シンガポール進出支援ブログ/東京コンサルティンググループ

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TCG・シンガポール駐在員より最新情報を提供し、シンガポール進出支援をサポートします。

労働の問題

2012年11月27日 | シンガポールの労務
こんにちは、シンガポール駐在員の和久井です。

働く女性が目立つシンガポールでは、国家公務員では56%以上が女性だそうです。また現代は夫婦共働きでなければ経済的に生活継続も難しいため負担を分散するため、余裕があれば別の話ですが、共働きの家庭が殆どです。日本であれば結婚後の女性は専業主婦、子育てに専念し、仕事を退職することも少なくなくありません。もちろん仕事復帰される方も年々増えてきているものの、大概は家庭を選ぶ女性が多いイメージです。シンガポールも昔はそうだったそうです。ただ今からすると女性が結婚後に家庭に専念するため職場から離れるといったことはありえないと口を揃えます。余裕があれば別の話、とやはり経済的理由から仕事を継続する傾向が強い印象です。但し他にもシンガポールの特有の女性の働きやすい環境というのが他のアジアと比較しダントツっていう話もあります。経済発展からして労働する女性のニーズが高まったことにより、外国人メイド計画を政府が導入し、家庭での育児、家事、介護などを役割を外国人労働者に任せられる仕組みをつくったことにより、女性の労働市場は年々拡大しました。

シンガポールが独立した1965年の当初は初等中等教育で学ぶ女子生徒は30%に満たなかったものの、80年代前半から一貫して国立大学を占める女性入学者の比率は男性よりも上回っています。天然資源も土地も限られた国家にあって、人材の育成は徐々に重要視され、独立時首相であったリー・クアンユーは女性に教育を与え、その能力を十分に活用すること、シンガポールの未来に女性の活躍は不可欠だと、積極的に教育の機会を与えた政府政策が発端として背景にあります。

よって年々経済発展と共に女性の熟練労働者が増したことにより、男女の賃金格差は縮まるなどより対等に仕事ができる社会へと変化しつつも、一方女性の過度の労働による出生率はアジアでもっとも低い国と社会問題が近年懸念される課題となっています。これによりシンガポールは現在少子化が進んでおり、経済発展と共に労働人口不足を解決すべく外国人労働で補う傾向が増したがゆえに、外国人労働者への依存が高まったことによる人口増への問題も懸念されてきたため、政府はよりシンガポール国民の労働力を促すべく、政策として女性や高齢者を積極的に労働市場へ戻す動きが目立ちます。例えば育児休暇や子育て休暇、フレックスワーク制度などを導入する会社への補助金などです。労働市場を縮小させないためにも、様々な政策導入に現代シンガポールが抱える問題を反映されているといえます。

以上

雇用法の就業規則

2012年11月19日 | シンガポールの労務
シンガポール駐在員の和久井です。

シンガポールでの労働法はどちらかといえば企業側に有利な内容となっているのが特長的です。例えば、規定上最低賃金の定めがされておらず賃金設定は自由です。また解雇が自由に行える(事前の通知を出すことが前提ですが、解雇の正当な理由は無くても良い)点や、雇用法が適応されるのが一部の労働者であるため、適応外となる労働者が多いところに特長があります。適応外というのは例えば、雇われ社員であったとしても、経営的責任を負う管理職に就く方は雇用法で対象外とされていますし、残業代となるとさらに限定的なもので、一般労働者月収2,000SGD以上への残業代の支払い義務というのはなくなります(肉体労働者は4,500SGD以上であれば義務はありません)。つまり2,000SGD以上得ている営業職や事務職などに就く場合は残業代は会社の規定に寄るものとされ、それを払わない企業もあり得るということです。ただし、実務上それで納得する労働者は少ないが故、残業代が支払われないなら働かないといった形で辞める自由ももちろん労働者側も出てくるため、労働法で義務とされていなくとも、残業代を支払うのが適切として会社が任意で支払っているのが一般的です。

また雇用問題になってストライキや裁判が起こるケースがなぜ少ないのかというところですが、とある人材会社によると、お金と時間が掛かるからとのこと。不満があれば、よりいい賃金の会社へ転職する。失業率2%の国ならではの自由な考え方です。また低賃金労働者は会社に訴える弁護士費用も払えない、余裕がないといった状況であれば起訴は行えません。ただし、そうした労働者の訴えを放置されるわけではなく、シンガポールは政府機関サポートデスクとしてMOM(人材開発省)が間に入って仲介として解決に導く役割を果たしています。不満やクレームはMOMが受け持ち、企業側に注意を促すという流れになり、問題が起きる前のワンクッションを置いているというのが特徴となります。

また雇った人材との争いや定着率を保つといったためにも企業側は就業規則を作るなどしてある程度の福利厚生、例えば保険、研修制度、有給休暇、交通手当て(シンガポールは交通費は支給しないのが特徴です)などを設けるとされるのが理想です。就業規則Handbookの作成は義務とされていませんが、雇用法に適応されない労働者に対してこうした規則や雇用契約書が重要となります。これらを明確にすることで、企業の社員に対する価値観が現として、社員も会社選びの指標代わりとなるので重要な部分とされます。会社選びも賃金基準といったところではなく、シンガポールは働きやすい会社を選びたいといった根本的なところで賃金以外のところを重要視する傾向が多いようです。

以上

雇用法の改正

2012年11月12日 | シンガポールの労務
シンガポール駐在員の和久井です。

シンガポール雇用法Employment Actは全ての個人(船員、家庭内労働者、管理職、幹部、公務員を除く)を対象とした雇用の基本的な雇用条件、規則が定められており、雇用者は外国人、パートタイマー、臨時労働者を区別することなく雇用法に従い、同法を把握している前提で従業員を雇用しているとみなされます。また労働者も労働法により保護されることを知る権利があるとし、労働法の詳細についてはMOM(人材開発省)のホームページでも分かりやすくいつ誰でも閲覧できるよう詳細を掲示されています。また例え労働法が改正された場合にも、それに従うべき雇用者側が把握し、法に沿って更新を行うことが求められます。

法的違反とみなされた場合に直に罰されるというわけではなく、最初は、MOMを仲介役として雇用側と被雇用側の間に入り注意を促します。忠告を受けてそれでもなお労働法に反した雇用状況が継続されてるとみなされれば高額の罰金が課されるようになり、人材開発省のウエブサイトに悪い事例として会社名を公開されることがあります。ビジネスで成功して名声を得るのはいいですが、適切に給与を支給していなかった会社として有名にならぬよう、随時企業側は適切な雇用環境を提供する立場にあることが求められます。

2009年より雇用法が改正され、主な変化として例えばこれまで適応外であった守備義務を負う労働者に対して、雇用法が適応可能に。また従来管理職および幹部は、雇労働裁判所にて給与について訴えることのできる条件が月収2500SGD以下から2011年2月より緩和され、月収4500SGD以下でも適応されることになり、これまで保護適応外とされた多くの中間管理職クラスも該当することになりました。また病気休暇の利用は最低雇用経過1年後という定めから6ヶ月、今では3ヶ月経過後で利用可能となりより実務的かつ変化しつつある雇用情勢に合わせ来年2013年にも見直しが行われる計画があります。

これら雇用法改正に対し更新を把握するだけでなく、就業規則や契約書のへ変更を反映させる手続きが必要となるわけですが、これら実務的ないわゆるHow toは人材開発省のホームページに記載がないため、直接問い合わせを行うか或いは人事コンサルなどのアドバイスを求めることをお勧め致します。

以上

外国人ビザの問題

2012年11月05日 | シンガポールの労務
こんにちは。シンガポール駐在員の和久井です。

天然資源や限られた土地がない一方で、シンガポールの経済発展の源となる金融、サービス、研究開発、建築事業にマンパワーは必要不可欠であります。政府としても優秀な人材を誘致すべくビザ取得にもそれなりの高学歴と経歴および高い給与水準などを設けるなど、受け入れる条件に制限を掛けることにより、外国人労働者の入国をコントロールしています。

ただし、今年に入り昨年度からの外国人労働者の人口増加による圧迫と国民からの、現地人に対する職が縮小しているとの反発の声があがり、政府の就労ビザ発行の規制はより一層厳しくなってきております。昨年までは申請基準を満たしていれば、比較的簡単に取得できた就労ビザも、今では大手企業であっても、また基準を満たしていても許可が下りないケースがニュースでもここ最近目立ちます。

例えば、低賃金で雇えるアジア諸国の労働者を多く採用している大手飲食業やサービス業にとって、労働許可自体が下りにくくなっているのは、人材確保ができない重要かつ深刻な問題となっており、数多くの外資企業からの反感が高まっている状況が続いております。一方、ビザ管理を行う政府機関、人材開発省からは、これは国家の長期的計画に基づく方針であるからやむをえない、とのスタンスに、許可が下りない詳細も伝えてもらえないまま、再申請を行うなど、多くの外国人労働者を必要とする企業側にとっては頭を悩まされるケースが増加しています。

ただしここで矛盾しているのが、現地人を募集しところで、応募数が集まるかといったらそうでもないのが現実です。建築やサービスなど肉体労働を選択しない若者や、高い給与水準を求めるシンガポーリアンは少なくはなく、結果給与を上げるかビザのグレードを下げて外国人税を払う羽目になるかなど企業への負担や選択肢が少なくなっている中で、今後このまま持続されるかどうか政府の方針が懸念されます。

以上