タイ進出コンサルティングの東京コンサルティングファーム | タイ駐在員ブログ

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タイへの進出をコンサルティングしている駐在員が、タイの旬な情報をお届けします。

タイにおける撤退の手続き

2012年07月30日 11時05分07秒 | タイの法務
先週に続き、少し暗いトピックです。そう、撤退です。出来ればこんなことは考えたくありませんが、全ての事業がうまくいくわけではありませんので、こういったことを事前に知っておくことで、いざという時に焦らず、最良の選択をして頂けることと願います。

タイでは、会社を任意に解散及び清算することができます。会社の閉鎖手続きは、主に以下の手順となります。

①会社の解散決議(特別決議)
②会社の残資産の処分及び株主への分配
③解散登記
④新聞広告(解散登記後14日以内)
⑤所轄税務署への通知(解散登記後15日以内)
⑥清算財務諸表の作成・監査
⑦法人税税務申告(解散日後150日以内)
⑧税務調査(タックスクリアランス)
⑨清算完了

現地法人を解散させる際には、株主による特別決議が必要とされ、株主総会に出席した議決権を持つ株主の4分の3以上の賛成多数を以て可決されなければいけません。この解散決議が可決されなかった場合、裁判所に申し立てを行い、事業継続が不可能と判断された場合は解散が認められますが、この手続きには1年以上かかることがあるので注意が必要です。

また、債務の支払や資産の分配といった会社事務を処理する為、精算人を任命する必要があります。この精算人は民法1250条で「清算人の義務は、会社の業務を整理すること、その債務を支払うこと、およびその資産を分配することである」とされています。解散もしくは清算する日系企業の多くは、この精算人を清算業務を依頼した法律事務所の弁護士に指名するケースが多いと思います。

会社の解散登記完了の日から15日以内に、清算人は解散の旨を所轄税務署へ通知する義務を負いますが、これを怠った場合、会社に対して納税額に加え、それと同額の加算税の支払いを求められるので、ご注意ください。

解散日以後、タックスクリアランスが完了し所轄税務署からVAT登録の抹消通知が届くまでは、毎月の源泉税及びVAT申告・納付を継続する必要があります。もちろん、これを怠った場合もペナルティが発生します。

会社の解散及び清算に関する法的手続きの期間は、数か月から数年を要します。撤退にもしっかりとした準備と計画が必要です。

Thailand駐在 小林 平悟
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タイ進出時の注意点

2012年07月23日 10時25分24秒 | タイの投資環境・経済
最近、円高の影響もありタイへの進出が加速度的に増えています。もちろん、進出するのは円高の時期の方が初期投資コストも抑えられるので良いですが、すべての企業にとって最良の時期かどうかは、よく考える必要があります。
「今しかない。」そういった声もよく耳にします。
進出を考える上で楽観的思考も必要ですが、最悪の状況、つまり撤退まで考慮して決めるべきだと思います。

タイはサービス業が外資マジョリティで進出することが難しい国なので、その場合、合弁で進出するケースが多いです。そういった企業が進出を検討する段階で重要なのは、後のトラブルを防ぐ為にも、具体的な数値で撤退の基準を決めておくことです。
特に合弁会社でポイントとなるのが、株式総会での決議と債務超過の場合の負担割合となります。合弁先とのトラブルを防ぐ為にも具体的な基準を合弁契約書に明文化しておくことが必要です。債務超過については、「出資比率に応じて債務を負担する。」という事項、株式を譲渡する場合は「資産鑑定人による評価に従う」というように株価の基準も明記しておくと良いかもしれません。
合弁契約書の内容を合弁先と撤退についても議論すると、相手の真意も見えてきます。先を見越した予防策でもありますが、今後の事業を共に進めていく相手の真意を知るといった面でも、重要なことだと思います。

Thailand駐在 小林 平悟
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タイにおける減価償却

2012年07月17日 13時07分56秒 | タイの税務
タイでは、「1984年減価償却に関する勅令145号」により、その対象、償却方法が定められています。以下、タイにおける一般的な減価償却率になります。



※1 賃貸借契約書がない場合か、契約書はあるが連続的な更新を認める条項がある場合
※2 賃貸契約書はあるが、更新の条項無。または、更新の期間に制限のある場合
注1)割賦購入の場合、その支払合計額を取得額として償却が認められますが、一事業年度中の割賦支払額を超えて償却することは出来ません。
注2)期中取得資産及び期中除却資産については、使用期間を日割り計算する必要がある。
注3) 中古資産に関しては、耐用年数に関する特別な規定がなく、通常の新品と同様に扱う。

<その他特定の資産に対する特別償却>
・研究開発用の機械装置については、歳入局長の承認を得て初年度40%で特別償却し、残額は、年間20%を超えない一定の償却率で償却する。
・コンピュータ、ソフトウェア及び周辺機器は、取得価額を3年間で償却する。
・乗員10人未満のバス及び乗用車は、その取得価額のうち100万バーツまでしか償却できない(会計上は100%償却対象となる)。

<中小企業に適用される特別償却>
※中小企業の定義は、土地を除く固定資産が2億バーツ以下で、かつ従業員が200以下となります。
・工場建物は取得日に25%を償却、残りは年間5%以内で償却する。
・機械、設備は取得日に40%を償却、残りは年間20%以内で償却する。
・コンピュータ、周辺機器、ソフトウエアーは取得日に40%を償却、残りは取得日から3会計年度以内に、一般に妥当と認められた方法により償却する。


タイの税法上、償却期間は上記の償却年数以上の期間を設定しなければいけませんが、会計上、上記の期間より長い期間で償却する場合、税務申告上で調整することは認められません。償却年数も資産ごとに一律になります。

タイの税法では、日本のように法定残存価額、税法上の償却限度の制度はないので100%償却することが可能です。しかし勅令145号8条によりゼロにすることは出来ないので、1バーツの備忘価格を償却期間経過後も除売却までは残すという処理が行われています。

日本では取得価額が10万円未満の減価償却資産は、使用に供した事業年度において一時的に損金処理することが認められていますが、タイではこのような金額基準はなく、原則的に使用可能期間(耐用年数)が1年を超えるものは税務上すべて資産計上し、税法の規定に従った減価償却費を損金処理する必要があります。また、現状維持のための単なる修理は、修繕費となりますが、資産増設、改変、拡張または改良のための支出は資産計上する必要があり、損金とならない点に注意が必要です。

Thailand駐在 小林 平悟
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タイにおける移転価格税制

2012年07月09日 10時17分14秒 | タイの税務
近年、企業の国際化が進み、国際取引が盛んになる中で各国で移転価格税制の導入・整備がより一層進められています。ここ、タイにおいてもタイ税務当局が移転価格税制の担当部門の増員を図り、移転価格税制に関する体制強化の声を耳にします。

最近は円高の影響もあり、日系企業の海外進出が目立ちますが、こういったところで足元をすくわれない為にも、しっかりとした準備が必要になってきています。

さて、タイにおいて移転価格税制の根拠法となっているのは、タイ国歳入法となっています。ここには、「納税者が関連者との取引に関して、独立企業原則に反した取引を行っていた場合、係る納税者の課税所得及び損金算入処理を行った費用に関し、税務当局が更生を行うことができる」としています。

この、更生についてですが、係る更生が行われた場合、本税に対する追加納税に加えて、最大で追加納税額の100%までの罰金、及び追加納税額に対して月利1.5%の延滞税を課されることとなります。

以下に移転価格調査の対象となり易いケースを挙げておきます。

□グループ会社間での取引を行っている(ロイヤルティの支払、マネジメントフィーの支払など)
□業界の平均利益水準に対して低い利益水準となっている場合
□継続的な損失を計上している
□売上総利益率の変動が激しい(特にBOI税務恩典終了後に急激な下落があった場合)
□移転価格に対する体制を整えていない

移転価格調査は、まず納税者の申告内容の精査から始まります。その際に、上記に挙げた要因が見られる企業を抽出し、質問表又は資料提出請求をしてきます。この際に、大体1か月以内に提出できなければ、タイ税務当局自らが独自のデータを基に算定した独立企業価格をベースとして調査が進められてしまいます。こうなってしまうと、納税者は不利な立場に立ってしまうことが少なくありません。
ですので、上記にあげた要因に一つでも当てはまる企業は、しっかり書類等を揃えておくことをお勧めします。どういった書類を準備しておくべきか分らない場合は、専門家にご相談ください。

因みに、タイにはAPA(Advance Pricing Agreement:事前確認制度)があり、タイともう一方の国との当局間で租税条約に基づく相互協議を行い、事前確認申請について両当局から確認(合意)を取り付ける2カ国間事前確認申請というものがあります。こちらを取得しておくと、APAの合意内容の範囲内で取引を行っている限りは、過少申告追加算税、延滞税、罰金等を課されることはないとされています。

Thailand駐在 小林 平悟
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タイの中古家電製品に関する規制

2012年07月03日 11時38分47秒 | その他

先日中古家電製品のタイへの輸入についてご質問があったので、以下、簡単に纏めておきます。

タイの中古家電製品に関する規制は、2003年の工業局による「中古電気・電子機器器具に関わる輸入基準に関する通知」(Nortification of the Department of Industrial Works on the criteria for the approval of the import of the used electrical and electronic equipment into Kingdom of Thailand)によって規制されています。

中古品として販売(※)・リユース目的の輸入の場合、テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫(CFC使用の冷蔵庫を除く)、オーブン、ビデオ、電話、ファックス、携帯電話、コンピュータなどの29品目については、製造日から3年未満(コピー機は5年未満)のものであれば、工業局から輸入許可を得れば輸入可能とされています。

※2007年の工業局による「中古電気・電子機器器具に関わる輸入基準に関する通知」(タイ語原文)においては、販売は除かれていますので、実務対応の際は法律事務所などにご確認下さい。

また、分別/リサイクル目的の場合は、経済的に価値があること、登録工場が処理可能であること、バーゼル条約の加盟国からの輸入である場合にのみ輸入を認めているようです。

因みに、中古車のタイへの輸入については、国内産業保護育成と環境汚染抑制の観点から輸入許可が必要な品目とされています。輸入許可の条件は主に個人用、政府関係、再輸出目的に限られており、ビジネスとしての輸出は事実上不可能となっています。

Thailand駐在 小林 平悟
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