東京コンサルティンググループ・メキシコブログ

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メキシコへの進出をコンサルティングしている駐在員が、メキシコの旬な情報をお届けします。

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メキシコにおけるCFOの必要性

2014年02月12日 | メキシコの会計

東京コンサルティングファーム

メキシコダイレクター

片瀬 陽平

 

皆さまこんにちは。東京コンサルティングファームの片瀬です。

いつも当ブログを見て頂きまして誠にありがとうございます。

 

今日はCFOについてお話をしたいと考えています。CFOとはチーフ・ファイナンシャル・オフィサーのことをいい、財務部門のトップを指します。新規でメキシコに進出したお客様の多くはメキシコの業務を拡大するために、その駐在員は営業畑の者から基本的には選ばれます。ただし、営業畑の方を現地事務所のトップとした際に問題となることがあるのです。それは何か?

 

会社には3つの大きな機能があります。

①営業

②技術

③管理

 

会社はこの3つの機能を満たすことによって組織としての形をなしているのです。そしてこの3つの機能を取りまとめている者が社長(CEO)なのです。

つまり、営業畑の方を現地事務所のトップとした際になぜ問題になることがあるのかと言うと、その現地事務所のトップが営業畑の仕事を続け、社長としての仕事がおろそかになり、現地事務所が組織としての形をなさなくなってしまうためです。特に管理部門(その中でも財務関係)を現地採用の者に任せるなどして問題となる場合が多くあります。

 

【CFO業務】

CFO業務と一口に言ってもその活動は多岐にわたります。そのためにCFOがまず何を目的として存在するのかを考えてみましょう。CFOは会社の財務部門の最高責任者を指すことは上述の通りですが、それでは会社の財務活動とはなんでしょうか。会社の財務活動、それは、「会社のキャッシュの最大化」を指します。つまり財務活動とは、会社のキャッシュフローと直結するのです。

 

それでは、次に、会社のキャッシュフローにインパクトを与える事象を見てみましょう。

①利益

②資金繰り

③投資

④税金

 

会社の財務活動を網羅的に把握するために有効なツールは、会社のキャッシュフロー計算書です。キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」の3種類に分かれています。キャッシュフロー計算書内で利用されている“財務活動”とは、協議の財務活動と捉えて頂き、上記の財務活動を広義の財務活動と捉えてください。

そのキャッシュフロー計算書からポイントとなるものをピックアップしたモノが上記の4つの要素となります。

 

<①利益について>

キャッシュの最大化を考えるに当たって最も重要な項目は利益の最大化です。現在の会計は発生主義を利用しているために、利益の額=キャッシュの額とはなりませんが、利益の最大化がキャッシュの最大化につながることは明らかです。

ただし、ここで考えなければならないことは、利益という概念についてです。会社は1年間の活動の結果として財務諸表を作成し、最終利益を算出します。つまり利益とはその1年間の活動の成果、言ってしまえば過去の成果でしかないのです。いくら過去の利益を分析しても、活動は変えられない。つまり利益額も変えられない。これが利益の実態なのです。

そのために我々が作らなければならないものは、会社の“未来の利益”です。では、この“未来の利益”とは何かを次は考えてみましょう。

“過去の利益”は財務諸表によって認識されます。そして“未来の利益”は事業計画によって認識されるのです。通常は5年程度の中期の事業計画を作成します。そして、この5年の事業計画の最初の1年が“来年度予算”となるのです(ローリング方式といいます。)。中小企業の多くは予算を今年度の何%UPと当期の結果から作成してしまいますが、メキシコでビジネスを始めるに当たって、まず考えなければならない事はメキシコで成功するか、否かについてです。先日、10年前からのインドの状況を書きました(1月末の記事を参照)が、インドと同じ様に競争に負けて帰ってくるのは中小企業なのです。

5年中期計画は定量的な目標だけではなく、定性的な目標も含んで作成します。この定性的な目標とは、会社の“理念”みたいなものです。この“理念”と具体的な“行動指針”等で中期事業計画の定性部分が構成されます。この定性的な目標がメキシコ人を縛る鎖になるのです。“我々は日本企業であり、お客さんも大半は日本企業、そのためにこの様に行動していきます”というように、ある程度具体的な行動指針が良いかと思います。

併せて定量的な目標も作成します。定量目標はある程度感覚的なものでも、まずは作成してみることが重要になってきます。そしてその定量目標を見返して、修正していくのです。定量目標を“修正しながら作成する”ことが私は重要だと思っています。リスクの把握、ポートフォリオの構築、原価管理、管理部門の集約、管理システムの集約など、考えなければならない事は多々あります。これらの考えなければならない事がなかなか一発では出てこないのです。そのためまずは定量目標を自分たちで作成してみて、そのレビューを専門家に頼むことも良いかもしれません。専門家は知識を持っている為にその定量目標の問題点をピックアップして修正してくれます。私はコンサルティング会社の顧問業務とは、この中期事業計画を共にしっかりと作り込んで、それを共に達成していくことこそ顧問業務だと考えています。

 

そして海外を考えた時に陥ってしまう罠は、“日本本社”、“メキシコ子会社”、“タイ子会社”、“ベトナム子会社”として全てを切り離して考えてしまうことです。ここを切り離してしまうと間接コストの削減ができません。海外に進出すると、そこに市場があり、売上が拡大するという事はもちろん重要なファクターですが、間接部門に対しても大きなメリットがあります。管理部門を集約させ、管理システムを集約させる。シンガポールやマレーシアにヘッドクオーターを設けてASEANのビジネスを行っている会社が多くありますが、これは軽課税国に利益を集約させる目的、管理部門を統合させてグループ全体の間接コストを削減する目的があります。ビジネスが小さいうちは間接コストも気にするほどでは無いですが、各国成長してくると間接コストを集約させようとしても、仕組みができてしまっているのでかなりの痛みとお金を伴ってしまいます。そのためにも進出初期段階で間接コストをどうするかを考える必要があります。特に、ERPパッケージ等のシステムの導入は後々変更することがかなり難しくなる部分ですので、進出初期段階で十分に検討する必要があります。

 

利益の最大化を考えるに当たり、収益の最大化、費用の最小化をそれぞれ考えなくてはなりませんが、共に親会社も含めたグループ全体として最適な方法を考える必要があります。

 

※ERP(Enterprise Resource Planning):グループ全体の管理、経営資源の有効活用、経営の効率化等を目的とした業務横断型のITシステム。SAPなどのERPパッケージが有名。

 

<その他の項目について>

“資金繰り”、“投資”、“税金”について、税金については、先週のブログで“移転価格税制~税務調査に負けるな~”ということで、その必要性について書かせていただいたので今回は割愛します。

“資金繰りについて”、上記の中期事業計画はキャッシュフローベースで評価できるものを作成する必要があります。基本的には、営業キャッシュフローで運転資金を確保できることが望ましいのですが、メキシコ進出当初は利益が出ないのでそれは難しく、親会社からの支援または銀行からの融資で対応することとなります。重要なのはお金が無くなったからといって、親会社に追加で資本を入れてもらうのではなく、この時点でお金が無くなる可能性があるからと、親会社に前前からアナウンスしておくということが大切になります。その後、ビジネスが回り始めると突発的な事象が起こらない限り、お金が急にショートするという事は無くなります。この突発的な事象が起こる可能性を把握して、そのリスクを潰していくこと、また、回収のサイトと払いのサイトを確認して(最初に決めて)、資金がショートすることがない仕組みを最初に作ることも大切です。

“投資”については、上記でも触れましたがERPパッケージ等の導入などがあります。投資の考えかたは、簡単に言うと“現在のキャッシュアウトフローよりも、将来のキャッシュインフロー又は将来のキャッシュアウトフローが大きいために投資をする”です(もちろん、ガバナンス・コンプライアンス強化等のための投資もありますが、未上場の中小企業にはガバナンス・コンプライアンスを強化しなかった場合のリスクが上場企業に比べ相当に低いので、私はそこまで気にする必要はないと考えています。気にするべくは、上記の間接コストおよび先週話した税金コストです。つまり直接的な現金支出。)

SAPやオラクルなどのERPはめちゃくちゃ高いというイメージがあると思いますが、最近では低価格のERP等も出てきていますので、まずは低価格のERPを確認し、将来の追加の管理コストと比較してみてください。

 

少し長くなりましたが、CFO業務をメキシコにいらっしゃる駐在員は行わなければなりません。特に営業畑出身の方は、部分的な絵を描くことは非常にうまいですが、グループ全体を含めた全体的な絵を描くことは少し苦手な方が多いのではという印象を私は持っています。メキシコを含め海外に駐在される方は、全体最適を考えた上での、海外での部分最適を考えていく必要があります。

 

全体的な絵の描き方、その下書きについても下記の無料相談会でお話しさせていただけますので、是非お気軽にご連絡頂ければと思います。お問い合わせの際に、何について詳しく聞きたいかを一言添えて頂ければ、私もメキシコから個別にご連絡、ご案内させていただく事も可能でございます。

 

【お知らせ】

2月の1月間の間、新宿本社においてメキシコビジネスに関する無料相談会を開催しようと考えています。メキシコの情報を日本で取ることはなかなかに難しく、そのため進出の検討段階ではお金をかけてメキシコに渡り現地の情報を集めるしか無いのが現状です。

当無料相談会の意義は、「日本にいながら現地の情報を集める」ことであり、お金をかけずに現地の情報を集めることができます。是非お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

<無料相談会>

日時       :2014年2月3日(月) ~2014年2月28日(金)

会場       :〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビル7F

会費       :無料

担当  :佐々木 亮介(USCPA)

時間  :1時間~2時間

申込方法:TEL/03-5369-2930 FAX/03-5369-2931 E-mail/f-info@kuno-cpa.co.jp

 

それでは、【今週の1枚】

 

私の家の洗面所の写真です(トイレとシャワーがついています)。キッチンもそうですが、洗面所も広いです。この様な洗面所がリビングに1つ、寝室に1つの計2つあります。

 

<新サービス登場>

                          

24時間以内にあらゆる国の海外進出に関するサービスを始めました。

詳しくはコチラ→リンクhttp://www.kuno-cpa.co.jp/qa/

 

 

 

 


 


移転価格税制~税務調査に負けるな!!

2014年02月07日 | メキシコの税務

 東京コンサルティングファーム

メキシコダイレクター

片瀬 陽平

 

皆さまこんにちは。東京コンサルティングファームの片瀬でございます。

いつも当ブログを見て頂きまして誠にありがとうございます。

 

【国際税務専門官】

皆さまは国際税務専門官という肩書を聞いたことはありますか?

近年、中小企業を含む日系企業の相次ぐ海外進出に伴い、日本の税務調査が大きく変わってきました。特に変わった点は、在外子会社の費用負担、移転価格、外国税額控除、などのいわゆる国際税務分野に関して大きくメスが入るようになりました。海外ビジネスを行っている会社には所轄の税務署以外から応援という形で国際税務専門官が来ることも多くなってきております。

現在は、国税の国際税務専門官以外からは、あまり大きく指摘されるという話は聞きませんが、それでも、その金額も件数も少しずつ多くなってきているのは紛れもない事実でございます。

今後は日本国内で税収の確保がますます難しくなりますので、それに伴い所得の海外流出を防ごうという動きはますます強まります。

海外ビジネスで下手な事をすると、全額寄附金として課税され、全額について追徴されてしまうので、ここではそうならないためのポイントを抑えることとします。

 

【寄附金と移転価格】

まず寄附金とされて全額否認されてしまうのは以下の様な場合です。


<寄附金課税>

当社の海外子会社は設立間もなく、子会社において損失を担保できるだけの能力が無いため、親会社において子会社の損失を負担している。


これを行ってしまい、税務調査の際に指摘される会社が非常に多いのが現実です。子会社が本来負担すべき金額を親会社が負担している場合には、当局は必ず指摘してくると考えた方が無難です。ここにいう子会社が本来負担すべき金額と言うのは、一概に言えるものではありませんが、感覚的に子会社が負担するべきかな?と思う金額は注意した方が良いと思います。

例えば、親会社の社員が主張で子会社の所在する国に行ったとします。その際に出張報告書に丁寧に活動内容を記載し、それを保存していたとしましょう。その出張報告書に記載された活動が“子会社の規模の拡大”等の子会社のための活動であれば、子会社支援として寄附金認定されてしまうというロジックです。親会社から行くのであれば全てを親会社の活動の一環とするか、子会社と親会社のビジネスとするようにしましょう。

 

なぜ寄附金課税とならないように対策を施すことが必要なのかと言うと、寄附金課税とは当該金額(全額であり100%課税)に対して課税をされ、その負担は非常に重いためです。100の金額を子会社のために負担していると認められた場合には100に対して約36%の税金がかかってしまうのです。


そのために、皆さまに考えてもらうことは下記の2つ。

①親会社の活動の一環とする理由づけをおこなう

②子会社と親会社のビジネスとする

①については、親会社の活動の一環とする為に、親会社の社内ポリシーを明確にする

※恣意性の介入を排除することによって明確な線引きができるようになる。

②については、子会社と親会社のビジネスとする為に、業務委託契約等を明確にする。この②について本日は解説致します。

子会社と親会社のビジネスとするだけで何が変わるのか?それは・・・

寄付金課税から移転価格課税へとその性質が変化するのです。これは凄く重要です。寄付金課税は、その性質上、親会社が負担した金額全額(100%)となってしまいます。ただし、移転価格課税にその性質が変化した場合には、強制的に0(寄付金課税)とされるのではなく、価格に対する評価になります。

具体的には、100で値付したものについて、寄付金課税とされるとその評価は0となりますが、移転価格税制による価格の評価は80かもしれませんし90かもしれません。仮に90と評価された場合には、差額の10に対して36%の税金がかかるのです。

 

ここでもう1つ重要な事を申しますと、

課税当局は我々のビジネスを絶対に否定することができないということです。彼らは我々がビジネスを行って利益を出しているからこそ税金を取ることができます。我々がビジネスをしなければ所得も発生せずに彼らは税金を取ることができません。そのため、ビジネスを辞めさせる様な発言は絶対にしてきません。寄附金はビジネスではないと指摘できるので、彼らは実のところ相当楽なのです。

 

また、ビジネスと理論づけてしてしまい、価格の問題としてしまうと、その妥当性の評価をすることは非常に難しいので、彼らのほとんどは指摘することを諦めてしまいます。

例えば100円で値付しました。90円で値付しました。どちらが正しい金額ですか?と問うたときに100円と自信を持って答えられる方はおそらくいないのではないでしょうか。それぐらい価格の妥当性を検証することは難しいのです。

 

そのため移転価格税制では基本的な価格の評価の方法を、第三者との比較による評価とすることを定めています。利益率が第三者と同様であれば正常なビジネスと判断されますが、利益率が第三者と比較して異常に高いような場合には、正常のビジネスとは判断されずに適正価格との差額について課税されることとなります。それでもあくまでも差額に対する課税です。

 

取引規模が増えてきた場合、

例えばメキシコでは年間の関係者間売上が1,300万ペソ(日本円で約1億円)を超える場合には移転価格のドキュメントの整備が必要になります。このドキュメントとは価格設定の根拠となるものであり、税務調査の際等には早急に提出することが求められます。提出できなかった場合等は、当局に指摘されるがままとなってしまうことも考えられますので、規模に応じて用意する様にしてください。日本でも移転価格のドキュメントの作成は義務付けられていますので、こちらも同様に規模に応じて用意する様にしてください。

 

また、事前確認(APAと呼ばれる)制度もありますので、取引規模が膨らんで移転価格によるリスクを排除したい場合には、当局との間で事前に価格のコンセンサスを取ってください。APAは特にメキシコでは相当時間がかかる様ですが・・・

 

ただし、マキラオペレーションを利用している会社は、移転価格の規定が改定されたためにこのAPAでの価格決定を余儀なくされる企業もあるかと思います。十分に注意することが必要です。

 

それではお知らせになります。

 

【お知らせ】

2月の1月間の間、新宿本社においてメキシコビジネスに関する無料相談会を開催しようと考えています。メキシコの情報を日本で取ることはなかなかに難しく、そのため進出の検討段階ではお金をかけてメキシコに渡り現地の情報を集めるしか無いのが現状です。

当無料相談会の意義は、「日本にいながら現地の情報を集める」ことであり、お金をかけずに現地の情報を集めることができます。是非お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

<無料相談会>

日時 :2014年2月3日(月) ~2014年2月28日(金)

会場 :〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビル7F

会費 :無料

担当 :佐々木 亮介(USCPA)

時間 :1時間~2時間

申込方法:TEL/03-5369-2930 FAX/03-5369-2931 

・メキシコ無料相談会の件とお伝えください

 

 

 

それでは、【今週の1枚】

 

アグアスカリエンテスの中心部にある教会です。写真に撮ると思うのですが、メキシコは空が非常に綺麗で広大です。あまり高い建物がないせいでしょうか。