多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

「健康診断:群馬大の医学部生ら、外国人児童らを健診」

2008-03-05 13:51:44 | 多文化共生
 群馬大学では特色GP(特色ある大学教育支援プログラム)において「多文化共生社会の構築に貢献する人材の育成」をテーマに取り組みを進めている。(群馬大学HP http://tabunka.jimu.gunma-u.ac.jp/site/)
 記事もその取り組みのひとつである。


(以下、毎日新聞【群馬】から転載)
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「健康診断:群馬大の医学部生ら、外国人児童らを健診」 ブラジルの子供185人 /群馬

 群馬大医学部の学生らによる外国人の子供の健康診断が22日、太田市の太田保健福祉事務所であり、大泉町の日伯学園とジェンテ・ミウダ校の児童・生徒約185人が受診した。

 外国人学校は健診を義務付ける学校保健法の適用外のため、保健室もない学校もある。このため、同大の学生らが02年から無償で健診を実施している。

 健診では、学生らが親が書いた問診票を手に「朝ごはんは」「持病は」などと質問。子供たちは「食べないことが多い」「ぜんそく気味」などと答えていた。続いて身体測定や視力測定、尿検査などを受けた。

 これまでに同大の調査で「夕食は親が帰宅する深夜」と答えた子供もおり、学校側が給食を低カロリーに切り替えるきっかけにもなったという。また、健康保険に未加入の家庭が多いことや約3割が肥満気味などの結果も出ているという。同大の佐藤由美教授は「親も気軽に相談できる機会。今後も継続させたい」と話している。

 健診は28、29日にもあり、約405人が受診する。【鈴木敦子】

毎日新聞 2008年2月23日

「記者の目:外国人研修生特区、認定先の不正横行」

2008-03-05 13:50:56 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載) 連載記事もあり。
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「記者の目:外国人研修生特区、認定先の不正横行」=後藤直義

 小泉改革の目玉事業として始まった構造改革特区の一つ「外国人研修生受け入れ特区」(愛媛県)で、認定企業の悪質な低賃金労働や不法残業、失踪(しっそう)が相次ぎ、内閣府特区推進室がこれまで42社を認定取り消し処分してきたことを昨年10月4日朝刊(大阪本社版)で報じた。背景に何があるのか。私は約半年間、認定企業を一つ一つ訪ね歩いた。

 「不正をしてまで労働力を確保するのに疲れました」。ある縫製会社元役員は自宅で、ぽつりぽつりと話し始めた。

 妻名義でダミー会社を作って中国人の研修生を入れたこと。ダミー会社の決算書は懇意の税理士にお願いして偽造できること。さらに、研修生に払う残業代は法定最低賃金(時給約780円)を下回る400円前後だ。それでも最後には、「法律通りの給料を払えば、赤字で店をたたまざるを得ない」と言った。

 特区は、「優良」な中小企業(従業員50人以下)を対象に、研修生を通常の2倍の6人採用できるようにした。3年間続けると18人の「労働力」が確保できる。今治市など県東部3市の繊維・縫製や造船業、電子部品関連業の地場産業3業種が対象だが、大半はアパレルメーカーの下請けをしている縫製会社やタオル関連会社が利用してきた。

 特区のアイデアを出したのも地元縫製組合だ。だが、取り消しが相次ぎ、認定企業は制度スタート時(03年10月、65社)の3分の1に満たない20社となった。

 不正の中でも、業界内でさえ怒りの声が上がっていたのが「100円ショップ」と呼ばれる認定企業の存在だ。残業代を100円前後しか払わない企業という意味だ。複数の関係者によれば、中国人の女性研修生5~10人を1グループにノルマ制の残業をさせる。達成できない場合、ペナルティーとして給料を下げると事実上100円レベルまで下がってしまうという。

 また、大きな縫製工場では20~30人の研修生らがミシンを踏んでいるが、妻や親族名義の複数のダミー会社を作る「分社化」という手段が使われている。認定企業のうち少なくとも18社が7カ所の工場の所在地に登録されていた。経営者は「(工場内に)仕切りやついたてを設け、別会社として認めてもらっている」と説明した。このような実情について、内閣府特区推進本部の評価・調査委員会(樫谷隆夫委員長、10人)は「不適正事例が発生しており、早急に対策を検討・実施すべきだ」などの意見を04年から3年連続で付けている。全国で420件ある特区の中で異例といえる。

 4度目となる07年度の評価について昨年12月、同委が入国管理局の担当者を招いてヒアリング調査をした。しかし委員の「違法な企業も認定されているのでは」「帰国後の技術移転は進んでいるのか」との質問に答えられる人も資料もなく、時間切れで実質審議は終わった。

 そもそも同制度自体が、低コスト化を求める企業の雇用手段として悪用されてきた経緯がある。研修制度を導入した国も、「技術移転」の建前の裏で「外国人の低賃金労働」を黙認し、特区の導入で増幅させる結果を生んだ。

 そこで私は提案したい。事は労働問題であり人権問題だ。国は研修制度を根本的に見直す一方で、とりあえず受け入れ企業や組合の研修生に、技能検定(対象51職種、国家検定制度)と日本語検定(1~4級)の二つのテストを受けてもらい、それを点数化して企業や組合を評価するルールを導入してはどうだろう。

 好例がある。四国4県にまたがる自動車修理業組合の取り組みだ。加盟社の経営者は「(中国では大衆的な)フォルクスワーゲンのタクシーしか修理できなかった職人が、3年の研修でベンツやBMWなど高級車の修理やメンテナンスができるようになった」と胸をはる。モータリゼーションが急激に進む現地で、実収入に直結する技術。全員が検定試験に向けて集中講義を受けている。また、愛媛県内では昨年12月、研修生125人が日本語検定試験に挑戦した。役員が作った教材で、通訳レベルの語学ができる研修生を育てている社もある。

 国内の外国人研修生・実習生の在留数は06年末時点で14万4000人で、年々増加している。しかし、愛媛県で約590社、全国に2万社ほどあるという受け入れ企業の実態は「玉石混交」だ。評価システムの導入は、多くの違法企業を浮かび上がらせるはずだ。国はその実態を自ら明らかにしながら、研修の正しいあり方を構築すべきだ。(松山支局)

毎日新聞 2008年2月21日 0時18分