(以下、毎日新聞【滋賀】から転載)
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滋賀国際交流賞:公立甲賀病院の井田健さん受賞 「医療通訳士の確立を」 /滋賀
◇外国人患者の力に
国際交流や多文化共生社会を推進する財団法人「県国際協会」の設立30周年を記念し、国際交流などに貢献した個人や団体を表彰する「滋賀国際交流賞」の授与式が12日、大津市打出浜のコラボしが21で開かれた。長年にわたって外国人を診療してきた公立甲賀病院顧問、井田健さん(67)が滋賀国際交流功労賞を受賞し、「改めて責任を感じている。これからも外国人の医療に携わっていきたい」と語った。
井田さんは、83年から外科医として同病院に勤務。甲賀市は、労働者として来日したブラジル人やペルー人らが多く、20年ほど前から外国人の診察が増え始めた。持ち前の好奇心と、「困っている人を助けたい」との思いから、00年には「びわ湖国際医療フォーラム」(旧滋賀国際医療研究会)を設立。外国人の医療を取り巻く問題について県内外の医療関係者らと情報共有を図ってきた。
一番の課題が患者との意思疎通。「専門的な話をキャッチボールのように交わすのは難しい。患者が連れてくる通訳も専門知識がなく、何とかしないといけない」と話す。05年には英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語に対応し、パソコン画面上で患者と筆談するシステムを企業や大学と共同開発するなど、言葉の壁を克服しようと奔走してきた。
体力勝負になることもある。今年2月、脳幹出血で倒れたブラジル人男性が帰国して治療を受けることになり、「医師が付き添うなら」との条件付きで飛行機の搭乗が認められた。ドバイ経由で約30時間かかる移動に同行した井田さんは、機内で男性の胃にチューブで栄養を送り込むなど寝ずにケア。「生死は五分五分」とみられていた男性は無事に母国の土を踏み、現在は自宅で療養中という。
目下の目標は「医療通訳士」制度の確立だ。オーストラリアなど海外では患者と医師の橋渡し役として制度化されているが、国内ではあまり普及していないという。発起人の1人として今年立ち上げた「医療通訳士協議会」を率い、「医療通訳士を職業として定着させたい」と情熱を燃やしている。【金志尚】
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滋賀国際交流賞:公立甲賀病院の井田健さん受賞 「医療通訳士の確立を」 /滋賀
◇外国人患者の力に
国際交流や多文化共生社会を推進する財団法人「県国際協会」の設立30周年を記念し、国際交流などに貢献した個人や団体を表彰する「滋賀国際交流賞」の授与式が12日、大津市打出浜のコラボしが21で開かれた。長年にわたって外国人を診療してきた公立甲賀病院顧問、井田健さん(67)が滋賀国際交流功労賞を受賞し、「改めて責任を感じている。これからも外国人の医療に携わっていきたい」と語った。
井田さんは、83年から外科医として同病院に勤務。甲賀市は、労働者として来日したブラジル人やペルー人らが多く、20年ほど前から外国人の診察が増え始めた。持ち前の好奇心と、「困っている人を助けたい」との思いから、00年には「びわ湖国際医療フォーラム」(旧滋賀国際医療研究会)を設立。外国人の医療を取り巻く問題について県内外の医療関係者らと情報共有を図ってきた。
一番の課題が患者との意思疎通。「専門的な話をキャッチボールのように交わすのは難しい。患者が連れてくる通訳も専門知識がなく、何とかしないといけない」と話す。05年には英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語に対応し、パソコン画面上で患者と筆談するシステムを企業や大学と共同開発するなど、言葉の壁を克服しようと奔走してきた。
体力勝負になることもある。今年2月、脳幹出血で倒れたブラジル人男性が帰国して治療を受けることになり、「医師が付き添うなら」との条件付きで飛行機の搭乗が認められた。ドバイ経由で約30時間かかる移動に同行した井田さんは、機内で男性の胃にチューブで栄養を送り込むなど寝ずにケア。「生死は五分五分」とみられていた男性は無事に母国の土を踏み、現在は自宅で療養中という。
目下の目標は「医療通訳士」制度の確立だ。オーストラリアなど海外では患者と医師の橋渡し役として制度化されているが、国内ではあまり普及していないという。発起人の1人として今年立ち上げた「医療通訳士協議会」を率い、「医療通訳士を職業として定着させたい」と情熱を燃やしている。【金志尚】