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会社を滅ぼす「型はまり人材」の採用

2010-11-11 07:09:52 | 多文化共生
(以下、日経ビジネスオンラインから転載)
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会社を滅ぼす「型はまり人材」の採用
グローバル採用制度を導入した東芝の谷川和生専務に聞く

うちのエースはアジア人 「人材グローバル化」待ったなし

 東芝は2006年から、アジアの有力大学で新卒の現地採用をしている。この「グローバル採用」制度は今後、日本でも追随する動きが相次ぎそうだ。

 ただ、東芝の場合、現地で採用するだけでなく、新人時代から日本の本社で鍛える。そして、母国に戻るのではなく、世界を舞台に活躍してもらうことが原則だ。それは日本企業の中でも非常に興味深い戦略だと言える。グローバル採用の導入に執念を燃やした東芝の人事部門トップである谷川和生専務に聞いた。

(聞き手は佐藤紀泰=日経ビジネス編集委員)

―― グローバル採用制度をなぜ、導入したのでしょうか。
グローバル採用制度を導入した東芝の谷川和生専務(写真:松谷祐増、以下同)

 谷川 優秀な外国人を採用し、日本で育てるやり方は昔から、重要だと思っていました。採用というのは会社の25年先を見据えて動くものです。日本企業では長期勤続が前提であり、それに頼らないと、企業の文化を維持できないでしょう。ですから、外国人でも新卒を採用して、長期的な視野で育てることが重要なのです。

 そして、大切なのは型にはまった人間ばかりにならないことです。様々なタイプを採用しておく。会社ですから、厳しい変化が起きます。それでも、対応できるのは人材が多様でないといけないのです。そこで重要なのがグローバル採用だったということです。

―― 外国人の採用は日本本社でも抵抗勢力がいたのではないでしょうか。

 そういうのは問題ではありません。東芝では人材の教育にはトップの理解がある。
リーマンショックでも育成費削らず

 リーマンショックが起きて、3000億円規模の固定費削減が必要になっても、佐々木則夫社長ら経営トップは人材の育成費用は削らなくて良いと言いました。もちろん、社内での教育研修の効果をしっかり出すことが必要ですが。人材教育の費用を瞬間的に削ると、将来に悪影響が出ますから。

―― グローバル採用は以前もやられていましたね。

 1990年前後のバブル時代とかもやっていました。ただ、長続きしていません。業績が悪くなったりして、その後に途絶えてしまったのです。外国人を採用して、日本の本社の職場とかに入れると、そこの人たちは最初、しんどいのです。異分子が入ってくるようなものですから。言葉とかも問題になりますしね。

 ただ、今回は世の中も変わってきました。アジアが東芝にとってより重要になっています。新興国での事業拡大が本当に必要なことです。とすれば、もっと力強い成長のためには新興国でやっていくしかない。それにはグローバルな人材をしっかり採用していくべきです。

 グローバル採用では30人ぐらいを採用している。留学生も20人から30人ぐらい採用しています。グローバルの直接採用は年100人ぐらいに増やしたい。受け入れ態勢も整ってきていますから。これだけたくさんいれば、同期としての意識も出てくるでしょう。
大陸型の中国は採用が難しい

―― 採用では現在、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、台湾と6カ国地域です。中国がありませんね。

 中国は留学生でかなり採用しています。それと、中国の現地採用はなかなか難しいという感じです。中国は大陸型の国であり、ジョブホッピングが多いですね。人材が抜かれることも多いです。中国でも技術者をしっかり採用して育て、技術の強い人材を経営幹部として登用していきたいのですが。

 東芝が提携関係にあったフィンランドのエレベーター会社であるコネ社では中国法人の幹部が米国人だったり、ベルギー人だったりしています。多国籍企業はやはり、こうあるべきでしょうか。

―― 東芝にとってグローバル人材管理の課題はどんなことでしょうか。

 日本人は10年、20年単位で自分のキャリアを考えます。一方、海外では3年とか、5年とかの単位です。ですから、目先のことを考えて辞めてしまう人も出てしまうのです。このギャップをいかに埋めていくかでしょう。

―― グローバルリーダーの育成ではやはり、GE(ゼネラル・エレクトリック)のような企業から学ぶべきでしょうか。

 東芝もGEとは長いお付き合いがありますから、有名なリーダー教育をされている研修部門の「クロトンビル」についてもよく学ばしてもらっています。素晴らしいとは思いますが、日本企業はなかなか真似できません。

 社内の有望な人材を見出して、それで選抜し、徹底的に鍛えていく。基本はトップダウンでリーダーを育てるということです。日本のようなリーダーを積み上げ型で育てるようなやり方とは違います。日本の人事は歴史的に労務的な感じなのです。個人よりもチーム単位で、というのが育成の基本的な考え方でしょう。
長い時間をかけて、成長するような人もいる

 1980年代でも、米国の有力企業の方が東芝に来た時にこう言いました。「日本の人事部というのはヒューマンリソース(人的資源)というより、レイバーリレーションズ(労務関係)なのか」と。かつては人事部門の中心的な仕事が労務・勤労であり、賃上げをどうするのか計算したり、組合と協議したりするようなことが多かった。

 当時からは春闘の位置づけが変わりました。それで、人材の育成が非常に重要になっている。ただ、どうしても、昔ながらの機会均等という考え方が残っているのです。日本の人事部門には。その中で、優秀なタレントを選抜するようなやり方はやはり難しいでしょう。会社に入って、長い時間をかけて、成長するような人もいるのですからね。

―― グローバル採用したアジアの人材が育ち、将来のリーダー候補として活躍するのではないですか。

 もちろん、そう期待しています。例えば、人事部門にも、グローバル採用 の1期生として、シンガポール人のシェリリーン・シアさんがいます。彼女はグローバル採用のためにアジアでの採用活動で活躍してくれました。最近では海外でのリーダー研修とかも担当しています。

 米国に行って、東芝という企業の風土や歴史についてしっかり現地の社員たちに語っています。米国でも東芝と言えば、ノートブック型パソコンの会社だと思っている人が多いのですから。原子力などたくさん優れた製品があるのです。グローバル採用では本当に良い人材を採用できていると思います。

―― 米国型経営が日本でも流行し、成果主義とかカンパニー制とかをたくさんの企業が採用しました。その結果、人事部の力が弱まり、人材育成も難しくなったという指摘もありますね。
グローバル採用した社員たちと話す東芝の谷川専務

 東芝のような総合電機では主力事業が経験値をきちんと積み上げていくような製品が多かったのです。それは重電でも、鉄道とかでもそうでした。ですから、日々、しっかり人を現場で育てて、技術を継承していくという感じでやってきました。半導体の技術も1日でブレークスルーが起きるわけではありません。それこそ、継続した人材の育成が重要だったでしょう。

 そして、日本的なピラミッド型というか、階層的な組織ではそれぞれの役割が明確に決まっています。モノづくり的な現場とかですが、それぞれの部署でしっかりまとまとまり、人材も育ててきたと思います。しかし、最近は確かに、(組織のフラット化などによって)従来とは違って、プレイングマネージャーを求められたりしていました。そうなると、現場のマネージャーも大変です。
ぬるま湯の良さを生かす

 それと、カンパニー制はやはり事業の質が違うのですから、どうしても縦割りで分かれるしかない。もちろん、トップに近づくにつれ、経営幹部として共通するものが求められているのですから、幅広い部署で経験を積むようなことも必要でしょう。

 日本企業ではやはり強い人事機能をいかに持てるかです。企業として人材の育成が難しくなっている。人を育てるためのマネジメントが重要です。それにはトップのリーダーシップが必要なのでしょう。会社が100年、200年、300年と継続するには人材を育てるカルチャーをいかに残していくかだと思います。

 それと、東芝はよく「ぬるま湯」的な会社なんて言われてきました。ならば、誰でも入れるというようなぬるま湯的な良さを生かしたい。あんまりきっちりとした組織よりも、良いのではないでしょうかね。

横浜発の食材ピクトグラム、APECで紹介 世界標準に

2010-11-11 07:09:17 | 多文化共生
(以下、産経新聞から転載)
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横浜発の食材ピクトグラム、APECで紹介 世界標準に
2010.11.10 23:02
横浜ロイヤルパークホテルでランチブッフェのメニューカードに使用された食材ピクトグラム横浜ロイヤルパークホテルでランチブッフェのメニューカードに使用された食材ピクトグラム

 アレルギーや宗教上の理由で食べられない食材の使用を絵文字で伝える「食材ピクトグラム」を横浜市の印刷会社が開発し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の横浜開催期間に英語併記の紹介冊子約7千部を配布している。国内外から集まる関係者やマスコミを通じて広めることで、外国人でもひと目で理解できるよう世界標準化を目指す。

 食材ピクトグラムは、アレルギーの原因となるカニや卵など7種と、宗教上の禁忌に触れる可能性のある牛や豚など7種の計14種を記号化したもの。12日には、APEC参加国・地域の経済界のリーダーが集まるビジネスリーダー交流会で使われる。

 APEC期間中は、横浜市内6ホテルがブッフェのメニューカードなどに記載している=写真。横浜ロイヤルパークホテルでは客から「表示があるので、ほかの原材料に関する質問も気軽にできる」との声が聞かれるという。

 大川印刷(横浜市戸塚区)が本業を通じた社会貢献の1つとして企画した。背景には言語や年齢、障害などを超えて、できるだけ多くの人が利用可能なユニバーサルデザインへの取り組みが、印刷業界で進んでいる事情があった。

 世界基準となるデザインを目指し、ピクトグラムの開発や普及に取り組むNPO法人インターナショクナル(大阪市中央区)、デザイン会社のNDCグラフィックス(横浜市中区)と共同で、約1年かけて開発した。おいしく見えて、色覚障害者や高齢者にも見やすい色づかいを工夫している。

 外国人約1500人にテストも実施した。難しかったのが、そば。大川印刷の大川哲郎社長は「ざるそばの絵では外国人に伝わらないので、ソバの実にした。アレルギーのある人には理解される」と話す。

 普及を図るため、絵文字の使用料を徴収しない方針。紹介冊子は、メニューに記載している6ホテルや市の案内所などで配布している。