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「知事『各種学校』として認可へ 四日市のブラジル人学校」

2008-03-10 13:17:09 | 多文化共生
(以下、中日新聞【三重】から転載)
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「知事『各種学校』として認可へ 四日市のブラジル人学校」

2008年3月7日

野呂知事を表敬訪問するムジ総領事(右)=津市の県庁で
写真

 野呂知事は6日、四日市市にあるブラジル人学校「ニッケン オブジェチーボ学校」を「各種学校」として認可し、私立外国人学校振興補助金を出す考えを明らかにした。3月中には認可が下りる見通しで、ブラジル人学校としては県内初めて。全国で愛知県などに続く4例目。

 この日、県庁を初めて表敬訪問した在名古屋ブラジル総領事館のジェラルド・アフォンソ・ムジ総領事に野呂知事が述べた。「たくさんのブラジル人がお世話になっています」とあいさつした総領事に、野呂知事が「県内の産業をしっかり支えてくれている。県内に5つあるブラジル人学校のうち、四日市の学校に近く補助金を出す」と応じた。

 県青少年・私学室によると、ニッケンオブジェチーボ学校は幼稚園と小、中、高等部があり、北勢地域や愛知県などから約280人が通学。2004年3月に私塾として開校し、昨年11月に学校法人化した。

 4月以降、専修学校並みの年間800時間以上の授業が行われていることを確認し次第、私立外国人学校振興補助金を適用する。同補助金はこれまで、四日市朝鮮初中級学校(四日市市)だけに適用しており、同じく約230万円を補助する予定。

 県内のブラジル人学校はニッケンオブジェチーボ学校のほか、鈴鹿市に2校、津市と伊賀市に各1校あり、約800人が通っている。

 (奥田哲平)

「在韓外国人『日本や香港はすごく楽』」 

2008-03-10 13:16:30 | 多文化共生
 当ブログではネガティブな記事は掲載しない方針であるが、ごく普通に暮らしているごく普通の外国人が、外国人登録証を持参しているにも関わらず、レンタルビデオの会員登録できず、DVDを観ることも、音楽を聴くこともできない不便な生活を送っているということは、報道されないが、ごく普通に起きていることであると認識してほしい。

(以下、朝鮮日報ニュースから転載)
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「在韓外国人『日本や香港はすごく楽』」 

アジアのほかの国はほとんど制約なし 

 アジアのさまざまな国で働いている外国人たちは「韓国で暮らした後に日本や香港へ行くと、とても便利で楽に感じる」と話す。

 日本では外国人登録証さえあれば携帯電話や国民健康保険にすぐ加入でき、条件やメリットも日本人とまったく同じだ。「ライブドア」(www.livedoor.com)などほとんどのポータルサイトは外国人が加入するときも外国人登録番号を知らせる必要はなく、名前や住所など、基本的な事項を書き込むだけでいい。

 香港では保証人や保証金がなくても外国人が携帯電話を契約したり、クレジットカードを作ったりするのにさほど制約はない。香港上海銀行(HSBC)、スタンダード・チャータード・バンク、恒生銀行といった主な銀行はどこも、外国人が口座を作って3カ月後にはクレジットカードが作れるようになっている。これは香港人とまったく同じだ。住宅ローンを申し込むときも、香港人と同じく給与明細など自身の所得信用度だけを証明すればいい。

 シンガポールはさらに外国人に対しオープンだ。シンガポール国際商工会議所のフィリップ・オーバーマイヤー議長は、「“シンガポールで外国人がシンガポール人と同じでないのは投票だけ”という言葉があるほど、外国人が不便さを感じることはない」と話す。雇用ビザがある外国人は、携帯電話もクレジットカードもシンガポール人と差別されることなく加入・利用できる。また、雇用ビザと銀行口座がある外国人なら、現地人とまったく同じ条件で銀行融資が受けられる。家を買うときも、外国人は住宅価格の70~80%までローンが組める。インターネット・バンキングで公共料金の支払いや送金ができるのも、外国人がシンガポールで味わえる便利さの一つだ。

「愛知・保見団地でシンポ」

2008-03-10 13:15:29 | 多文化共生
「愛知・保見団地でシンポ」
(以下、ニッケイ新聞から転載)
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ニッケイ新聞 2008年3月5日付け

愛知・保見団地でシンポ=「外国人児童生徒の教育」(上)=100人以上が熱心に参加=3NPOが呼びかけ主催

 【愛知県豊田市発】人口九千人のうち、半数近くを外国人住民が占める愛知県豊田市保見ヶ丘。その大半が日系ブラジル人だ。そこには、来年度の新入生の六七%を外国人児童が占める予定の小学校まであり、「外国人児童生徒の教育」は、地元全体の課題ともいえる状況になってきている。そんななか、NPO法人保見ヶ丘国際交流センター(楓原和子代表)、トルシーダ(伊東淨江代表)、子どもの国(井村美穂代表)が共催した教育シンポジウムが、二月十七日、保見町の保見交流館のホールで行われ、真剣な議論が交わされた。(秋山郁美記者)
 団地内には、外国の子供たちを支援するNPO法人が四つある。それぞれの活動内容は、ブラジル学校へ通う児童・生徒への日本語指導、いずれの学校へも通っていない子の居場所作り、小学校の宿題補助、ポ語指導など多少の違いや住み分けはあるものの、保見の子供たちを支援するという目的は変わらない。
 このうち、普段同じ建物で時間をずらして活動を行っている三つのNPO法人が共催し、『教育シンポジウム 保見の子どもたちの未来を考える―外国人児童生徒とともに学ぶ中から生まれること―』という討論会が開催された。
 これまでに三度のプレセミナーを経て、回を重ねるごとに遠方からの参加者が増え、当日は百人を超える参加者でいっぱいになり、準備の丹念さと注目度が窺えた。
 前半は教育ジャーナリスト、増田ユリヤさんの講演。フィンランドやスウェーデン、ドイツなど移民が多い国における教育が、写真とともに紹介された。日本の学校とは根底から違う教育観念や、さらに多国籍で複雑な移民問題への対応に、参加者はしきりに頷いたりメモを取ったりしていた。
 後半は子供、親、地域住民、学校の先生の代表によるパネルディスカッションが行われた。
 保護者の代表として、三人の子を持つ島田エジソンさんの体験談や意見が紹介され、「普通でいい」という言葉を真に受け、入学式にジャージで登校させてしまった失敗談、進学にかかる金銭問題など苦い体験が話された。
 「保見は便利な場所だが、甘えやすい。乗り越える力がなくなってしまう」という自戒ともとれる感想が伝えられ、「子供のためには親がしっかりしなくてはいけない」と結んだ。
 日本人の親の代表として、小学校で国際協力委員という外国人も含めた保護者の組合に参加する磯部真由美さんが話をした。「PTAや国際協力委員の会合にも参加が少ない外国人の親に対し、以前はまったく意識もしていなかったが、委員を始めて彼らの大変さや、子を愛する気持ちの普遍性を知った」という。
 欧米の移民政策に学ぶ点が多いのはもちろんだが、本来ならこの件に関して、最も身近な〃先進国〃はブラジルではないか。
 日系二世の多くが有名大学に進学して、医師や弁護士、官僚になって社会上昇を果たしてきたが、ここでは高校にいく生徒すら少ないのが現状だ。移住地に育った若者の多くはバイリンガルになり、日本進出企業に就職したり、語学力を活かした職業に就いたりした。
 かつて日本移民が体当たりで培ってきたノウハウは、残念ながら日本の日系コミュニティには継承されていないようだ。(つづく)

ニッケイ新聞 2008年3月6日付け

愛知・保見団地でシンポ=「外国人児童生徒の教育」(中)=学校のネットワーク課題=地域を超えて教育者集まる

 【愛知県豊田市発】パネルディスカッションでは、子供代表として比嘉ロベルト・ジュニオールさん、畑田恵子さんがそれぞれの経験談を語った。日本とブラジルの往復による勉学の中断、日本の義務教育の年齢制限による苦労などを乗り越えた二人の生の声が伝えられた。
 しかし、現在まで導いてくれた人々に感謝できる二人の状況は、一般の外国人児童に比べると稀な例といえる。
 司会をした楓原和子さんも「二人はとてもラッキー。ポルトガル語も日本語もちゃんと勉強しないまま帰国したり、ブラジル人の多い地区をさまよったりしている人はたくさんいる」と実情を明かす。
 現在、県内の三つの高校の普通科において「外国人生徒にかかる入学者選抜」という枠がある。三教科での受験、入学後の取り出し授業(別室で受ける)や支援員による補助などの支援で、中学卒業後も勉強が続けられる可能性が高まった。
 しかし、ブラジル学校を卒業するだけでは高校受験ができないことや、この特別枠の対象となるには日本の小学校への編入時期に条件があるなど、誰でも挑戦できるというわけではない。
 保見団地内の二校の小学校からは校長自らが出席した。定住が進んできていることで、ただ学校で勉強させるだけでなく、学力を保証しなくてはいけない、日本中の外国人が多い地域の学校同士でネットワークを作りたい、と課題が挙げられた。
 保見団地内で著しく日本人の子供の数が減っていることから、年々外国人児童の割合が増しており、来年度は西保見小では新入生の六八パーセントが外国籍となる予定になっている。
 このような状況で、母語話者によるサポート「豊田方式」をしながらも取り出し授業を多くし過ぎず、日本と外国を意識しない学校づくりが大切だという意見が述べられた。
 二つの小学校からの進学先、保見中学校からも伊藤光隆校長がパネラーとして参加し、学校での通常授業や進路に対する取り組み、日本語能力試験が活発に取り入れられていることなどが紹介された。
 また、小学校と中学校の結びつきが大切で、東西の小学校の方針を一致させることで、中学校に入学した際にもっとスムーズになる、と提案した。
 地域からは、二十五年間保見団地に住み、変遷を目の当たりにしてきた日本人住民や、八割が外国人という東保見保育園に子供を入園させた日本人の親が、感想や地域ボランティアの取り組みについて発言し、団地内の日本人住人の声を代弁した。
 トルシーダ代表の伊東さんが、これまで接してきた子どもたちの状況や、法律・行政の問題点を指摘し、「どうやって日本の社会につなげていくか、出口を見つけています」と訴えた。
 地域の来場者は、シンポジウムの感想として「こういう活動をしていることを知ってもらうことが大切」と述べた。
 シンポジウムは、前半の講演から大変盛り上がり、予定時間を押して発言が行われたが、会場に集まっていたのは、地域住民よりも保見以外の学校関係者や教育に携わる人が多いように見られた。注目は受けているが、団地内部、特に外国人からの動きが少ないようだった。(つづく、秋山郁美記者)

愛知・保見団地でシンポ=「外国人児童生徒の教育」(下)=ブラジル人自身立ち上がる必要=「母国側と連携」も考慮して

 【愛知県豊田市発】終了後、司会の楓原さんに話を聞くと、「このシンポジウムで外国人に還元しよう、というのではない、一緒に地域を作っていくのが目的」と言い、今回の成果について「自分の活動に関しても、シンポジウムに関してもジレンマがある」と厳しい表情を見せた。
 保見ヶ丘の人口約九千人のうち、四六・五パーセントが外国人、そのうち九三・一パーセントがブラジル人だ(二〇〇七年十月一日現在)。
 ブラジルの日系社会では県人会、文化協会、カラオケや和太鼓、マンガなど日本文化のさまざまな団体、日系若者のグループがたくさんあることを考えると、ここにもブラジル人によるグループがあってもおかしくない。だが、実際には現在一つもないという。
 「これまで二つくらいあったことがあるけれど、リーダーの帰国や、なんとなくで解散してしまった」と楓原さん。
 日本語が話せなくても生きていける、仕事はある、という保見独特の〃ぬるさ〃が、団結や向上心を阻んでいるのかもしれない。
 来日の時期、在日期間、教育を受ける言語、これから生きていく国、親の方針、条件が変われば必要な教育も変わり支援も変わる。
 まだまだ満足とはほど遠い教育の現状に、どうしたら「甘やかし」にならない支援になるか、という議論も必要だ。
 支援不足でいえば、地元の大手自動車会社は、下請け、関連、派遣などで間接的ではあっても、多くの外国人労働者によって支えられているが、これら企業による学校等への援助は行われていない。
 ブラジルで暮らす子供たちも日本で暮らす子供たちも、同じ移民の子孫であるのに、学ぶ時期をどちらで過ごすかによって大変な違いが生まれる。
 一概にどちらだったらよいとは言えないが、基盤の違いは明らかだ。日本では日本人と同じように学校へ通わせる以外の選択肢が少ない上に貧しく、子供は苦労を強いられる。親は相当の覚悟をするべきだ。
 子供がバイリンガルになって損をすることはない。それが一つの解決策であることは多くが認識している。問題は、どうしたら実現できるかというノウハウの蓄積がないことだ。
 ブラジルでバイリンガル、トリリンガル教育を実施している日系校との協力も一つの選択肢かもしれない。
 さらに、これから来日、再来日をする家族にはあらかじめ注意喚起を促す必要があるのではないか。日本に来て、すでに出来上がっているコミュニティに浸ってしまってからでは遅い。
 来日する前に子供の教育について考える、行く場所の学校を調べる、ということをどのくらいの親がやっているか。
 サンパウロでデカセギ問題を検討しているISEC(文化教育連帯協会)が日本の教育制度についてのマンガ形式のパンフレットを作っている。日本の在外公館や派遣会社(エンプレイテイラ)などと協力して、子供の教育に関するしおりを配布するような、根本からの取り組みが欲しい。
 また、デカセギ希望者向けに特別な日本語能力促成塾を行っているブラジルの日本語センターなどとの連携があってもいい。
 ただし、なにより必要なのは、ブラジル人自身が子供のために立ち上がることだと感じさせられるシンポジウムだった。
(おわり、秋山郁美記者)