富士山を遥か遠くに眺める日々

2017年富士山のすそ野から転居
本や映画、テレビなどから感動、
感心した言葉を書き留めていく

ピアノハンマー…

2018-05-01 10:09:32 | 読書
 2ヶ月前、「今読みたい本📕は何?」と友だちにたずねたら
『羊と鋼の森』(宮下奈都著)と、答が返ってきた。 
2016年 第13回本屋大賞を受賞した小説だとか。ちょっと変な
タイトルだけど私も読んでみようと、図書館へ。
またまた予約がいっぱいで、貸出しは2ヶ月先になりそうだと
言われた。何でも、この小説を原作として映画化され、今年
6月に公開される予定らしい。注目度が高いわけです。


ちぐはぐと思われる言葉を取り合わせたタイトルのなぞは
すぐ明かされる。
羊と鋼はピアノの音を発する部品、ハンマーと弦のこと。
森はピアノの音色、調律の世界のこと。


ピアノの鍵盤を叩くと、弦を叩いて音を出す部品、
羊の毛を使ったフェルトで作られている部品、
それがハンマー。
何と、私の父が生業として自宅で製造していた部品の
こと!
この本を読み始めてすぐ、いい音色を出すハンマーを作るべく、
試行錯誤していたあの頃の、父の姿が目に浮かんだ。
今から思えばどんな思いで仕事に向き合っていたか
聞いておけばよかったな〜。
もっとも、そんなこと話す人ではなかったが…。

それはともかく、『羊と鋼の森』。
美しい風景が広がるアニメ映画を見せられているような
場面と風景、人物と会話の描写。
放課後の体育館、17才、ピアノ、森の匂い…。
こんな感じ(アニメ調?)で、不安や葛藤、時には
怖れすら感じながら、主人公が調律師として目指す場所を
模索していく話。

主人公は20代前半の若者。先輩のアドバイスを真摯に
受け留め、自分なりに解釈しながら「コツコツ」
(本文より)前向きに進んでいく決意をする、、、、
 
本文からの引用:


「運があるとかないとか、持って生まれたものだとか、
考えてもしかたのないことを考えはじめたら、ほんとうに
見なきゃいけないことを見失ってしまいそうだつた。」


「才能がなくたって生きていけるんだよ。だけど、どこかで
信じてるんだ。一万時間を越えても見えなかった何かが、
二万時間をかければ見えるかもしれない。早くに見えること
よりも、高く大きく見えることのほうが大事なんじやないか」

……才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、
あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのか
わからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。
もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。


 我が身を振り返って、
 「真実だと分かっちゃいるけど、なかなか…むずかしかったし、
  今でも!」


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