東京コンサルティンググループ・メキシコブログ

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メキシコへの進出をコンサルティングしている駐在員が、メキシコの旬な情報をお届けします。

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インドとメキシコ、そして韓国と日本

2014年01月31日 | メキシコの投資環境・経済

東京コンサルティングファーム

メキシコダイレクター

片瀬 陽平

 

いつもチェックして頂きありがとうございます。メキシコ駐在員の片瀬でございます。

最近では、お客様からブログを読んでいるとの、お声も多くいただき、大変嬉しく思っております。少しでも良い内容を皆様に届けられればと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。 

メキシコは現在、日系自動車メーカーの進出に伴い、関連する自動車部品メーカー等の進出が非常に多くなっております。これら企業の進出はバヒオ地区(中央高原地区)に集中し、近年では年間100社前後の企業がメキシコに進出しています。この状況は、2014年中は続くものとみられ、特に2014年は中小企業のメキシコへの進出が非常に多くなるものと思います。 

この様な現状のメキシコ。今後進出する方たちに資する情報をいつもは意識して書いておりますが、今日は、いつもとは趣を変えて読み物として面白い物を作ろうと考えています。

 <インドとメキシコ、そして韓国と日本>

もう5年以上前になりますが当時のインドは、今のメキシコと非常に似て日系企業の進出ラッシュが起こっていました。家電メーカーおよび自動車メーカーを筆頭に、それに伴う部品メーカーもインドに積極的に進出をし、インドブームが起こっていたように思います。 

ただし、結果としてはこのインドブームに乗ってインドに進出した各種メーカーはことごとくインドでは成功できませんでした。日本の企業が進出に苦戦している間に、家電メーカーではサムスンとLGが、自動車メーカーでは現代自動車が大きくそのシェアを獲得しました。特に家電メーカーのサムスンとLGはインドの市場を「席巻」するまでに成長しました。 

彼らは何をしたのか。何をして「席巻」するまでにシェアを伸ばすことができたのか。それは以下のような小さな戦略の違いであったと言われています。 

「日本メーカーは性能がよく壊れないものを高価格で売り出し、韓国メーカーは性能があまり高くなく壊れる可能性があるものを、壊れたときの保証をつけて低価格で売り出した。」

この様な小さな戦略違いが大きな結果の違いにつながったと言われています。 

ここでメキシコの話を少しすると、メキシコにおいても家電はサムスンとLGが「席巻」しています。以前メキシコ人のマネージャーに、なぜサムスンとLGの家電製品を買うのか聞いたことがあります。すると彼はこの様に答えました。 

「かっこいいから」 

また、インドでも次の様な話があります。インドの大手自動車メーカータタ自動車が格安車ナノの販売を2008年に開始しました。車が1台20万円程度で買えるということで当時はかなりのニュースになったものと思います。

ただし、これが大失敗。同様にインド人のマネージャーに、なぜナノを買わないのか聞くと、すると彼はこの様に答えました。 

「かっこよくないから」 

消費者はまず、「買うか買わないの判断」をするのに企業は「買わないの判断」は取っ払って考えることが多いように思います。消費者が買う理由は、「かっこいいから」なのに。

世界では、サムスンとLGの製品は「かっこいい」と評価されているのです。そして「品質が良い」と評価されているのです。日本人の感覚は、はっきり言うと新興国の3代先を進んでいると思います。日本人にはみえる韓国製品と日本製品の差(最近はこの差もめっきり無くなってきましたが。)が、新興国の方たちには見えないのです。新興国の彼らからしてみるとどちらも同様に「かっこよく」て「品質が良い」のです。そして、日本製品はめちゃくちゃ価格が高いのです。 

私は思います。もはやサムスンには勝てないと。 

それは、「研究開発費と規模により」です。研究開発費は売上の拡大に貢献し、規模は間接費の削減に貢献します。研究開発費の額をみると、もはや製品の質で韓国に勝つことはできなくなっているのではと思います。

ただし、新興国の方たちの目からは同様に「かっこよく」て「品質が良い」、この状況は続いています。おそらく、今後品質で韓国製品に抜かれる日が来たとしても新興国の方たちにしばらくそれは分かりません。その間に日本企業は体力をつけて、再び研究開発に多額を投資し、規模を拡大し、現地に根付いた商売をする。 

新興国の方たちは価格が同じであれば絶対に日本製品を買ってくれます。新興国の方たちの心証は間違いなく、「韓国よりも日本が好き」です。これは本質であると思いますが、同様に「現状においては」であるとも思います。とにかく韓国は国のブランディングがめちゃくちゃうまいのです。 

日本人は全ての分野において世界に出なければなりません。「和食」が世界文化遺産になるのは1つ良い傾向ですが、文化だけを一人歩きさせてはなりません。大切なのは日本人が世界に出ることです。日本人が世界に出て、実際に現地の方とコミュニケーションをとり、互いに高めあい、時には喧嘩してと、地に根を張り活動しなければならないと私は考えています。

人は想像する生き物です。想像した人にとってはその想像したことが現実です。私は日本の素晴らしい文化を海外の方たちの勝手な想像の上に成り立たせてはいけないと考えています。 

LCCとは“Low Cost carrier”のことですが、最近では格安航空会社だけではなく、製造業においてもこの言葉が使われるようになってきました。製造業におけるLCCとは“Leading Competitive Countries”の略であり、世界を一つのマーケットと見てもっとも競争力のある国、地域から調達を行うことです。 

インドにおいてサムスンとLGが成功して、日本メーカーが成功できなかった理由はこのLCCへの移行がスムーズにできなかったためであると私は考えます。そして今後メキシコやその他の新興国において日本企業が成功するためにはLCCによる生産を真剣に考え、実践していかなければなりません。 

LCCを実践しなければ、世界で成功することは難しいのですが、LCCを実行しても新たなインパクトが副次的に発生してしまいます。これが今回のブログの一番伝えたかった部分です。 

これはインドで実際に起こった事ですが、大手メーカーやティア1規模のメーカーがインドに進出する際に、彼らはティア2、ティア3に声をかけ進出していました。最初の内は良かった。ただ、韓国メーカーの台頭により、インドでのビジネスが上手くいかないとわかると、彼らはLCCに段階的に移行していきました。 

LCC、LCCとは競争力のある国、地域からの調達です。そして、それは日本からではありませんでした。 

つまり自分たちが、ある種“進出させた”企業から現地企業への乗り換えが起こったのです。お互いにビジネスであるために仕方がないことではありますが、中小企業はインドに夢を膨らませて進出したのに、残ったのは負債だけという状況に陥りました。 

私は思うのです。中小企業が海外で成功するためには大手メーカーよりも先にLCCに移行しなければならないと。日本の素晴らしい技術・文化を現地人に理解させ、日本のIdentityを持った現地人の育成をしなければならないと。

LCCによるコスト削減で価格面をローカライズし、理念は日本の会社のそれにする。この様な会社ができれば絶対に現地の会社などには負けません。 

2014年は中小企業のメキシコ進出が非常に多くなります。幸いにもメキシコには韓国や中国の自動車メーカーは入ってきてはいません。すぐにインドと同じ様な状況に陥ることはないと思いますが、メキシコにおいても現状のまま永久に続くということもまた考え辛いのです。 

メキシコに限らず、日系企業の海外進出は今や小さな企業の社長からも話がくるようになりました。完全に海外進出ブームであると思います。そしてうまくいかない会社はいつも経験のない中小企業。

私は皆さんの予期せぬ事をなくすため、経験のない方たちでも同じフィールドで戦えるために、今後も発信を続けていきます。よろしくお願いいたします。 

次回からは、また、メキシコ国内の規定等を分かりやすくお伝えします。以下はお知らせとなります。ふるってご応募ください。

 【お知らせ】

2月の1月間の間、新宿本社においてメキシコビジネスに関する無料相談会を開催しようと考えています。メキシコの情報を日本で取ることはなかなかに難しく、そのため進出の検討段階ではお金をかけてメキシコに渡り現地の情報を集めるしか無いのが現状です。

当無料相談会の意義は、「日本にいながら現地の情報を集める」ことであり、お金をかけずに現地の情報を集めることができます。是非お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

<無料相談会>

日時       :2014年2月3日(月) ~2014年2月28日(金)

会場       :〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビル7F

会費       :無料

担当  :佐々木 亮介(USCPA)

時間  :1時間~2時間

申込方法:TEL/03-5369-2930 FAX/03-5369-2931 

・メキシコ無料相談会の件とお伝えください

 

 

 【今週の1枚】

 

今回はメキシコの図書館の写真を1枚。趣があり、この中で静かに本を読みたくなるような不思議な場所でした。


 


PTU~派遣社員へのPTU~

2014年01月23日 | メキシコの労務

東京コンサルティングファーム

メキシコダイレクター

片瀬 陽平

 

いつもチェックして頂きありがとうございます。メキシコ駐在員の片瀬でございます。

今日は以前にも簡単に書いたことがあるPTUについて、再度詳細に記載します。 

まずPTUについて簡単にご説明します。PTUとは従業員への利益の分配金をいい、メキシコでは国内で発生した税引前の利益の10%を従業員へ還元しなければならないと決められています。メキシコの法人税率は30%ですので10%のPTUを合計すると税率が40%となり、世界でも類をみないほどの高税率国となるのです。設立間もない企業等PTUを支払わなくても良い企業もありますが、基本的にメキシコの内国法人等は全てPTUを支払うことが必要となります。 

メキシコでは、2012年12月の労働法の改正によりPTUにメスが入りました。具体的には、2012年12月前までは同資本で派遣会社を作り、直接的な雇用契約を無くすことによってPTUを回避することが可能でした。そのために多くの企業は派遣会社を利用したPTUの回避スキームを利用していました。そこへ労働法の改正です。2012年12月前までは直接的な雇用関係がない場合にはPTUを支払う必要が無かったのに、改正により実質的に雇用していると認められる場合にはPTUを支払うべきとされてしまったのです。 

同資本での派遣会社を使ったスキームは実質的に雇用していると考えられるために、そのスキームを利用することは難しいと考えられます(アンパロ等により今後どうなるかは正直分かりませんが)。 

では別資本での派遣会社を使ってPTUを回避することは可能なのかを今日は考えてみました。これが可能であれば、役員はPTUを支払う義務がないために日本からの駐在員は全て役員にして、現地で働いてもらう方たちは全て派遣会社から賄うというスキームを使うことができます。 

まず、労働法127条にPTUの対象者が記載されているのですが、書き方が曖昧なためにこれだけを読むのであれば、別資本の派遣会社であってもPTUの対象となると考えた方が良いと思います。 

その上で以下の部分を検討して本当に別会社であってもPTUを支払う必要があるのかを深く読み説いていきます。

【検討材料】

①当該条文の立法趣旨
②派遣社員の意義
③労働者保護

①当該条文の立法趣旨について
昨年の労働法改正の趣旨は、特段明記はされていませんが、派遣ダミー会社を利用した税逃れを取り締まるためにできたことは明確です。そのために客観的に税逃れであることが認められない場合には、立法趣旨からは派遣社員に対してPTUを支払わなかったとしても問題は無いと考えることもできます。

②派遣社員の意義について
次に派遣社員の意義について考えてみます。派遣社員とは、その他の一般的な社員と同一の職務であってはならずに、全体に従事させることは許されず、部分補完的な意味合いとされています。まぁ、凄く曖昧なのですが・・・。つまりこの派遣社員の意義を満たさなければそもそもが直接的な雇用関係があるとみなされるものと考えられてしまいます。

③労働者保護について
メキシコは労働者保護の観点が非常に強い国です。そのため労働者に関する法令における解釈において疑義が生じた場合(裁判等において解釈による判断となった場合)には、労働者保護の観点から労働者に最も有利な解釈がなされます。

以上の事から総合的に考えると上記の「日本からの駐在員は役員、現地の人員は派遣社員」によるPTUの回避は少し難しいものとも考えられます。(これを行うのであれば、派遣社員で賄うことのビジネス上の意義を明確にする必要があります。・・・まぁ、派遣でなければならないビジネス上の意義を作るのは凄くむずかしいですが。)

一部の派遣社員に対してPTUを支払うべきかについては、上記より保守的に考えるのであれば支払うべきであると考えますが、支払わない場合でも、労働者が不満を持たないようにすれば良いのかと思います。例えばPTUの原資外でボーナス等を支払うなどです。ただし派遣社員が不満を持って訴えを起こした場合には負ける可能性が往々にしてありますので注意が必要です。 

ただ、未だPTUについてはグレイ部分が多く、一概にこうだとは言えない部分が多いのが実情です。メキシコは上記でお伝えしたとおり、労働者保護の観点が非常に強い国ですので、従業員を雇い、利益が出た後に、PTUの対策をすることはおそらくできません。そのため新規で進出を検討されている企業は事前にPTUについて確認し、せめてグレイ部分の白黒はっきりつくまでは何かしらの対策をする等は必要になると考えます。

PTUについては以上となりますが、皆さまには、ここで一つご案内があります。 


【ご案内】 

2月の一ヶ月間、新宿本社においてメキシコビジネスに関する無料相談会を開催しようと考えています。メキシコの情報を日本で取ることはなかなかに難しく、そのため進出の検討段階ではお金をかけてメキシコに渡り現地の情報を集めるしか無いのが現状です。

当無料相談会の意義は、「日本にいながら現地の情報を集める」ことであり、お金をかけずに現地の情報を集めることができます。是非お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

<無料相談会>

日時       :2014年2月3日(月) ~2014年2月28日(金)

会場       :〒160-0022 東京都新宿区新宿2-5-3 AMビル7F

相談料   :無料

担当コンサルタント  :佐々木 亮介(USCPA)

時間  :1時間~2時間

申込方法:電話・FAXもしくは問い合わせフォームにて、ご予約を受け付けします。

 

 TEL/03-5369-2930  FAX/03-5369-2931 

・メキシコ無料相談会の件とお伝えください

 

 

・メキシコ無料相談会予約希望とご明記ください。

 

【今週の1枚】

今回はアグアスカリエンテス空港の写真を一枚。

DFからアグアスカリエンテスまでは流石に飛行機で行きます。所要時間は1時間程度なので東京から大阪ぐらいの距離ですね。最近はメキシコでも格安航空会社等が出てきており、選ぶ航空会社によってはチケット代に結構な差が出てしまいますのでご注意ください。

 


マネーロンダリング関連法~新設法~

2014年01月10日 | メキシコの法務

新年明けましておめでとうございます。メキシコ駐在員の片瀬でございます。

昨年は私のメキシコブログを度々チェックして頂きまして誠にありがとうございます。今年も皆さまにとって有用な情報を発信してまいりますので今後ともよろしくお願いいたします。

本日のお話しは昨年にメキシコで新たに設置されましたマネーロンダリング関連法についてのご案内です。話が分かりやすいように私がマーケティングを行う会社をメキシコに設立したという前提で進めていきます。

私は昨年メキシコ国内にマーケティング会社を設立し、取引を開始しました。当初の取引額は僅少であったため特段マネーロンダリング関連法の対象にはなりませんでしたが、当期に入り取引額が飛躍的に伸びそうであるために、予めマネーロンダリング関連法の取り扱いを考えようと思っています。

さて、マネーロンダリング関連法を考えるに当たって考えるべきことは以下の4点です。
<POINT>
①業種
②対象取引
③取引金額
④脆弱性の判断

【①業種】
マネーロンダリング関連法において対象となる業種が列挙されています。当社はマーケティング業であるためにマネーロンダリング関連法の対象業種に該当します。

【②対象取引】
マネーロンダリング関連法の対象となる取引は、現金による取引だけではなく、銀行間取引、小切手の振り出し等を含んだ全ての金融取引が対象となります。

【③取引金額】
マネーロンダリング関連法では対象となる取引の金額について、業種ごとに最低賃金の何倍の倍率であるかがそれぞれ定められています。具体的な例としては、当社はマーケティング会社であるために取引金額が次の金額を超える場合には、マネーロンダリング関連法の対象となります。
<対象金額>
62.33ペソ(最低賃金)×6,420倍(マーケティング業の倍率)=400,158ペソ
当該400,158ペソを超える取引についてはマネーロンダリング関連法の対象となります。

【④脆弱性の判断】
会社によってマネーロンダリングをする可能性は異なります。マネーロンダリング関連法においてはその異なる可能性を示す脆弱性の判断はSATが行うと定めています。そのために会社によって求められる資料のレベルが違うことが考えられます。

これら4つのポイントを認識した上でマネーロンダリング関連法の対象となるかの判断をします。当社は取引の拡大によって報酬が400,158ペソを超えるためにマネーロンダリング関連法に従った手続きを行わなくてはなりません。

当該関連法に従った手続きとは、自身の登録資料(自信のアイデンティティを確認できる資料とされ、RFCなど)および相手の登録資料(同様にRFCなど)の提出をいいます。なお当該提出資料については、提出後5年間の保存をようすることになります。

以前はインフォーマル経済に対してはIDEと言われる税金がありましたが、当該税金は現金での取引を規制し、企業の経済活動を不自由にしていました。そのため当該税制改正によってIDEが廃止され、新たにマネーロンダリング関連法が新設されました。

ただしマネーロンダリング関連法は違反した場合のペナルティなど未だに見えにくい部分がありますので、今後も継続して注視していく必要があります。

【今週の1枚】


メキシコの長距離バスです。我々の事務所はメキシコシティにありますが、グアナファトぐらいまでであれば長距離バスを利用します。3列シートでかなり快適です。また、車内にはネット環境も完備されておりメールチェック等も行うことができます。さすがにアグアスカリエンテスまでであれば飛行機で行きますが、バスの方が快適であると個人的には思っています。