東京コンサルティンググループ・フィリピンブログ

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東京コンサルティンググループ・フィリピン駐在員より、現地から生の情報、声をお届けします。

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個人所得税(Tax on Income)について②

2012年09月24日 14時30分21秒 | フィリピンの税務
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

先日フィリピン日本人商工会議所主催のセミナーに行ってきました。こちらに長くいらっしゃる講師の方の話によると、現在のフィリピン・マニラの治安はあまりよくないとのことです。
ただ、ひとことマニラと言っても指し示す地域は広く、ビジネスの中心地マカティ市では凶悪な犯罪は少なく、観光地の多い海沿いの地域などが比較的治安がよくないようです。
11月には雨季が終わり、2月くらいまでは比較的涼しく雨の降らない旅行シーズンになるので、フィリピン・マニラを旅行される方々には事件事故に巻き込まれないよう注意して頂き、楽しい時間を過ごしていって頂きたいと思います。

それでは、今週も先週に引き続き個人所得税についてお話をさせて頂きます。

●フィリピンにおける所得税額の計算
フィリピンにおける所得税計算については、下図の手順により計算します。
【所得税計算の流れ】



まず、その年におけるすべての収入から、課税される収入(所得)と非課税とされる収入(所得)とを区分する必要があります。
以下において、課税される収入及び非課税収入、経費控除、分離課税の収入について述べていきます。

●課税対象となる所得の範囲
所得税額の計算上、課税対象となる所得は以下の区分に分類されます。このうち、配当や利息、資産の売却益(キャピタルゲイン)は、源泉分離課税が行われます。
・給与所得
・資産の売却益(キャピタルゲイン)
・利息
・家賃収入
・使用料
・配当金
・その他の収入

また、収入であっても、所得税法上課税されないと規定されている主な「非課税所得」については、以下の通りです。
【非課税所得】
・生命保険金・雑品目(Miscellaneous Items)
・生命保険の返金保険料・外国政府からの収入
・贈与又は遺贈財産・国内政府及び地方自治体からの収入
・損害、疾病補償金・褒賞金
・租税条約に基づく非課税所得・租税法により認められた賞金
・満期5年以上の債権の売却益・投資信託の償還益
・「合理的退職金制度(reasonable private benefit plan)」に基づく退職金
※ただし、勤続10年以上かつ退職年齢50歳以上に限ります
・13th month pay(13ヶ月手当)及びその他の利得で、30,000ペソを超えないもの(現物給与等を含む)
※13th month payとは1カ月分の給与に相当する賞与等のことで、支払いが使用者に義務付けられています
・死亡、疾病、身体的障害等、不可抗力の事態が原因で退職する場合に、事業主から受領する金額


●経費として控除できる費用
所得税が課税される所得金額については、収入金額から、その収入を得るために支出した金額を控除して算出します。
ただし、給与所得のみの納税者に対しては、この経費控除は認められていません。収入金額から控除することができる経費の金額は以下のような費用になります(1997年租税改正法、第7章、34項)。
・利息
・税金
・天災等の損害による損失
・慈善寄付金
・年金信託

また、納税者は総売上高又は総収入の40%を超えない額を経費とみなして控除する、選択制定額控除制度を採用することもできます。当該制度を選択する場合は、確定申告の際に当該制度を選択する旨を申告書に記載する必要があります。

この続きとして、来週は所得金額の計算、税率、確定申告、源泉徴収についてお話をさせて頂きます。
今週も宜しくお願い致します。

以上
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個人所得税(Tax on Income)について①

2012年09月18日 10時52分35秒 | フィリピンの税務

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

先日、フィリピン・セブ島への進出をお考えになっているある企業のご担当者様から個人所得税に関するご質問を頂きました。そのこともあり、今週・来週・再来週と3回に分けて、じっくり個人所得税についてお話をさせて頂こうと思います。

フィリピンにおける個人所得税の課税期間は、暦年(その年の1月1日~12月31日まで)とされています。
フィリピンに居住する個人や日本からの現地駐在員について、個人所得税を計算する場合、まずその対象となる人が「居住者」であるか「非居住者」であるか、つまりその対象者の居住性が重要となります。この居住性により、課税される所得の範囲が異なってくるからです。
●居住者の定義
フィリピンにおける居住性の区分は、以下の要件のいずれかを満たす場合に居住者として区分されます。
・フィリピン国籍を有する個人(居住性は問わない)
・フィリピンに定常的な住居を有する者
・12カ月以内に180日以上フィリピンに滞在している者
【居住性の判定図】


●課税される所得の範囲
フィリピンでは、「フィリピン国籍の居住者(Resident Citizens)」の場合は、フィリピン国内の所得だけでなく、どこで受け取ったかに関わらず、その他の国において発生した所得のすべてがフィリピンにおいて課税されることになります(いわゆる、全世界所得の申告)。


 フィリピン国籍の居住者外国籍の居住者非居住者
フィリピンにおいて発生した所得(国内源泉所得)課税
フィリピン以外の国で発生した所得(国外源泉所得)課税非課税

日本からの駐在員の場合、通常、「外国籍の居住者(Resident Aliens)」に該当すると考えられます。外国籍の居住者については、国内源泉所得のみがフィリピン国内で課税されます。
したがって、日本において不動産などを有していて、そこから賃貸収入などが発生している場合には、フィリピンでの課税は行われないことになります。

前述のように、フィリピンの税法では、居住者を180日以上フィリピン国内に滞在又はフィリピン国内に住居を有するものと定義しています。
一方、日本の所得税法では、国内に住所を有し、又は現在まで引き継いで1年以上居所を有する個人、を居住者と定義していることから、一定の場合は、日本とフィリピンの双方で居住者の認定を受け、所得税が両国で二重に課税されることになります。

設立間もない製造子会社の立ち上げ支援などで、フィリピンの子会社等に派遣される場合、あるいは業務のために頻繁に出張する必要があり、結果としてその滞在日数の累計が180日に達する場合、この二重課税に該当するケースもあります。仮に、両国で居住者に該当する場合には、両国間で締結されている租税条約に基づき、いずれかの国でのみ居住者となります。

また、日本からの短期の出張や現地視察の場合などで、租税条約に定められる短期滞在者免税(日フィリピン租税条約第15条)の要件を満たす場合には、フィリピン側において所得税の申告納付する義務が免除されます。

[参考1]短期滞在者に対する人的役務所得(日フィリピン租税条約第15条)
租税条約においては、給与収入について、実際の勤務が行われている国でのみ課税されると記載されています。つまり、給与の発生源泉である勤務が行われていない場合には、給与収入に対してその国で課税が行われることはなく、実際の勤務地において課税されることになります。
日本からフィリピンに出張する場合、以下の3要件を満たす場合には、支払われる報酬又は給与に対してフィリピン側で課税がされません。
・滞在日数基準
→課税年度における滞在日数が183日を超えないこと
・給与支払地基準
→報酬又は給与が日本側で支払われていること
・給与負担基準
→報酬又は給与がフィリピン国内におけるPE等において負担されていないこと
ただし、この短期滞在者免税の規定については、通常の雇用契約に基づく従業員にのみ適用される規定で、法人の取締役など委任契約に基づく者に対しては適用されないため、注意が必要です。


[参考2]役員報酬にかかる課税(日フィリピン租税条約第16条)
給料等に関しては、原則としてその国において勤務が行われていない場合には、税金は課税されないこととされています。つまり、日本からフィリピンへ従業員が出向した場合、日本で勤務が行われない限り、日本側で課税問題が生じることはありません。
しかし、日本側の法人の役員がフィリピンに居住者として駐在する場合、もし日本の会社から役員としての報酬を得ている場合には、仮に日本側で非居住者であり、かつ、国内勤務が無い場合であっても、日本側において課税がされるため注意が必要です。

来週・再来週のブログではこの続きについて、またお話をさせて頂きます。
今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上

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付加給付税(Fringe Benefit Tax)について②

2012年09月10日 11時10分23秒 | フィリピンの税務

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

今週は先週に引き続き付加給付税(Fringe Benefit Tax)についてお話させて頂きます。

会社が、管理的な立場にある従業員(Managerial or Supervisory Position)に対して物品や役務を提供した場合には、個人所得税とは別に付加給付税が課されます。これに該当しない一般の従業員(rank and file employee)は、この付加給付税の対象外とされています。付加給付とは、雇用主から平社員以外の従業員に対して提供される物品やサービスなどをいい、金銭であるかどうかを問わず、経済的利益を供与するものです。

●課税標準
原則として、法定の評価額(先週のブログをご参照ください)を68%で除した額を課税標準とします。ただし、非居住者であり、かつフィリピン国内で業務に従事していない者に対する現物給与の場合は評価額を75%で除した額を課税標準とします。また、外国の石油サービス業者や下請会社、オフショア銀行、地域統括会社の従業員に対する現物給与の場合は評価額を85%で除した額を課税標準とします。

●税率
税率は原則32%ですが、経済特区(Special Economic Zones, including Subic Special Economic Zone)内で事業が行われている場合は、15%か25%の軽減税率が適用されます。また、非居住者であり、かつフィリピン国内で業務に従事していない者の場合は25%、外国の石油サービス業者や下請け会社、オフショア銀行、地域統括会社の従業員に対する現物給与の場合は15%が適用されます。

●申告納付
付加給付税は、四半期に一度、会社が源泉徴収して申告納付を行います。原則として、四半期末の翌月10日までに申告納付を行いますが、電子申告(E-filing)を採用している会社は、5日程度期限が延長されます。


対象期間 申告期限
第1四半期 1~3月 4月10日
第2四半期 4~6月 7月10日
第3四半期 7~9月 10月10日
第4四半期 10~12月 翌1月10日

【付加給付税の計算事例】
管理者である従業員Aに対して、メイド代として4,000ペソを支給した。この場合の付加給付税はいくらになるか?

この場合、メイド代は、本来は従業員Aが個人的に負担すべきものであると考えられ、付加給付税の対象となります。
課税標準の計算元となる評価額は、個人経費の立替であるから4,000ペソ全額が対象となります。課税標準額は、この評価額を68%で割り戻した額となりますので、以下のように計算されます。

課税標準額 = 4,000ペソ ÷ 68% = 5,882.35ペソ
この課税標準額に対して、税率32%を乗じた金額が、付加給付税の額となります。
付加給付税 = 5,882.35ペソ × 32% = 1,882.35ペソ
会社は、当該金額を源泉徴収したうえで、四半期ごとに申告納付を行います。

以上
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付加給付税(Fringe Benefit Tax)について①

2012年09月04日 09時00分00秒 | フィリピンの税務
こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

今週と次週は付加給付税(Fringe Benefit Tax)についてお話させて頂きます。

会社が、管理的な立場にある従業員(Managerial or Supervisory Position)に対して物品や役務を提供した場合には、個人所得税とは別に付加給付税が課されます。管理的な立場にある者とは、経営方針の策定にかかわる者、従業員の採用、解雇の権限を有する者、事業活動に対して経営者に助言する立場にある者と定義されています。これに該当しない一般の従業員(rank and file employee)は、この付加給付税の対象外とされています。

付加給付とは、雇用主から平社員以外の従業員に対して提供される物品やサービスなどをいい、金銭であるかどうかを問わず、経済的利益を供与するものです。付加給付税は事業主によって源泉徴収されて、課税関係が終了するFinal Tax課税であるため、個人所得税の対象となる課税所得には含まれません。

●付加給付税の源泉徴収額の決定までの流れ
付加給付税の源泉徴収税額を決めるには、まず評価額を算定します。次に評価額を一定の割合で除し、課税標準を求めます。そして課税標準に税率をかけたものが付加給付税の金額となります。

●付加給付税の対象となる評価額の算定
付加給付税の対象となるものには、車の提供や、私的な経費、メイドや運転手等の提供、生命保険及び損害保険等に対する現金支給額や現物支給が挙げられます。
現金で支給された場合には、その支給額が評価額となります。一方、現物で支給された場合の評価額は以下の表のように規定されています。



なお、私用の経費を事業主が負担している場合にはその総額が付加給付税の対象となりますが、毎月の給与に含まれる渡切の交際費や交通費は、対象とはなりません。その場合は、給与所得として個人所得税の課税対象として取り扱います。

次週はこの続きとして、課税、税率、申告納付についてお話させて頂きます。

以上
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IPP 2012

2012年09月03日 10時40分34秒 | フィリピンの投資環境・経済
こんにちは、フィリピン駐在員の井本です。

日本商工会議所からも報告されていますが、2012年投資優先計画(IPP)がアキノ大統領により承認されました。2012年の優先投資分野と2011年からの変更点を概観したいと思います。
まず、投資優先計画における13の優先投資分野は以下のとおりです。
1. 農業及び農業ビジネス、漁業
2. 創造産業、知的サービス
3. 造船
4. 大規模集合住宅建設
5. 鉄鋼
6. エネルギー
7. インフラストラクチャー
8. 研究開発
9. グリーンプロジェクト
10. 自動車(電気自動車含む)
11. 戦略的プロジェクト
12. 病院・医療サービス
13. 災害防止、緩和、復旧

今年から新たに加わった項目は、5.鉄鋼ならびに、12.病院・医療サービスです。
また、昨年からの大きな変更点も2つで、1つは、PPP(官民パートナーシップ)が独立項目から、7のインフラストラクチャーに含められるようになったこと、観光が削られていることです。(以上、フィリピン日本人商工会議所2012年No.297、p62参照)

これらの変更について、フィリピン政府としてはどのような思惑があるのでしょうか?アキノ大統領の演説が端的にまとめているので紹介します。
政府としては、職業機会の増加、社会的なサービス拡大、国際競争力の向上、気候変動に対しての対応強化、の4つに焦点をあてたいようです。なるほど、貧富格差が一向に縮まらない、また他アジアに比較した際に強みとなる若年労働者層をうまく活用したい、という背景から考えると納得がいくものです。いずれにせよ、外資を一定の産業に呼び込み、OFWとのバランスを取りたい考えがあり、上記のような産業に当てはまる企業様にとっては、英語の使える人材と政府からの優遇を受ける対象となります。ぜひ一考いただきたいと、駐在としては思います。

参考URL
http://www.philstar.com/Article.aspx?articleId=821629&publicationSubCategoryId=66

以上
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