東京コンサルティンググループ・メキシコブログ

毎週金曜日更新
メキシコへの進出をコンサルティングしている駐在員が、メキシコの旬な情報をお届けします。

Wiki-Investment

日本の親会社への利益の還流

2014年05月30日 | メキシコの税務

東京コンサルティングファーム
メキシコダイレクター
片瀬 陽平

 

皆さんこんにちは。東京コンサルティングファームの片瀬です。
いつも当ブログを見て頂きまして誠にありがとうございます。最近は少しバタバタしており、ブログの更新がままならなかったのですが、皆さんから「ブログ楽しみにしています。」「何で最近更新がないのですか。」と多くのお声を頂きました。本当にありがとうございます。 これはブログの更新をしなければならないと、再度気持ちを改めておりますので、今後は週一回の更新をご期待ください。

さて、今日は、メキシコに子会社を設置して活動している日系企業が、日本にある親会社に対し、メキシコで発生した利益を還流する場合のその方法と取扱いを確認したいと思います。

■子会社→親会社への還流

メキシコ子会社で生じた利益を日本親会社へ還流する場合、その方法としては、以下の2つの方法があります。(過少資本税制が存在するために、利息により還流する方法は記載しておりません。)

 ①配当により親会社へ還流する方法
 ②親会社との取引を通じて還流する方法

配当による還流が一番イメージできると思います。税引後の利益、つまり会社の留保分を親会社に還流するという事ですね。

[①配当により親会社へ還流する方法]
①の配当により還流を行う場合、メキシコ子会社からの配当金支払時における源泉税率は原則10%となります。日メキシコ租税条約では配当金支払時の源泉税率は、親会社への配当であれば5%(関係会社以外への配当15%)と規定されていますので、租税条約を適用し、有利な源泉税率により親会社への還流を行うこととなります。
2014年に行われた税制改正前は、メキシコ国内法の配当に係る源泉税率は0%であり、租税条約5%の源泉税率よりも有利でした。そのためプリザベーションクローズ(国内法が租税条約よりも有利な場合に、国内法を優先適用すること)により、0%の税率で親会社への還流を行っていましたが、税制改正により今後は租税条約の5%の源泉税率を適用することとなります。

なんと!!今回の2014年の税制改正で配当の源泉税率が変わってしまったのですね。利益の額に対して追加で5%の税金がかかるようになってしまいました。
また、日本側でも全てが益金不算入(2重課税の観点から収益とみなされないもの)とされる訳ではないようです。下記をご覧ください。

配当を受け取る日本側の親会社にとっては、配当は所得として、法人税の課税対象になります。しかし、外国子会社から受け取る配当については、配当額の95%部分を益金不算入とする「外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度」があります。適用を受けられる対象は、以下のとおりです。

 メキシコ1

これらを全て勘案して考えてみると、メキシコは法人所得税率30%、PTU(労働者への利益分配金)10%の合計40%の実効税率によって税金が課されてしまいます。そして更に5%の源泉税率と5%の益金算入(日本の実効税率は40%程度なので追加支払は2%程度の税額)・・・。
つまり、親会社の基に利益が届くころには、折角稼いだ利益の47%(30%+10%+5%+2%)が税金として消えてしまっているのです。

これでは親会社に利益を還流することなんてとても考えらません・・・

税金は払わなければならないものと言っても・・・・

そのために、税金が課される前に親会社に還流してしまおうと考えられたのが下記の「親会社との取引を通じて還流する方法」です。
具体的に説明すると、もし利益が100出た場合にこの100を親会社へ配当により還流するとなると、上記のとおり53しか親会社のもとには届きません。
100の利益が出そうな場合に、親会社との取引の額に、この100を乗せて支払う場合はどうでしょうか。
そうなのです、この100は費用となるために税金が課される前に親会社へ資金の還流を行うことができるのです。
つまり、100(利益)-100(親会社への支払)=0(実際の利益)×40%の実効税率=0(税額)
なんと!!メキシコに支払う税金は0で済んでしまいました。これが「親会社との取引を通じて利益を還流する方法」です。実際の利益の額を0にすることがポイントで、そうすることにより余計な税金を支払わなくてよくなります。

では実際の規定をみてみましょう。

[②親会社との取引を通じて還流する方法]
②の親会社との取引を通じて還流を行う場合、親会社に対しての経営指導料やシステムの使用料の対価、ロイヤルティなどの支払時に、通常は非居住者に対する源泉税率25%又は30%の税率が適用になります。
ただし、日メキシコ租税条約で10%の適用が認められており、国内法に比べて有利な租税条約の税率を適用することとなります。

国内法では25%又は30%の税率とされていますが、租税条約の10%(ロイヤルティや使用料等として還流する場合)が適用され実際の源泉税は10%で済みました。47%かかっていたものが10%になるだけでも儲けものです。
また、実際の売買契約の対価の額に計上した場合には、この10%の源泉税も無くなりますので、税金は発生しない事となります。
※説明の都合上、外国税額控除及び移転価格税制はここでは言及しません。もちろんこれらの規定の適用によってリスクはいかようにも変化しますので、考え方の整理のためにこのブログを利用して頂ければと思います。
 
この様に利益の還流スキーム1つとっても有利不利が明確に違ってきますので、思いこみは危険です。皆さん自身が正しいと思っているスキームよりも絶対に有利なスキームがあるはずと常に疑ってくだされば幸いです。
 
今後のグローバル社会で考えなければならないのは全体最適です。メキシコだけ良ければよいのではなく、グループ全体で一番利益を留保できるスキームを考えなければなりません。ただ、多くの企業が部分最適の視点を持ってビジネスを行っていますので、ここを今後変えていく必要がありそうです。
メキシコで頑張って一億稼ぐことはめちゃくちゃ大変ですが、全体の絵を描くだけで一億の利益を余分に留保することが可能かもしれません。まぁ、スキーム整えても実走が大変なんですけど・・・(笑)

さて、上記で出てきた外国税額控除と過少資本税制の規定の内容を以下に記載します。
簡単に言うと、外国税額控除はメキシコで利益に対する税金(上記の源泉税を含む)を支払って、日本でその利益に対して更に税金が課されないようにする規定です。つまり、上記のロイヤルティの10%を支払った場合には日本では全額ではありませんが、その部分は日本の税額から控除され、実際には源泉税を払っていないと同じになる規定なのです。
次に、過少資本税制とは、資本金の3倍以上を超える借入を行った場合には、その超える部分に対応する利息の支払いはメキシコでは損金(税務上の費用)として落ちません。そのために、大量に借り入れて利息で利益の額を調整することは規定されていて使えないのです。

下記は、もう少し詳しく書いているので是非参考としてください。
もし、疑問点やもっと詳しく話を聞きたい場合などは、㈱東京コンサルティングファームに問い合わせてもらえれば、私が直接回答しますのでよろしくお願いします。
URL:http://www.kuno-cpa.co.jp/tcf/

<参考>

■外国税額控除

■二重課税の排除

税金はヒト・モノ・カネの経営資源の移動又は消費(以下、「移動等」という)することに対して課されます。国際間の取引でも同様で、国際間において経営資源を移動等した場合に、それに伴う税金も国際間で発生し、そこに国際間での課税関係が生じることとなります。

ここで問題となってくるのが、その国際間での経営資源の移動等について課される税金が、それぞれの国の独自の考え(租税法)に基づいて課されることにあります。つまり、考え方の違いにより一つの取引において、二つの国で同時に課税される可能性があるのです。

このような二重課税を排除するため、各国の租税法において「外国税額控除」の規定が定められています。

外国税額控除とは、国外で得た所得に対して納付した税額を居住地国の税額から控除することにより、国際的な所得の二重課税を調整するための方法として定められた制度です。この場合に発生する外国税額は、例えば、国内法人の駐在員事務所などが納付した外国法人税や、取引先との間のロイヤルティや受取利息、配当などの支払時に源泉徴収される外国源泉所得税などがこれに該当します。
このような税額が発生した場合、所得の源泉地国と居住地国とで二重課税が起こるため、これを居住地国の税務申告において調整する規定です。

メキシコにおいて二重課税となるときは、外国税額控除の規定によりその二重部分の税額につきメキシコにおいて納付すべき法人税額を調整することになります。

外国税額控除の対象になる税金は、「所得に対する税金」となりますので、例えば、国内法人の支店等が納付した外国法人税や、取引先との間のロイヤルティや受取利息、配当などの支払時に源泉徴収される外国源泉所得税などがこれに該当し、付加価値税などの所得を課税対象としない税金については対象外となります。

 

■過少資本税制

2005年にメキシコにおいても過少資本税制が導入されました。

国外の関連会社に対する負債総額が、純資産金額の3倍を超過する場合には、当該超える部分の金額に対応する支払利息が損金不算入とされます。

ただし、以下の場合には、過少資本税制の対象外となります。

 ・インフラストラクチャーの戦略的発展の建造・運営・維持に係る債務の場合

 ・金融機関の場合

 ・税務当局との間で事前に価格の合意があった場合

メキシコ 税

 

【お知らせ】

私、片瀬がセミナー講師を務めさせていただきますので、是非、足を運んで頂ければと思います。

現地駐在員によるメキシコ進出セミナー開催

《東京》2014年8月11日(月) 開催!

時間:19:00~21:00 開場 18:30

会場

東京コンサルティンググループ 東京本社 オープンフロア
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビルディング7階
地図

費用2,000円

※当日個別の相談も承ります。詳しくは弊社までお問い合わせください。

参加ご希望の方は、下の問い合わせフォームよりお申込みください。

セミナー名には以下の通りご明記ください。
「メキシコ進出セミナー」(東京、8/11)

 

<新サービス登場>

                          

海外進出質問サービス


 




この記事をはてなブックマークに追加