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多文化共生とは永続的なココロの営み

【子ども貧国】

2011-02-21 23:37:39 | 多文化共生
多文化記事ではないですが、日本の子どもが貧困であることは
常識的になりつつあります。
また、こうした貧困な国が世界経済大国という幻想もまた常識的に
なりつつあります。

あなたは、あなたの目の前にいる人に声をかけてあげられますか?
毎日、顔を合わせているからと、無関心になっていませんか?

朝、目が覚めたら、一番近くの人を抱きしめてあげてください。


(以下、中日新聞から転載)
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【子ども貧国】

サンタは来なかった 先生たちの危機感(2)
2011年2月21日
中学3年生の12月、自ら命を絶った少年。通知表の所見には、素直な性格や読書好きな面が記されていた=名古屋市内で

 中学3年のタカシ君(15)は、名古屋市内の自室で首をつって死んだ。リーマン・ショックの余波で世界経済が揺れ続けた2008年12月28日のことだ。
 死ぬ3日前のクリスマスの朝、親友に電話をかけて聞いた。
 「サンタクロース来た?」
 「うん、来たよ」と親友。
 「僕のところにサンタクロースは来なかったよ」。そう言って、電話を切った。遺書はなかった。
 「先生、サンタっているの?」。タカシ君は、そんな質問をする子どもだったと小学6年の時に担任だった幸子先生(52)は言う。「何度も聞いてきた。当時は変なことを聞くなぁとしか、思えなかった」
 勉強が苦手だけど、「もっと漢字を書きたい」というタカシ君のために、先生は放課後も時間をとって教えた。タカシ君は、卒業してからも先生に会いにきた。別段用事もなく「近くに来たから…」と言っては、にこにこ笑っていた。
 幸子先生は長年、名古屋市南西部で教えてきた。修学旅行の積立金や教材費などを、行政が肩代わりする就学援助を受ける児童が市内でも最も多い。半分に達するクラスもある。
 タカシ君も就学援助を受けていた一人だ。母親(42)は糖尿病や脳梗塞など複数の持病を持つ。耳に障害のあるトラック運転手の継父(48)にとり、治療費は重荷だ。
 タカシ君は4人きょうだいの上から2番目。長男のタカシ君は、小学生のころから体の悪い母親に代わり、炊事や掃除など家事をこなした。
 小学校の時の夢は、母親の病気を治したいと、「医者」。それが、中学卒業後の進路希望は「家事手伝い」に変わった。
 親に歯向かったのはたった1回。「なんで、僕ばっかりなんだ」と泣いた。死ぬ直前、母親の介護で1カ月近く中学校を休んでいる時のことだった。
 「タカシがいないと家が回っていかなかった。頼りすぎていた」と母親は言う。
 タカシ君がサンタクロースからのプレゼントをもらえたのは、小学校の低学年まで。それ以来、クリスマスイブの楽しみは家族で食べる1人1つずつのショートケーキだった。
 でも、その年は、ケーキさえ買えなかった。本当にお金がなかったという。
 経済的に苦しい上に地域とのつながりもなく、孤立する親と子どもたち。そんな家庭が確実に増えていると、幸子先生は感じている。
 昨年末、母子家庭の小学生が幸子先生のクラスに転入してきた。家庭訪問すると、離婚したばかりの30代の母親は目に涙をためてこう言った。
 「子どもを連れて死にたい…」
 タカシ君は、一人追い詰められ死んでいった。「サンタは来なかった」と言い残して。「あの子にとっては、サンタが夢や希望の象徴だったんだ」と幸子先生は、気がついた。
 先月初めて、先生はタカシ君の遺影に線香を上げに行った。
 「先生、サインに気づけなかったよ」。遺影は無邪気にほほ笑んでいた。(文中仮名)
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◆就学援助7人に1人
 貧しい子どもたちの学習の権利を保障することは、国や市町村の義務だ。教育基本法第4条は、国と地方公共団体が「経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない」と規定する。
 困難な児童生徒を支援するためにあるのが就学援助。対象者は生活保護法に規定する要保護者など。通学費や文房具代、修学旅行費などの支援が受けられる。
 文部科学省の調べによると、就学援助を受ける児童生徒数は年々増加。2009年度は148万8113人で、全体に占める割合は14・5%と、7人に1人が行政の支援を受けていることになる。
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