多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

今の介護水準で2030年まで保つと170万人雇用、約10.3兆円の経済波及効果

2009-12-16 11:02:30 | 多文化共生
(以下、ケアマネンジメントオンラインから転載)
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今の介護水準で2030年まで保つと170万人雇用、約10.3兆円の経済波及効果

投稿者: cmo7 投稿日時: 2009-12-16 8:00:00 (79 ヒット)

日本経済団体連合会(経団連)は、12月15日、政策提言「経済危機脱却後を見据えた新たな成長戦略」の中で、新たな需要が期待される5つの分野の1つとして少子・高齢化社会への対応について発表した。

介護分野の課題について、今後、高齢化に伴う需要の拡大が見込まれるが、サービス供給体制が必ずしも十分ではないとしている。今年9月に厚労省が発表した「市町村介護保険事業計画に関する報告」を引用し、近年、有料老人ホームなどの居住系サービスが増加しているものの、2006~2008年度の施設・居住系サービスの増加計画に対し達成率は東京都が43.6%、千葉県が49.2%、神奈川県が53.9%と、計画を大幅に下回っていることを指摘した。

必要な施策として、ケア付き賃貸住宅等の居住系サービスの普及や在宅療養を支える医療支援体制の強化など、利用者や地域の介護ニーズに即した多様な選択肢を整えること、深刻な人手不足には
介護従事者の処遇改善と同時に、外国人介護職の受け入れや介護ロボットの開発・実用化の推進の必要性を訴えている。

医療・介護分野で、2007年時点のサービス水準を2030年まで一定に保った場合、どの程度の雇用が創出されるのかを機械的に試算したところ、約170万人という計算になった。さらにこの雇用が実現した場合には、約10.3兆円の経済波及効果があるとの結果が出た。

また今後、団塊世代が退職期を迎えることをきっかけに高齢者数の増加が加速することから、新たな高齢者向けビジネスの成長が見込まれるとしている。例として、高齢者向けのパッケージ旅行、富裕層向け金融商品、使いやすさを重視した携帯電話、生涯学習などの教育サービス、バリアフリー住宅へのリフォーム・増改築、機能性とファッション性を兼ね備えた衣服など、高齢者のニーズに対応した商品・サービスを開発し、確実に普及させていくことが、国内における新たな消費市場の拡大につながり、海外市場開拓の礎となるとしている。

↓経団連のページ
(経済危機脱却後を見据えた新たな成長戦略 2009年12月15日 (社)日本経済団体連合会)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/109/index.html

高齢層と若年層に忍び寄る貧困

2009-12-16 11:02:03 | 多文化共生
(以下、swissinfo.chから転載)
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2009-12-15 08:12
高齢層と若年層に忍び寄る貧困

チューリヒの高級ホテル「マリオット ( Marriott ) 」で一足早くクリスマスを祝う人々。エルンスト・ジーバー牧師が率いる福祉団体とホテルが主催して、生活に困っている人々を招待(Keystone)

スイスには貧困線上で生活している高齢者が4万5000人いる。彼らにとっては、眼鏡が割れただけでも大変な心労だ。

社会的に恵まれない環境にある学齢前の幼児は、プレイグループ ( 幼稚園入園前の幼児が母親とともに集まる会 ) に預ける機会を逃してしまうと大きくなってから就職に苦労したり、低給の職にしかつけなかったりして出世の見込みを絶たれてしまうことにもなりかねない。


隠れた問題

 12月上旬、貧困撲滅という同じ目標を持つスイスの7つの組織がベルンに集まり、2010年の「貧困と社会的排除の撲滅・ヨーロッパイヤー」に向けた戦略や期待を発表した。

 高齢者の活発な活動を支援する組織「プロ・セネクトゥーテ ( Pro Senectute ) 」のヴェルナー・シェラー氏は「貧困の中で暮らす年金生活者は隠れた問題だ」と言う。
「わが組織のソーシャルワーカーは昨年、3万5000人の高齢者を支援しました。うち半数は金銭的な問題を抱えていました。それなのに、マスコミが伝える年金生活者のイメージはいまだに非常に快適なライフスタイルを送る、余裕がたっぷりの富裕層といったものなのです」

 このような困窮者のほとんどは女性や一人暮らし、あるいは外国からの移民だという。プロ・セネクトゥーテは来年、攻勢に転ずる計画を立てている。
 

悩みの家賃

 「政治レベルでずっと推進している活動があります。金銭的援助の金額を計算するときに家賃の最高限度を考慮することもその一つです。この最高金額は2001年以降ずっと変わっていません。もちろん、家賃はかなり上昇していますが」
 とシェラー氏。

 「安いアパートはほとんどなく、多くの人にとって引越しは論外。そのため、結局家賃の不足額を日々の予算から削り取ることになり、節約を余儀なくされるのです」

 スイスの市町村から成る組織「市町村イニシアチブ・社会政策」の社会政策部長を務めるルエディ・マイヤー氏は、これまでの間、低所得世帯に対する所得支援の拡張を弁護し続けてきた。この案件はようやく来年の国会で決議されることになった。

 「子どもや学生に対する手当てはありますが、ワーキングプアにより良いサポートを与えるための社会政策が欠けているため、貧困層は社会福祉を当てにすることができないのです」
 とマイヤー氏は批判する。

 さらに
「小額の年金しか受け取ることができない高齢者や障害者手当てを受け取っている人々にはすでに金銭的な援助が行われています。ですから今、低所得世帯に対する支援を訴えているのです」
 と付け加える。


仕事の能力

 マイヤー氏はまた、失業者や社会福祉の受給金に頼っている人々の中には移民がが非常に多いことを強調する。
「スイスへ移住してきた移民の学歴や職歴はこれまでずっと低かったのですが、この事実はその反映だといえます。仕事の能力と貧困の間には明らかな関連があります」

 「それでもここ数年間は、欧州連合 ( EU ) から優秀な人材がやってくるようになりました。彼らに関する失業統計や貧困に関する指標はスイス人のそれと変わりがありません」
 能力が不足している移民の子どもたちは十分な教育を受けられる状況にあることが特に大切だとマイヤー氏は言う。


隔絶

 また、教育に関してマイヤー氏は次のような問題を挙げる。
「移民としてやってきた子どものうち高等教育を受けているのはごく少数です。スイスの学校は、社会層や国籍によって子どもを非常に厳しく分け隔てているのです」

 貧困を防ぐ最も大切な予防策は早い時期に始めなければならない。
「子どもにとっては、プレイグループやデイケアの中で地元の言語をできるだけ早く習得することが何よりも大切です」

 給食を出し、放課後子どもの世話を行っている小学校も融和を支持している。子どもたちはさまざまな環境でさまざまな国語に接しているからだ。
「しかし、ここで終わりというわけではありません。恵まれていない家庭の若者が学校からさらに別の教育や職業訓練へと移行するとき、また職業訓練から一人前の社会人へと移行するときのサポートも欠かせません」

クレア・オディア、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、小山千早 )

多治見市議会:永住外国人除外の市民投票条例可決 /岐阜

2009-12-16 11:01:21 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【岐阜】から転載)
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多治見市議会:永住外国人除外の市民投票条例可決 /岐阜

 多治見市議会は14日、本会議を再開し総務常任委員会から提案されていた「市民投票条例」の修正案など、32件を賛成多数で可決し閉会した。

 市民投票条例の修正案は、古川雅典市長が提案した原案の(1)市長の決定で投票を実行できる(2)投票権を18歳以上とし、永住外国人にも認める--との部分を(1)については「ただし、議会の議決を経なければならない」を加える(2)では「永住外国人に投票権を認める」との部分を削除する--とした。来年4月から施行される見通し。【小林哲夫】

ブラジル人学校、閉校へ 子ども激減、授業料払えぬ家庭も

2009-12-16 11:00:53 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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ブラジル人学校、閉校へ 子ども激減、授業料払えぬ家庭も 栃木

2009年12月15日

写真残った生徒は、机をくっつけて勉強している写真今月末で閉校する校舎とスクールバス=いずれも真岡市荒町3丁目のコレージオ・ピタゴラス・ブラジル真岡校

 真岡市のブラジル人学校「コレージオ・ピタゴラス・ブラジル真岡校」(フランシスコ・ペレイラ・フランサ・ネット校長)が今月末で閉校することが11日、わかった。父母らの失業などの影響で児童・生徒数が激減し、学校を運営する授業料が確保できなくなったためだ。残った子どもたちは県外のブラジル人学校へ行くか、公立学校に行くか、帰国するかの選択を迫られている。

 同校によると、同校は県内の製造業で働くブラジル人らの声を受け、2000年に設立された。現在は、日本の小中学・高校生に当たる52人が通っている。06年には120人の児童・生徒がいたが、昨年秋以降の景気悪化の影響を受け、今年1月ごろから激減した。

 同校はポルトガル語のほか、日本語、母国の歴史や政治を学ぶことができるため、将来は帰国を考えている子どもたちが通っている。授業料は、送迎のスクールバス代込みで月額約5万円。授業料が払えなくなり、公立校に転校したり、帰国したりした子どもが多いという。

 閉校にあたって、同校は系列の太田校(群馬県太田市)までのスクールバスによる送迎を検討している。片道約1時間半。真岡市や小山市は公立学校への転入を勧めているが、同校職員のアンドレザ・クリスチーナ・マルケスさんは「(帰国した時に)適応できなくなるので、簡単な話ではない」と話す。

 同校に6年間通った日系ブラジル人、シラヤマ・ユカリさん(15)は、両親は日本で仕事を続けるが、ユカリさんだけ来年1月に帰国しブラジルの学校へ転校することになった。「あと2年で卒業できたのに、寂しい。最後まで通いたかった」と話す。同校に9歳の男児を通わせている母親(41)は、「学校は子供の学びの場であると同時に、母親同士の情報交換の場だった。残念」とため息をつく。

 県国際課によると、県内のもう一つのブラジル人学校、大田原市の「ブラジリアンスクール」も子どもが激減しているが、今後も運営を続けるという。

■条件厳しく、支援困難 「各種学校」、県の認可

 県では、学校教育法1条に定められた私立の小学校や中学校などの「一条校」や、専門学校、外国人学校などが含まれる「各種学校」の一部に補助金を出している。しかし、県内に2校あるブラジル人学校は、いずれも県が認可する各種学校ではないため、補助が出ていない。

 各種学校として認可されると生徒には学割が適用され、さらに設立母体が学校法人ならば税の優遇や県の補助金を受けられる。県の基準によると、認可の条件には、生徒が40人以上いること▽学校の敷地や校舎が自前であること▽資金や経営が健全であること――などが求められる。コレージオ・ピタゴラス・ブラジル真岡校は、土地や校舎を近隣から借りている。

 不況でブラジル人学校の多くが財政的に苦しんでいることを受け、文部科学省は、各種学校の認可や補助の基準の弾力化を各都道府県に求めることを検討している。ブラジル人が多い浜松市では教科書の購入を補助するなど、独自に支援策を打ち出している自治体もある。(才本淳子、矢吹孝文)

反貧困「陽だまりネット」9カ月間の活動

2009-12-16 11:00:27 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【長野】から転載)
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反貧困「陽だまりネット」9カ月間の活動

2009年12月15日

 リーマン・ショックによる世界同時不況から1年3カ月。上田地域で、反貧困・暮らしと雇用を守る上小ネットワーク「陽(ひ)だまりネット」(代表=久保木匡介長野大准教授、滝沢修一弁護士)が、失業者らの相談会を始めて9カ月になる。11月下旬には9回目を数え、相談件数は計約250件にのぼった。いまだ生活保護が必要な人も多く、健康を害している人もいる。久保木准教授は「社会の弱い部分からボロボロと崩壊している」と現状を説明、「困窮者を孤立させない社会的な仕組みが必要だ」と訴える。(鈴木基顕)

 日系ブラジル人をはじめ上田市の外国人登録者数は県内最多。自動車関連の製造業が多く、世界的な景気動向の影響を受けやすいこともあり、上田地域の有効求人倍率は昨年10月以来、県内最低の状態が続いている。

 久保木准教授は「相談会を始めた今春は、『雇用保険が切れた』『もうすぐ切れる』などの相談が多かった。その後、生活そのものにせっぱ詰まった相談が増えてきた」という。

 目立つのが生活保護相談だ。8回までの相談件数217件のうち約30%が生活保護申請関連の内容だった。相談者の中には職を失って車上生活をしていた人、病気が悪化しながらも病院に行けない人もいた。中には相談会場から病院に搬送、救急車を呼んだこともあった。

 1月末に仕事を失ったという男性(45)が9月の相談会に訪れた。「7月末に雇用保険が切れた。職安に行っても人があふれている。製造業の仕事は一切ない」

 11月25日、上田城跡公園内の市民会館であった9回目には、19件の相談が寄せられた。

 30代、40代の兄弟は「派遣切りにあって仕事がない」。生活保護の申請をしたが、車があり、持ち家に住んでいるために手続きが止まった。生活費がなくなり、社会福祉協議会から貸付金5万円を借りたが、それも底を尽きたという。

 久保木准教授は「既存のセーフティーネットでは救われないケースが現出し、人間の権利を奪われている人があちこちにいる」と指摘した上で、保険が使える期間中に、再出発に必要な援助を保障するといった新たな仕組みの必要性を強調する。

 同ネットは、25日に第10回相談会(午前9時から、市民会館小ホール)を開く。また30日~1月3日の5日間は上田市二の丸の勤労青少年ホームで、宿泊と食事、相談に対応する「年末年始シェルター life support house(支援の家)」(24時間体制)を開設する予定だ。

新型インフル、外国人対象にセミナー

2009-12-16 10:59:58 | 多文化共生
(以下、読売新聞【三重】から転載)
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新型インフル、外国人対象にセミナー
NPO法人が予防法など情報提供
外国人を集めて開かれた新型インフルセミナー

 新型インフルエンザについて情報が不足しがちな外国人にも、県内での流行の状況やワクチン接種について知ってもらおうと、県は各地で外国人を対象とした予防セミナーを開き、一人ひとりの不安解消に努めている。

 県内で暮らす外国人約5万3000人のうちブラジル人は約2万人に上るが、情報源はインターネットや週に1回配達されるポルトガル語の新聞などに限られる。県は9月以降、非営利組織(NPO)法人に委託する「外国人住民アドバイザー事業」の一環として、鈴鹿市と伊賀市の団地集会場やブラジル人学校で計6回のセミナーを開催。保健師の説明をNPOのメンバーらがポルトガル語やスペイン語に通訳し、外国人計約270人が手の洗い方などを学んだ。

 外国人の生活を支援する鈴鹿市のNPO法人「愛伝舎」は今月11日、同市岡田の岡田団地でセミナーを開き、介護施設で働きながらヘルパーの資格取得を目指すブラジル人女性ら12人が参加した。日頃から新型インフルエンザの情報を収集している愛伝舎のメンバーが、予防法に加え、人にうつさないための心構えや、県が定めたワクチン接種スケジュールをポルトガル語で説明。参加者は「2度感染することはあるか」「介護職員も優先接種を受けられるか」など、疑問点を熱心に質問していた。

 セミナー後に開かれた日本語教室では、「熱があるので、お風呂に入ってはいけません」など、医療機関を受診した際に役立つ会話を学んだ。

 愛伝舎の伊波オスカルさん(28)は「外国人住民は情報が得られない時に不安を感じる。感染が広がり始めた頃は皆がパニック状態だったが、最近は落ち着いて対処できるようになってきた」と話す。

 県は今後も、要望があれば日本語教室や国際交流フェスタなどの場を利用してセミナーを開く。さらに、ホームページにポルトガル語で最新情報を掲載したり、スーパーやレストランにポルトガル語のチラシを置いたりして啓発活動を続けるとしている。
(2009年12月15日 読売新聞)

ブラジル人向け翻訳者

2009-12-16 10:59:09 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【山梨】から転載)
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ブラジル人向け翻訳者

2009年12月14日
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「10歳まで日本語を勉強していました」と語る渡辺エミリア豊美芝さん=富士吉田市緑ケ丘2丁目

■渡辺エミリア豊美芝さん(45) 市広報を活用、情報紙に

 富士吉田市には250人のブラジル人が生活していて、外国人国籍で最も多い。その人たちへの情報紙「ZURA(ズーラ) ZURA(ズーラ)」は、市の広報紙からブラジル人向けに必要な情報をポルトガル語に翻訳して載せている。そのボランティアとして市国際交流室スタッフと作業を始めて11月で6年。

 ZURAはブラジルでは何という意味? 「こちらの人が話すとき『――ずら』と言うでしょ。そのローマ字です」。発行は月1回、120部が各所に配布されている。

 いま取り組むのは富士山が噴火した時の避難場所を知らせるハザードマップ作りで、来年3月が完成のめど。今年4月のごみの分別収集の案内、2007年12月に出した医療機関マップに続く第3弾。

 日本人の市民向けにはすでにあるこれらの情報はブラジル人にも必要だ、と自主的にポルトガル語版に仕立てている。外国人との共生社会を考えると「あった方がいい」と思いついたのだ。

 10月。1人のブラジル人が市役所を訪れた。話す内容が要領を得なかったので、市の窓口担当者が機転を利かせエミリアさんに電話。子供に新型インフルエンザのワクチンを接種させたいということだった。役に立てたことをうれしく感じた。

 12月に出した情報紙は、このインフルエンザの予防接種について取り上げている。分かりやすい言葉で説明してあげようと、スタッフと辞書を引き、言葉を選びまとめた。

 ブラジル・サンパウロ州に生まれた日系2世。91年3月に日本へ。富士山のふもとに住んで16年。寂しい思いもした。幼い娘を抱き涙を流したのは31歳のとき。夫の母がこう言ったのだという。

 「日本人が別の町から嫁いできても寂しいのに、あなたは別の国から嫁いできてそれ以上に大変。慣れるまでに10年はかかる」。思いやりにまた涙腺がゆるんだ。娘は中学2年に成長。コミュニケーションを図るのに同じ本を読んで感想を言い合っている。

 「富士吉田が自分の町として私にとけ込んでいる」。住んで間もない頃「雪かきって必要なの?」と言ったのは、もう昔の話になる。(上田真仁)

ブラジルで実感、英語との付き合い方

2009-12-16 10:57:55 | 多文化共生
(以下、読売新聞から転載)
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ブラジルで実感、英語との付き合い方
前リオデジャネイロ支局員 小寺以作
リオデジャネイロの軽食店で、おしゃべりを楽しむ人々。欧州系、アジア系、アフリカ系と様々な人種が混在している(小寺以作撮影)

 南米を初めて訪れる日本人が、ちょっとした驚きとともに口にする言葉がある。

 「本当に英語が通じないんですね」。

 そう、南米はほとんどが、スペイン、ポルトガルの植民地だった影響で、首都でさえ英語が通じにくい。人口約1億9000万人、経済成長の著しい新興国のブラジルも例外ではない。

 だが、この国では、外国人が、意志の疎通に苦労することはあっても、そのことで不快な思いをすることは少ない。多くのブラジル人が、英語がしゃべれなくても、母国語のポルトガル語に身ぶりを交え、相手が理解できるまで何度でも丁寧に説明してくれるからだ。

 自分が英語をしゃべれないことに引け目を感じず、相手が、ポルトガル語が出来なくても、見下したり、話を途中で打ち切ったりしない懐の深さ。さすがは、イタリアやドイツ、シリア、アフリカなど、多様な国や地域の出身者からなる移民国家だと感服を覚える。

 一方、南米の空港では、職員が英語をしゃべれないことに腹を立て、興奮して早口でまくし立てる米国人の姿をよく見かける。逆にキューバの首都ハバナなど、有名観光地では、こちらがスペイン語でしゃべりかけているのに、執拗(しつよう)に英語で返し続ける職員もいる。いずれにしても、気持ちのいいものではない。

 米国の中南米に対する抑圧的な外交政策を「帝国主義」と断じるベネズエラのチャベス大統領に感化されたわけではないが、この二つのケースには、世界中の人々が英語をしゃべれて当たり前という「英語帝国主義」のようなものを感じるからだ。

 ただ、私も人のことを言えた義理ではない。学生時代は、完全に「英語帝国主義」に毒されていた。英語がしゃべれないことに劣等感を抱き、豪州留学を経て、韓国を旅した時は、英語が通じないことにいら立ち、帰国後は、外国人と見るといきなり英語で話しかけた。随分、失礼なまねをしたものだと猛省している。

 だが、日本では今も、世界のほとんどの国で英語が通じると思い込んだり、英語がしゃべれないことに劣等感を抱いたりしている人が多いのではないだろうか。重圧や劣等感が、学習意欲を高めるケースもあるのだろうが、英語嫌いにつながる危険性だってある。だとすれば、何とも、もったいのない話だ。

 ブラジル人のように英語がしゃべれなくても、おおらかに構え、ここは日本なのだから、あるいは自分は日本人なのだから、日本語で説明したらいいではないかと割り切ったら、もっと、気楽に外国語や外国人と接することが出来るのではないか。そうしたら、きっと外国語の勉強も、もっと楽しくなるのではないか。

 様々な言語が飛び交うブラジルに住み、日々、ブラジル人と接していると、そう思わずにはいられない。
(2009年12月14日 読売新聞)