東京コンサルティンググループ・フィリピンブログ

毎週木曜日更新
東京コンサルティンググループ・フィリピン駐在員より、現地から生の情報、声をお届けします。

Wiki-Investment

IT企業様のフィリピン進出について④

2012年10月29日 10時56分30秒 | フィリピンの法務
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

フィリピンは10/26(金)と11/1(木)2(金)が祝日のため、10/29~31までを有給にするとなんと10連休というプラチナウィークの真最中です。もちろん私はカレンダーに添って勤務しているため10連休にはなりませんが、11/1~4まではカレンダー通りの4連休です。久しぶりに小旅行でもしようかと考えている今日この頃でございます。

さて、ちょっとした連載になってしまいましたが、IT企業様のフィリピン進出について、今週はフィリピン現地側の手続きについてお話をさせて頂きます。

■現地側手続
【フィリピン側手続】



①商号の予約・登録
フィリピンにおいてすでに使用されている商号または類似する商号は使用することができません。よって、登記申請の前にSECに希望する商号が使用することができるかどうかの確認を行います。通常は、3つ程度の社名を準備し、使用許可申請を行い、申請した商号が承認された場合には、社名確認書が発行されます。現在は、オンラインにより商号の確認ができるシステムがあります。
チェックシステムの審査基準が厳格であるため、申請された商号が既に登録されている商号と少しでも類似していると判断がなされた場合には申請が通りません。この場合、希望する商号が類似していないとの事由を記した文書を提出することにより、承認されるケースもあります。

[商号確認書]
商号の予約手続により取得した商号確認書が必要となります。この商号確認書は有効期限があり、期限内にSECに登録申請をしなければなりません。有効期限が過ぎてしまった場合は、再度商号確認書の取得が必要となるため注意が必要です
・手数料40ペソ:商号確認の有効期限が30日間
・手数料120ペソ:商号確認の有効期限が120日間

②銀行口座開設/資本金の払込
SECに登記登録をする前に、銀行口座を開設し最低払込資本金の送金を完了しておく必要があります。銀行口座の開設は、現地の弁護士事務所及びコンサルティング会社に依頼することができます。

[送金証明書、預金証明書]
原則として、払込資本金の送金を証明する送金証明書及び預金証明書を銀行から取得し公証を受けます。口座を開設することができる銀行は、特別に権限を与えられた銀行だけなので口座を開設する前に確認することが必要になります。

③証券取引委員会(SEC)への登録(所要期間:約4週間)
証券取引委員会(SEC)が外国法人の監督・管理を一括して行っています。
SECへの登録が完了した後に、地方自治体からの法人の設立許可であるバランガイ・クリアランス、法人の設立地区を統括する市長からの営業許可である事業許可証を取得しなければなりません。

[年次報告書 GIS(GENERAL INFORMATION SHEET)]
年次報告書のフォーマットはSECのホームページからダウンロードすることができます。内容としては、会社名、会社住所、電話番号、資本金の額などの基本情報を記載します。日本における登記簿謄本と同じような機能を持っています。

[財務役宣誓書]
財務役に任命された者の宣誓書となります。具体的な内容としては、本人が財務役に任命された旨及び最低払込資本金が問題なく振り込まれたことを証明する等の内容となります。また、フィリピンの公証役場において認証を受ける必要があります。

[登録手数料]
SECへの登録手数料は、授権資本額の1%の1/10にその20%を加えた金額となります。さらに、調査手数料として登録手数料の1%を支払います。
SEC登録申請が承認されると、登録証書(Certificate of Registration)が発行されます。最近では、SEC登録の際に同時に納税者識別番号が付与されます。

④フィリピン中央銀行への登録(所要時間:約2週間)
資本金として送金した資金は、フィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas)に外国投資として登録することができ、外貨建て投資はフィリピンペソに転換されます。中央銀行に登録をすることにより、本国への配当、利子、利益又は会社を清算した場合の資本の本国引き揚げの際に外貨での送金が可能となります。外貨の調達は、公認代理銀行を通して行うことができます。
なお、本国に海外送金をする場合の手順としては、まず中央銀行に外国投資としての僧録を行い、フィリピン中央銀行登録書類(BSRD)を取得します。その後、送金を行う公認代理銀行に申請を行います。
この手続は任意となりますが、海外送金が必要になることを考え、設立と同時に登録することをお勧めいたします。

⑤地方自治体での手続(所要期間:約4週間)
[バランガイ・クリアランス( Barangay Clearance)]
子会社の所在地を管轄するバランガイ(Barangay)から許可証を取得します。通常バランガイ事務所では、SEC登録証書及び賃貸契約書の提出を求められます。なお、バランガイとは都市を構成する最小単位の地方自治体のことを指します。

[事業許可証(Mayor's permit)取得]
子会社の所在地を管轄する地方自治体から事業許可証を取得しなければならず、以下の書類が必要となります。事業許可証申請時には通常、職員による査察が行なわれ、賃貸契約書の提出が求められます。さらにこれに付随して、オフィスの占有許可証の提出を要求されるケースがあります。こちらはビル単位ではなく、オフィス単位での提出となるため、貸主にあらかじめ許可を得ているかの確認をする必要があります。
なお、書類を用意できなかったためにオフィス住所を変更したといったケースもあります。事業許可証は毎年更新しなければなりません。
・バランガイ・クリアランス
・賃貸契約書
・所定の申請書
・SEC登録証書
・定款、付属定款
・申請手数料、地方事業税(申請手数料、地方事業税額は地方自治体により異なる)

[住民税納付証明書(Community Tax Certificate)]
住民税納付証明書は、会社の所在地を管轄する地方自治体にて納付、証明書を取得することになります。毎年の更新しなければならず、バランガイクリアランスを取得する際にも必要となります。

⑥内国歳入局(BIR:Bureau of Internal Revenue)での手続(所要期間:約2週間)
[納税者識別番号(Taxpayer Identification Number)の取得]
会社の所在地を管轄する税務署(Revenue District Office)から、納税者識別番号を取得します。申請時には SEC 登録証書の提示が求められるので準備が必要です。最近では、SECから登記を許可された時点で与えられるケースが多くなっています。

[印紙税の納付]
印紙税の納付期限は、株式を発行した月の翌月5日となっています。印紙税は株式発行の際(資本金払込時)、200ペソにつき1ペソが課されます。

[納税者登録]
会社の所在地を管轄する税務署に申請します。申請時には登録申請書(BIR 書式番号1903)に以下の書類を添えて提出する必要があります。
・事業許可証
・事務所賃貸契約書
・SEC登録証書
・会計帳簿
・会社定款、付属定款
・登録手数料
申請が承認された後に、登録証明書(BIR 書式番号 1556)が発行されます。

⑦社会保険関連の手続
従業員の雇用が発生した時点で、社会保障制度(SSS)、健康保険公社(PhilHealth)、持家促進相互基金(Home Development Mutual Fund/Pag-IBIG Fund)への登録を行い、毎月拠出金を納付します。これらの手続は、日本人駐在スタッフが現地で駐在を始める場合にも、雇用が発生したとみられ、手続を行う必要があります。
なお、社会保障制度の登録後、従業員は社会保障制度の主催する研修に参加することができます。この研修に参加することにより、社会保障における従業員の権利と義務を認識することができます。

最後に1点お知らせがございます。
会社の設立業務に関し、弊社は市場価格を十分に調査し弊社の価格が最もリーズナブルであると考えております。しかし、もしも他の日系コンサルティング会社で弊社より低価格な会社がございましたらそのお見積書をご提示下さいませ。その場合にはそちらの金額にて、ご対応をさせて頂きます。
詳しくはこちらのフォームよりお問い合わせください。


今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上
コメント

IT企業様のフィリピン進出について③

2012年10月22日 13時15分05秒 | フィリピンの法務
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

フィリピンマニラは雨季も終わったようで、からっと晴れた暑い日が続いております。日本の季節が秋であることを考えると、気候の違いには本当に感ずるところがございます。

さて、今週のお話をさせて頂く前に、先週の資本金要件の補足をさせて頂きます。
先週、資本金のところで「将来において物やサービスの輸出もしくは総売上の60%以上を占める海外収益が見込める企業は輸出企業とみなされ、20万USドルの最低払込資本金の要件は適応されない。この海外収益が見込める企業とは、輸出型企業として、売上の60%以上を外国に輸出する製造業者……」と述べましたが、実務上はフィリピンで製造したシステム等を日本を含めた海外に輸出するIT企業様もこの輸出企業に含まれています。
ですので、フィリピン国外への輸出が60%以上の企業様は最低資本金が20万USドルではなくフィリピン会社法の最低資本金である5,000ペソ(約1万円)になります。この資本金要件のギャップには驚きます。ただ、実務上は資本金5,000ペソでは少なすぎるので、PEZA登録やBOI登録を考えている企業様であれば100万ペソ(約200万円)、PEZAやBOIへの登録を考えていない企業様であれば20万ペソ(約40万円)くらいからが実務上の最低資本金になるようです。

それでは先週の続きで、今週は現地法人の役員と定款についてお話させて頂きます。

[現地法人の役員]
会社役員の決定は通常会社法の規定に基づき決定しますが、フィリピンでは、規制業種(ネガティブリスト)に該当する場合に、アンチダミー法が追加で適用されるため規制内容が複雑になります。
●取締役(最低5名)
取締役は最低一株以上の株式の引受が必要となります。最低人数は5名以上必要であり、かつフィリピンの居住者が過半数を占めていなければなりません。さらに、ネガティブリストに規定される規制業種に該当する場合には、アンチダミー法が追加で適用されます。この場合は、外国人の取締役の構成比率に占める割合は、ネガティブリストの上限出資比率を上回ることはできません。
(例)広告業(ネガティブリストによる外資出資比率上限 30%)
 取締役5名の場合
  ○ 外国人 1名、フィリピン人 4名
  × 外国人 2名、フィリピン人 3名

●代表取締役(社長)
代表取締役は、会社の代表権を有する者をいい、フィリピンでは社長と言うのが通常です。取締役の中から選任されますが、代表取締役は、フィリピンの居住者でなければなりません。
●財務役
財務役とは、会社の会計責任者をいい、1名以上の設置が義務付けられます。取締役との兼任が認められていることから(代表取締役との兼任は不可)、簡素な設計を行うためには、取締役と兼任をさせます。フィリピンに居住していることが要件となります。
●秘書役
秘書役は、フィリピン居住のフィリピン人を選任しなければなりません。会社設立よりも先にフィリピン人の秘書役を見つけることは困難な場合があるため、実務上は、コンサルティング会社に名義を借りるといった方法があります。しかし、実質的に会社と関係のない他者の名義を借りることになるため、自社で人材を探すほうが将来のリスクを減らすことができます。

【役員に関する規定】
(原則)


アンチダミー法(Anti-dummy law)とは
役員の構成に大きな影響を与えるアンチダミー法ですが、この法律の趣旨としては、外国企業に対する出資規制を名義貸し等によって免れることを規制するものとなります。
具体的には、外国企業の出資が制限されている業種に出資する場合、ネガティブリストに基づきフィリピン企業と外国企業との出資割合が定められていますが、フィリピン企業が出資するとみせかけ、実質は、外国企業が負担する場合などです。
しかし、出資者がフィリピン人の個人出資とするのか、又はフィリピンの内国企業なのかによっても事情は変わってきます。例えば、出資者が個人の場合において、外国企業がこの個人に貸付を行い、その資金でもって出資を行う場合には、取締の対象となる可能性が高くなります。しかし、出資がフィリピンの内国企業の場合は、取締の対象とならない可能性があります。
また、設立された会社の実質的な支配を行っているのは誰かということもポイントとなります。例えば、外国規制がある業種にフィリピン人出資者過半数の出資により設立したにも関わらず、実際の支配、運営は外国企業によって行っているといった場合にもアンチダミー法の規制対象となるリスクがあります。
基本的な考え方としては、出資者は実質資金を提供しなければならず、規制業種においては、出資及び役員がフィリピン人の過半数になります。よって、実質的にもフィリピン人の主導により、会社を運営しなければならないということになります。

[定款]
定款には、以下の内容を記載する必要があります。記載内容には、法定されているものが多く含まれるため、弁護士や会計事務所の有するフォーマットをベースに作成します。
・社名(社名確認をしたもの)
・事業目的(事業内容となるもの)
・主たる所在地(登記場所となる)
・存続期間(50年以下で設定する)
・発起人
・取締役
・授権資本金額
・払込資本金額
・財務役の任命

[付属定款]
付属定款には、以下のような取締役会の招集方法など会社の様々な規定を盛り込むことができます。後にトラブルにならないように詳細な規定を最初に作っておくことが大切となります。
・株主総会
・取締役会
・会社役員
・会計年度(暦年が一般的)

[定款へ記載する事業目的]
フィリピンにおいては外資規制があり、日本の企業が参入できない業種もあるため、事前に現地の弁護士事務所及びコンサルティング会社に相談することをお勧めします。
ネガティブリストに該当する場合には、外国企業の出資規制があります。設立の際には、フィリピン人の一定割合の出資が必要となり、役員のフィリピン人と外国人の比率をこの出資割合に合わせなければなりません。
定款へ記載する事業目的の設定は、投資の形態、会社の機関設計に大きな影響を与えるため、綿密な調査と慎重な判断が必要になるでしょう。

②必要書類の準備
通常は、弁護士事務所及びコンサルティング会社に設立手続を委託するケースがほとんどであり、この場合には、日本の親会社は以下の書類を用意する必要があります。

【登記登録及び営業許可取得の必要書類】
書類備考
賃貸契約書現地登記住所のオフィスの賃貸契約書

【銀行口座開設の必要書類】
書類備考
取締役決議書公証の必要
委任状開設を弁護士事務所等に依頼する場合必要、要公証
※銀行によって必要な書類は変わります。

③書類の認証
日本側で必要な書類一式を準備し、英語翻訳をした上で、日本の公証役場で認証を受けます。その後、外務省で公認確認を行った上で、フィリピン大使館で認証を受けるというのが日本側で行う一般的な手続になります。

来週はこの続きで、フィリピン現地側の手続きについてお話させて頂きます。
今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上
コメント

IT企業様のフィリピン進出について②

2012年10月15日 13時03分11秒 | フィリピンの法務
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

今週と来週はIT企業様のフィリピン進出・現地法人設立に関し、日本側手続きについてお話させて頂きます。前提として、フィリピン進出に際して優遇税制を受ける場合、支店という進出形態では優遇税制を受けられず、現地法人を設立する必要があります。

■日本側手続
現地法人を設立することを決定した場合、設立の準備に入ります。まずやることは、会社名や株主構成、資本金、会社役員など、現地法人情報を決定することです。

【日本側手続】


①現地法人情報の決定
[フィリピン現地法人の会社名]
既にSECに登録されている社名または類似の社名は使用することができないため、候補の社名を三つ用意します。事前にSECに商号の予約を行いますが、この商号の予約の有効期限は30日間となっているため、有効期限が切れる前にSECに登記登録を行う必要があります。

[フィリピン現地法人の登記住所]
SECに登記登録を行う際に、登記住所を確定させておく必要があります。オフィス等を探すことよりも会社の設立を優先させる場合は、弁護士事務所やコンサルティング会社に登記住所の名義を借りて、設立の手続を進めることができます。また、事業許可証(Mayor’s permit)申請の際に賃貸契約書が必要となります。

[株主及び発起人]
フィリピン会社法23条により、発起人(及び取締役)が最低1株以上引受けなければなりません。なお、会社の設立プロセス及び機関設計は、シンプルにするために、実務上は、発起人、取締役、株主が兼ねるケースがほとんどです。
発起人とは、会社の登記手続を遂行し、会社定款に署名をする者をいいますが、人数や居住性ついて細かく規定されており、以下の要件を満たさなければなりません。

【発起人】


会社設立後の取締役についても発起人と同様に規制されており、最低一株以上保有しなければなりません。そのため、実務上においては発起人がそのまま取締役となるケースが一般的です。外資規制がある業種に進出する場合にフィリピン企業との合弁会社を設立する場合は特段問題ありませんが、独資で会社設立する場合にはどうやって集めれば良いでしょうか。
実務上、人材の採用、会計事務所等の名義貸しサービスの利用などが考えられます。
現状として、フィリピン居住者であるかどうかは登記申請時にそれほど厳格なチェックは行われていません。外国人の場合にはパスポート番号、居住者の場合は税務コードを必要書類に記載するのみとなっています。どのタイミングで居住者である必要があるか(設立申請時点で居住者でなければならないか等)についての明文規定も存在していませんが、将来的に取締まりが強化されるリスクに備えて、当然遵守していく必要があるでしょう。

[資本金]
資本金には、授権資本金、引受資本及び払込資本の3つの種類があります。授権資本金は、取締役会の権限で新株を発行することができる限度額をいい、引受資本は、実際に株式の引受契約が締結された資本の金額であり、授権資本金額の25%となります。また、払込資本は、引受契約のうち実際に払込(現物出資等を含む)がなされた金額をいいます。財務諸表上の資本金の額はこの払込資本の金額であり、引受資本金の25%となります。

資本金額の決定に際しては、将来的にどのくらいの増資が必要になるかを考慮する必要があります。授権資本金の額までは、取締役会の決議のみで増資が可能となりますが、授権資本金を大きくすると払込資本金の額も大きくなるため、バランスを考慮しなければなりません。

外資100%企業の場合の株主、資本金の設定例(払込資本金200,000ドル 1株額面1ドル)


外資の出資比率を40%超に設定するためには、最低払込資本金が20万USドル(約1,600万円)必要になります。先端技術を有するか、または直接50名以上を雇用する場合はこれが10万USドル(約800万円)へ軽減されます。
将来において物やサービスの輸出もしくは総売上の60%以上を占める海外収益が見込める企業は、1991年外国投資法に基づき、輸出企業(Export enterprises)とみなされ、20万USドルの最低払込資本金の要件は適応されません。この海外収益が見込める企業とは、輸出型企業として、売上の60%以上を外国に輸出する製造業者、加工業者、サービス業者(観光業を含む)、またはフィリピン国内で製品を購入し、その60%以上を輸出する会社を指します。

来週はこの続きで現地法人の役員、定款についてお話させて頂きます。
今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上
コメント

IT企業様のフィリピン進出について①

2012年10月09日 11時29分03秒 | フィリピンの投資環境・経済
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

先日フィリピン現地にて訪問させて頂いた企業様で、興味深いお話をお伺いしました。現在フィリピンではIT企業様の進出ラッシュが起こっており、これは10年に1度くらいある周期らしく、この進出ラッシュは2~3年続くだろうという話です。

フィリピン進出前の市場調査から会社設立サポートサービス、会社設立後の会計・税務サービス及び人事労務サービスを行っている弊社としてはこの進出ラッシュを非常に嬉しく思っております。
また、ご存知のようにフィリピン政府も雇用を創出し、外貨を稼いでくれるIT企業様の進出には非常に前向きで、BOI(投資委員会)やPEZA(フィリピン経済区庁)といった政府機関が優遇措置を設けております。

というわけで、今週から4回にわたり、これから進出をご検討されているIT企業様向けに現地法人設立のお話をさせて頂こうと思います。
第1回の今回は前述のBOIとPEZAの優遇措置についてお話させて頂きます。

●BOI優遇措置について
1987年オムニバス投資法(共和国法第226号)は、アキノ政権下の1987年に制定されました。国内外問わず、投資優先計画(IPP)に記載された投資について、BOIに申請、登録すれば優遇措置の適用を受けることができます。
外国資本100%の現地法人の設立を考えた場合、生産した製品の70%以上が輸出用であればBOIの優遇措置を受けることができます。

【優遇措置】
BOIに投資申請を行い、許可を受けた場合には、以下のような税制面の優遇措置を受けることができます。
・法人税の免除
a. パイオニア企業※:6年
b. 非パイオニア企業:4年
c. 拡張投資:3年(法人税免除は売上高の増加分についてのみに限定)
d. 低開発地域への新規、または拡張投資(パイオニア、非パイオニアに関わらず):6年間
e. 近代化投資をする場合:3年間(法人税免除は売上高の増加分についてのみに限定)
・5年間、資本設備や予備部品に係る関税率の低減

※パイオニア企業とは、以下の要件を満たす企業をいい、それ以外の企業を非パイオニア企業といいます
・フィリピンにおいて商業規模で生産されたことのない財または原材料の生産に従事している企業
・フィリピンにおいて商品生産に実績がなく、試されたことのない新規の設計、製法または工程の利用を行っている企業
・投資優先計画(IPP)で定められた企業。

【その他の優遇措置】
・外国人の雇用(登録日から5年間、登録企業は統括監督者・技術者・顧問職に外国人を登用できる)
・委託機器の輸入

●PEZA優遇措置について
1995年特別経済区法(共和国法第7916号)に基づき、フィリピン経済区庁(PEZA:Philippine Economic Zone Authority)は、都市部以外の特定の地域に外国投資を誘致するために輸出加工区(エコゾーン)を設置しています。輸出型製造業やサービス供給者に対して投資の促進・サポートをすることで事業運営の簡易化を図っています。
PEZA法に基づき、特定の地域に設置された外国企業は、優遇措置を受けることができます。
なお、本法が成立する前から、1987年オムニバス投資法に基づくBOI優遇措置が付与されていますが、本法の成立により、特別経済区で事業を行う企業に対しては、既存の優遇措置に加え、以下の優遇措置が付与されます。

PEZA登録の受けられるIT企業とは、総収益の70%が海外顧客先から得られるIT サービス活動(付加価値のためにIT ソフトウェアあるいはシステムの使用を伴う活動)を行う企業のことです。
また、インセンティブの資格を有するIT サービス活動の中には、次のものがあります。
・ビジネスプロセスアウトソーシング
・コールセンター
・データエンコーディング
・転写及び処理;
・システムソフトウェアとミドルウェアのプログラミング及び適応を含むソフトウェア開発とアプリケーション
・ビジネス、メディア、電子商取引、教育、娯楽など
・マルチメディアあるいはインターネット目的のためのコンテンツ開発など

【優遇措置】
①所得税免除
法人所得税が100%免除
・拡張したプロジェクト:3年間の免除
・非パイオニア企業:4年間の免除
・パイオニア企業:6年間の免除

②特別税の適用
当該企業の所得税免除期間の満了をもって、5%の総所得課税が適応されます。一切の国税、地方税が免除となります(総所得とは登録活動から得られる総売上高又は総収入から販売割引、返品、引当、販売値引き、直接費用を差し引き、課税期間中に発生する管理費・偶発的な損失を控除する前を指します)。

③その他
・輸入された設備と部品に対する関税及び租税の免除
・設備の輸入貨物に対する埠頭税の免除
・BIR(内国歳入庁というフィリピンの国税庁のこと。)とPEZA要件の遵守を条件とした通信費、電力費、水道代及び建物のリース料を含んだ現地調達における物品とサービスにおける付加価値税の免除
・地方政府の賦課金、手数料、免許及び課税の支払免除
・拡大源泉徴収税の免除

次週から3回に分けてIT企業様の現地法人設立についてお話をさせて頂きます。
今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上
コメント (1)

個人所得税(Tax on Income)について③

2012年10月01日 11時47分08秒 | フィリピンの税務
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

私の趣味は節約も兼ねたフィリピンローカル食堂の食べ歩きです。
フィリピン現地の人と肩を並べ、1日3食たいていローカル食堂で済ませています。
しかし、趣味が食べ歩きとはいえいつも新規開拓というのは難しく、ある程度は決まったところに落ち着いてしまうのが現状です。

最近私が住んでいるコンドミニアムの裏に新しくレストランができました。非常に南国らしく開放感あふれる作りのレストランで、電飾もクリスマスムードのある雰囲気のよいローカルなレストランです。家から近いのもあり、プレオープン当日から通っているのですが、常に美味しい料理と温かい雰囲気でもてなしてくれます。もともと紅茶とコーヒーは置いてなかったのですが、ダメもとでオーナーに頼んでみたところ10月から置いてくれるようになりました。これで少し長く、くつろぎの時間を楽しむことができます。
フィリピンをまた少し好きになった瞬間でした。

さて、今週は先週・先々週に引き続き個人所得税に関して、所得金額の計算・税率・確定申告・源泉徴収についてお話をさせて頂きます。

●所得金額の計算
前回までにお話させて頂いた方法により算出した各種所得の合計額から、以下の所得控除額が控除されます。
フィリピンでも、日本と同様に各種の所得控除が認められていますが、その額は日本の所得税と比べると僅少であるのが現状です。
【所得控除一覧】
控除対象年間の控除額
(ペソ)
基礎控除50,000
扶養控除(1人当たり。最高4人まで。)(注1)25,000
保険料控除(1家族当たり)2,400
注1:扶養者は21歳未満で未婚かつ無所得である者、及び心身障害者で納税者と生計を共にする者をいいます。

なお、保険料控除については、月200ペソを超えない保険料の場合は以下の条件を満たせば控除が認められます。
・家族の総所得が250,000ペソを超えないこと ・既婚者である場合は、扶養控除を行った配偶者にのみ控除が認められます
●税率
税務上の個人の居住者及びフィリピン国籍の非居住者は、算出された総収入金額から各種控除額を差し引いた課税所得の額に応じて、7段階の累進課税率が適用されます。
【個人所得税率(居住者及びフィリピン国籍の非居住者)】
年間課税所得(ペソ)税率
0~100005%
10001~30000500+10000を超える部分に対し10%
30001~700002500+30000を超える部分に対し15%
70001~1400008500+70000を超える部分に対し20%
140001~25000022500+140000を超える部分に対し25%
250001~50000050000+250000を超える部分に対し30%
500001~1250000+500000を超える部分に対し32%
外国籍の非居住者に対しては、一律25%の税率が適用されます。

【個人所得税率(外国籍の非居住者)】
年間課税所得税率
一律(フラットレート)25%

一方、多国籍企業の地域統括本部(RHQ:Regional Headquarter)や地域経営統括本部(ROHQ:Regional Operating Headquarters)、オフショア銀行(OBU:Offshore Banking Unit)、石油開発関連企業等の外国人従業員については、以下の優遇税率が課税されます。
なお、この優遇税制は上記組織に勤務し、上記従業員と同等の地位に就くフィリピン国籍の居住者に対しても適用されます。
【個人所得税率(優遇)】
年間課税所得税率
一律(フラットレート)15%


●確定申告
所得税額の算定を行った後、個人所得税の申告、納付手続を行います。
個人の課税対象期間は暦年(1月1日から12月31日)とされており、申告・納付期限は、翌年の4月15日までとなります。非上場会社の株式売却益、不動産の売却益による所得がある者は、所定の様式の申告書を別途提出する必要があるため注意が必要です。

納付手続については、申告書提出の際に源泉徴収税額との差額を精算します。源泉徴収税額が確定税額を超える場合は、翌4月15日より2カ月以内に還付されます。
なお、納税額が2,000ペソを超える納税者に対しては、申告時と7月15日以前の2回に均等分割し、納付することも認められています。
【原則的なスケジュール】

【納税額が2,000ペソを超える場合の特例】

また、上位5,000名の個人納税者は電子申告及び電子納税制度(eFPS:Electronic Filing and Payment System)による申告納税を行うことが義務付けられています。
eFSP制度の適用が義務付けられている納税者で納税をしていない場合は、税務署から徴収通知書が発行され、罰則を課されます。徴収通知に記載された期限内に納税をしなければ、略式法的措置又は債権差押えが適用されます。
さらに、継続的に電子申告を行っていないeFPS納税者は、期限後納税に対して50%の超過税率が適用されるため注意が必要です。

●源泉徴収
雇用主は、毎月の給与の支払時に個人所得税額を源泉徴収して、翌月10日までにフォーム1601Cを用いて申告納付を行います。ただし、電子申告を行っている会社はこの期限が5日間延長されます。また、年度末である12月分については、翌月の15日が納付期限となります。
また、雇用主は、課税年度終了後の1月31日までに、源泉徴収票を従業員に対して交付するとともに、源泉徴収の総括表(フォーム1604-C)を税務署に提出をしなければなりません。

今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上
コメント (2)