、実際、機内の乗務に当たらせたところ、無用の心配だったことが分かった。


アシアナ航空のカン・ソウン主任事務長は、「外国人乗務員のサービスに不便を感じる韓国人客よりは、『不思議』という反応の方が一際多い」とし、「韓国人乗務員に対しては、やや荒っぽく振舞う乗客も、外国人乗務員に対しては、そこまではできないようだ」と耳打ちした。


外国人乗務員たちは、自国の路線だけに搭乗させるわけではない。09年から、アシアナ航空で働いているタイ出身のチェデサトポン・ポンチャロエンさん(26・女)は、「タイのバンコクやプーケット路線のほか、ドイツのフランクフルトや米ニューヨーク、オーストラリアのシドニーなど、全ての路線に搭乗している。外国人乗務員は皆、自国語のほかに英語や韓国の3言語を難なく使いこなしている」と話した。


●航空会社に吹く「多文化」の風


国内航空会社の乗務員の規律は厳しいことで知られている。入社時期によって、礼儀正しく「先輩」と呼ばなければならない。外国人乗務員も例外ではない。08年に入社した日本人のアライ・ユリさん(28・女)は、「飛行中のミス一つでも厳しくしかった先輩が、一つ残ったガムを2人の外国人後輩と分けてかんだシーンは、余りにも印象的だった」とし、「規律は厳しいが、その中でも、気遣い合う優しさが韓国にはある」と話した。


韓国人乗務員も、自然と他文化への認識や配慮を身につけている。カン主任事務長は、「インドネシアなどのイスラム国家出身の乗務員らは、ラマダン期間中は10時間を超える飛行中にも、一口の水すら飲まない」とし、「最初は、見慣れない光景だったが、今は、イスラム国家出身の乗務員らが少しでも休めるように理解し、配慮している」と話した。


アシアナ航空は今後も、外国人乗務員数を増やしていく計画だ。アシアナ航空は、「国籍に関係なく、全ての乗客らにとって『最も気楽に利用できる航空会社』になるよう努めたい」と説明した。

“心の傷”PTSDがうつ病などを併発

2012-03-14 11:41:59 | ダイバーシティ
(以下、ZAKZAKから転載)
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“心の傷”PTSDがうつ病などを併発

2012.03.13

被災者の心のケアはむしろ今後が肝心となる【拡大】

 東日本大震災から1年。災害体験による精神的ダメージは、多くは時間の経過とともに改善していくが、約2割の人はさまざまな精神疾患に発展するといわれる。中でも代表的なのがPTSD(心的外傷後ストレス障害)。長期治療が必要になる場合もあるので要注意だ。

 ■記憶に振り回される

 PTSDは、災害、事故、戦争、犯罪被害など強い恐怖感を伴う衝撃的体験によって受けた心の傷(トラウマ)が元で、後にさまざまなストレス障害が生じてくる。

 3・11の震災直後から被災者への心のケア支援を行っている久留米大学医学部精神神経科の前田正治准教授は、「トラウマ体験の記憶に振り回されてしまう錯覚の病気。本人の意思に関係なく突然思い出したり、あらゆる刺激に対して神経過敏になる」と説明する。

 ただし、心の不調だけでなく、疲労感、頭痛、めまい、腹痛など身体的な不調が前面に現れることもあるという。

 ■合併率が非常に高い

 PTSDは、主症状の「再体験」「回避、麻痺」「過覚醒」が、トラウマ体験から1カ月以降も続いていると診断される。厄介なのは、いったん発症すると長引くだけでなく、複数の精神疾患を合併しやすくなる点だ。

 前田准教授は「とくにうつ病やアルコール依存症になりやすいので要注意」と、こう話す。

 「よみがえる恐怖感や不眠、喪失感からうつ病になったり、アルコールに過度に頼ってしまうことがある。トラウマ体験直後よりも半年、1年後から合併する人が多い」

 米国の調査によると、PTSD患者の他の精神疾患との併発率は男性約88%、女性79%。3つ以上の合併でも男性59%、女性約44%と高率だ。

 ■症状が強ければ治療

 治療について前田准教授は「治すのは“心の傷”というよりも、錯覚を起こす“脳の反応”です。これを鎮めることが重要になる」と話す。

 災害などでは自然に回復することも多いため過度に悲観する必要はないが、症状が強ければ治療を受けた方がいい。治療は、抗うつ薬の服用や認知行動療法などのカウンセリングが行われる。

 抗うつ薬の場合、服用をはじめて1カ月ぐらいから軽減効果が現れてくる。が、効果には個人差があり、多くの場合はカウンセリングや福祉的サービスを組み合わせた方が有効という。

 前田准教授は「3・11の震災では、現地の被災者だけでなく、救助に関わった救援者の心的外傷やバーンアウト(燃え尽き)も問題になっている。被災地の心のケアは、これからが肝心になる」と話している。

 ■PTSDの3大主要症状

【再体験】(フラッシュバック)

 原因となったトラウマ体験が、本人の意志とは関係なく繰り返し思い出されたり、夢に現れたりする。

【回避、麻痺】

 トラウマ体験を思い出すような状況や場面を避け続けるようになる。周囲の人や自分の未来からも切り離されたように感じて、現実感が少ない。

【過覚醒】

 あらゆる物音や刺激に対して過敏に反応して、不安で落ち着くことができず、イライラや不眠などの症状が現れる。

健康管理プログラム-仮設の高齢者、ICTで支える

2012-03-14 11:41:31 | ダイバーシティ
(以下、朝日新聞から転載)
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健康管理プログラム-仮設の高齢者、ICTで支える

 東日本大震災で被災した人々の中で、深刻なのは仮設住宅で暮らす高齢者の健康だ。避難生活は厳しく、阪神・淡路大震災の時には孤独死やひきこもりによる生活習慣病などの2次災害が相次いだ。被災各地は復興プロジェクトが相次ぐが、東北地方が抱える高齢化問題を抜きに復興への道は語れない。対処法として情報通信技術(ICT)活用が注目される。その先には広範な住民情報を連携する「健康クラウド」の実用化がある。(編集委員・斎藤実)


 ICTを活用して、仮設住宅での健康管理を支援するプロジェクトが2011年夏に産官学の連携で旗揚げされた。発起人でもある筑波大学の久野譜也教授が社長を務めるつくばウエルネスリサーチ(TWR、茨城県つくば市)をはじめ日本IBM、オムロンヘルスケア、トッパン・フォームズなどが社会貢献活動として参画した。


 支援先は計画的避難地区の福島県飯舘村の住民を受け入れた福島県伊達市の仮設住宅。11カ所ある中で、高齢者を中心に127世帯が入居している仮設住宅向けに、TWRが策定した健康管理プログラム「eウエルネス」への参加を募った。


 仮設住宅内の集会所には歩数計や血圧計のデータを読み取ってウェブ上で一覧できるシステムを構築。読みとったデータは筑波大学附属病院の医師が遠隔でチェックし、血圧の変動があった場合に現地の保健師らに伝え、要注意者をケアできるようにした。参加者は毎週土曜日に集会所に立ち寄り、データを読み込ませるだけでよい。


 eウエルネスは「有酸素運動、筋力トレーニング、栄養の三つ。参加者への意識付けはもとより健康データをチェックしながら適時アドバイスする」(菅洋子TWR研究開発部主席研究員)のがノウハウ。通常は歩数計のみを行うが「高齢者が多いため、血圧計も無償供与した」(中島正幸TWR健幸づくり支援プロジェクトリーダー)。


 参加者の内訳は6割が60歳以上で、しかも70―80代が中心。通常、eウエルネスは要介護者はリスクが高いため対象外としている。だが、今回の震災に際しては直面する現実を「日本の縮図」として受け止め、支援を続けている。


 開始から5カ月余がたち、集会場は想定通りに、人々のふれ合いの場として機能している。eウエルネスが提唱する「しっかり歩き」の実践が高血圧の改善につながっていることも実証された。「他の仮設住宅よりも入居者が明るく元気だ」と地域での評判も良い。


 社会貢献としての活動(6カ月間)は3月末に一区切りする。4月以降は国の補助金での運営を検討中。飯舘村からは同様の取り組みを他の仮設住宅にも広げたいとの要望も受けている。


 健康をキーワードにした街づくりは医療費の軽減にもつながる。高齢化や過疎化に向き合う全国市町村に共通するテーマでもある。総合特区ではICT活用による健康クラウドの実用化が俎上(そじょう)に載っている。