東京コンサルティンググループ・メキシコブログ

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メキシコへの進出をコンサルティングしている駐在員が、メキシコの旬な情報をお届けします。

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賞与に対する源泉徴収について

2018年09月03日 | メキシコの税務

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコでの賞与に対する源泉徴収について記載します。

 

 

質問)

 先日、夏のボーナスということでメキシコ現地法人から賞与を受けとりました。日本では、賞与に対しても社会保険料と個人所得税が源泉徴収されますが、会社から支給された賞与の明細を見たところ、社会保険料が源泉徴収されていなかったようです。会社の担当者に確認したところ、「賞与は社会保険料の対象ではない」という回答をえましたが、その他にも、メキシコでの賞与支給において日本での賞与支給と異なる点はあるのでしょうか。

 

 

回答)

 今回、ご質問いただいたメキシコと日本の賞与支給における違いは、社会保険料の対象になるのか、という点と源泉徴収する個人所得税額の計算方法ではないでしょうか。

 

【社会保険料】

質問にも記載いただいたように、メキシコの社会保険料の計算は「基本給与」に基づいて算出されるため、今回のような「賞与」は社会保険料の算定には影響を与えません。

 

【個人所得税】

 ご存知の通り、日本では給与と賞与によって源泉徴収時の計算方法は異なります。

 簡単にいえば、給与が「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて計算されるのに対して、賞与は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に基づいて源泉徴収する金額が求められます。そのため、同額を支給したとしても源泉徴収される金額は異なってきます。

 一方、メキシコにおいては、課税対象となる範囲において、給与と賞与に対して算出される源泉徴収の金額に変わりはありません(賞与に対しては一部非課税になります)。

 

メキシコにおいて個人に対する所得は、メキシコ所得税法(LISR:LEY DEL IMPUESTO SOBRE LA RENTA)152条に基づいて計算されており、月次の源泉徴収額は、下記の年間の数値を12分割して、該当月までの累計額を求め、その数値に当てはまるカテゴリーに基づいて実施されます。

以下は、LISR152条に基づいた8月までの累計額を表にしたものです。

 

<LISR152条に基づいた8月までの累計額>

 

 

例えば、給与所得が5,000.00MXN/月だった場合、

暦年で1月までの給与所得総額は5,000.00MXN 、2月までの給与所得総額は10,000.00MXN、、、、、、となり、8月時点では40,000MXNとなるため、10.88%の税率となります。

しかし、同月に賞与(30,000MXN)が生じたとした場合、

40,000MXN+30,000MXN=70,000MXNとして16.00%分の源泉徴収をしなければならなくなるのです。

 

 

黒岩洋一 

 

 

 



税務上における固定資産の減価償却の方法について

2018年08月27日 | メキシコの税務

こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの田村彩紀です。

今週は、税務上における固定資産の減価償却の方法に関して記載をいたします。

 

 

質問)

 減価償却の処理方法について、メキシコでは会計上と税務上で異なるということを聞きました。具体的にどのような違いがあるのか、教えていただけますでしょうか。

 

回答)

ご認識の通り、メキシコでは、減価償却の処理方法に関して、会計上と税務上でことなります。

<会計上>

取得原価 × 法定償却率

<税務上>

取得原価 × 法定償却率 × インフレ調整係数

という違いがございます。

 

今回は、税務上の減価償却の処理方法の詳細を見ていきたいと思います。詳細は、所得税法(LEY DEL IMPUESTO SOBRE LA RENTA)の第31-35条に記載されております。なお、所得税法上、減価償却の処理は、固定資産の使用を開始した年度あるいは翌年度から処理を施すことができるとされております。

まずはじめに、『取得原価』の部分について、ご説明をいたします。

取得原価には、資産そのもの価格のだけでなく、その資産を取得するため、または、輸入の際に払った税(付加価値税を除く)や手数料、郵送費、保険、通関業者への支払いなども含まれます。また、メキシコでは、残存価格による規定がないため、残存価格は0となります。ただし、所得税法第31条より、減価償却を経て、価値が0となってしまった場合、損金不算入の1ペソを帳簿上に残す必要があるとされています。

 

次に、『法定償却率』の部分についてとなりますが、所得税法の34、35条に記載があり、

固定資産の種類や利用用途によって法定償却率がことなります。

下記、主要な資産の法定償却率のみ記載をいたします。

 

資産

法定償却率

建物

5%

事務所備品

10%

通信機器

10%

自動車、トラック、トレーラー

25%

パソコン、プリンター

30%

 

 

最後に『インフレ調整係数』についてご説明をいたします。所得税法第 31 条により、税務上の減価償却において、インフレ調整を年度末に行う必要があるとされております。

インフレ調整係数は、以下のように計算をいたします。

なお、他の事項で取り扱うインフレ調整係数とは異なるため、税務上の減価償却の計算におけるインフレ調整係数と考えていただければと存じます。

 

インフレ係数 =

☆の記載基づいた月の全国消費者物価指数 / 固定資産取得月の全国消費者物価指数

☆固定資産を取得した月から損金処理を行う年度で固定資産が使用された期間の前半の最終月。当該年度において固定資産の使用期間の月数が奇数である場合、その期間の中間に当たる月の直前の月を同期間の前半の最終月といたします。☆

 

下記に具体例を記載いたします。

例1)7月に取得した場合(当該年度は1月-12月とする。)

7月、8月、9月、10月、11月、12月

前半(7月、8月、9月)の最終月は9月となるため、

インフレ係数 = 9月の全国消費者物価指数 / 7月の全国消費者物価指数

 

例 2)6月に取得した場合(当該年度は1月-12月とする。)

6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月

固定資産の試用期間の月数が奇数であり中間にあたる9月の直前の月は8月となるため、

インフレ係数 = 8月の全国消費者物価指数 / 6月の全国消費者物価指数

以上、税務上の固定資産の減価償却方法となります。

 

 

田村彩紀

 

 

 

 



個人オーナーに対する家賃の支払いについて

2018年08月27日 | メキシコの税務

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコでの個人オーナーに対する家賃の支払いについて記載します。

 

 

質問)

個人のオーナーから事務所を借りたのですが、実際にFACTURAを受け取った際の家賃の金額が、先方から聞いていた金額と異なっていました。

オーナーに抗議をしたのですが、「実際に約束した金額が支払金額になっているので間違っていない」としか言いません。確かにFACTURAの内容を確認したところ、所得税などが源泉徴収された後の金額は約束通りの金額となっていますが、源泉徴収される前の金額は約束の金額よりも多くなってしまいます。そもそもなぜ、源泉徴収されているのでそうか。また、メキシコでの家賃額とは税金等を控除した後のことを言うのでしょうか。

 

 

回答)

 まず、今回の質問でポイントとなるのは、以下の2点です。

 

①  貸主(オーナー)が個人であり、借主が法人である。

②  オーナーの言う家賃額が、Gross(源泉前)額なのかNet(源泉後)額なのか。

 

 

①  貸主(オーナー)が個人であり、借主が法人である

今回のように、個人からの役務(サービス)提供に対する支払を実施する場合、

メキシコではサービスを受けた側(今回であれば借主)がISR(所得税)やIVA(付加価値税)を源泉して相手に対して支払いをし、その源泉したISRやIVAをSAT(メキシコ国税庁)へ申告納付する義務があります。

一方で、FACTURAの発行元としても、源泉を記載したFACTURAを発行しなければなりません。

 

 

②  オーナーの言う家賃額が、総額(源泉前)なのか純額(源泉後)なのか

今回のケースで最もポイントになるところは、

「オーナーの言う家賃額(70,900MXN)とはどれをさすのか」という点かと思われます。

 

私たちの考える家賃額とは、一般的に総額であり、会計処理上も源泉前の総額を家賃額として認識します。

 

しかし、オーナーが自分に直接支払われる金額を家賃と言っていた場合、上記①で説明しているように、それは源泉後の金額であるため、会計上の家賃額は「支払額 + 源泉分(源泉ISR+源泉IVA)- IVA」の金額となります。

 

 

この考え方は、給与額を総額(税金等を控除する前)で見るのか。それとも、純額(税金等を控除した後)で見るのかと同じです。

 

こちらとしては「税金等控除前」の総額を考えていたが、本人は「税引等控除後」の純額を話していたというケースが良くあります。そのため、事前に総額なのか、純額なのかを確認しておく必要があります。

 

黒岩洋一

 

 

 



交際費ならびに出張費の処理方法について

2018年08月20日 | メキシコの税務

こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの田村彩紀です。

今週は、交際費ならびに出張費の処理方法に関して記載をいたします。

 

 

質問)

交際費に関して質問をさせてください。弊社ではお客様へ贈答品をお渡ししたり、慶弔に関わる出費がございます。また、交際費としての食事の費用やゴルフの接待に関わる費用はどのように処理されるのでしょうか。

 

回答)

交際費に関しまして、こちらは、所得税法(LEY DEL IMPUESTO SOBRE LA RENTA)に、処理方法(損金算入・損金不算入)の記載がございます。

所得税法の第28条によると、交際費のうち、食事は、レストランで支払ったうちの、91.5%が損金不算入となります。また、同じ食事でも、バーでの食事の場合、100%、損金不算入となります。交際費に限らずではございますが、レストランでの支払いの際、クレジットカードやデビットカードなどの電子振込のみ、損金算入とすることが可能で、現金での支払いの場合、全額、損金不算入となります。

また、交際費のうち、贈答品や娯楽、その他類似の性質の支出は全額損金不算入とされております。特段、ゴルフという記載はございませんが、娯楽のうちの一つと考えていただければと存じます。

 

 

なお、交際費と同条に記載されている、出張費についても、簡単に記載をさせていただきます。

<食費>

国内:一日当たり、そして一人あたり750 MXNまで損金算入可能

国外:一日当たり、そして一人当たり1,500 MXNまで損金算入可能

 

<車のレンタル>

国内:一日当たり、850.00 MXNまで損金算入可能

国外:一日当たり、850.00 MXNまで損金算入可能

 

<宿泊費>

国内:条文での明記なし。よって全額損金算入可能と考えられます。

国外:一日当たり、3,850.00 MXNまで損金算入可能

 

以上が所得税法に基づく交際費や出張費の決まり事となります。

実務面を考えますと、所得税法の条文だけをみても判断がつきにくい場合がございます。

より具体的な事例で、どのような処理を行えばよいのか判断が難しい場合は、弊社にて内容を確認させていただき、処理方法について弊社の見解をお伝えすることは可能となりますので、ご相談いただけますと幸いです。

 

田村彩紀

 

 

 

 



メキシコの法人所得税の仮払納付に関する利益係数について

2018年08月13日 | メキシコの税務

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの渡辺 寛です。

今週はメキシコの法人所得税の仮納付に関する利益係数をご紹介します。

 

 

質問)

前年度において課税所得が、発生した場合、翌年度から法人所得税(ISR)の仮納付が月次で必要という事は、下記のブログから理解致しました。

https://blog.goo.ne.jp/tcg-mexico/e/0334d028c556d85d649a8c44333a23a9

 

今回、弊社は前年度において、損失となっており課税所得はないのですが、今年度においても仮納付が発生しております。

これはどういった理由なのでしょうか。

 

回答)

一度、課税所得が発生し仮納付のために計算された利益係数は、それ以降の年度で課税所得が発生しなかった場合でも5年間は適用されることとなるためです。

例えば2018年で課税所得が発生した場合、翌年度の2019年では2018年度の利益係数が使用されます。そして2019年において、利益が発生しなかった場合でも、2020年の利益係数(CU)は、0にはならず、2018年度の利益係数がそのまま使用されることとなります。

 

これについては、メキシコ法人所得税(LISR)14条第1項で下記の様に述べられている。

 

法人所得税14条

I.  申告を行った、あるいは、行うべきであった12ヶ月からなる直前年度に対する利益係数を算出する。かかる目的のために、利益係数を算出する年度税務上利益を、同年度名目所得で除する。

 本法第94条第II項規定に基づいて前金または運用益を分配する法人、利益係数を算出する年度において、同項規定に従い、従業員に分配した前金および運用益額を、場合に応じて、税務上利益 に合算する、または税務上損失から差し引くもとする。

 会計年度2年目場合、初回予定納税当該年度1ヶ月目、2ヶ月目および3ヶ月目を含むものとし、 たとえ初年度が12ヶ月間に満たなくても初年度税務上利益係数が考慮される。

 12ヶ月からなる直前年度において、本項定めに従って算出した利益係数にならなかった場合、利益 係数に合致した12ヶ月からなる過去年度の利益係数が適用される。ただし、その年度予定納税を実行する年度よりも5年以上前であってはならない。

 

Ley del Impuesto Sobre la Renta

Artículo 14. Los contribuyentes efectuarán pagos provisionales mensuales a cuenta del impuesto del ejercicio, a más tardar el día 17 del mes inmediato posterior a aquél al que corresponda el pago, conforme a las bases que a continuación se señalan:

 

I. Se calculará el coeficiente de utilidad correspondiente al último ejercicio de doce meses por el que se hubiera o debió haberse presentado declaración. Para este efecto, la utilidad fiscal del ejercicio por el que se calcule el coeficiente, se dividirá entre los ingresos nominales del mismo ejercicio.

 

 Las personas morales que distribuyan anticipos o rendimientos en los términos de la fracción II del artículo 94 de esta Ley, adicionarán a la utilidad fiscal o reducirán de la pérdida fiscal, según corresponda, el monto de los anticipos y rendimientos que, en su caso, hubieran distribuido a sus miembros en los términos de la fracción mencionada, en el ejercicio por el que se calcule el coeficiente.

 

 Tratándose del segundo ejercicio fiscal, el primer pago provisional comprenderá el primero, el segundo y el tercer mes del ejercicio, y se considerará el coeficiente de utilidad fiscal del primer ejercicio, aun cuando no hubiera sido de doce meses.

 

 Cuando en el último ejercicio de doce meses no resulte coeficiente de utilidad conforme a lo dispuesto en esta fracción, se aplicará el correspondiente al último ejercicio de doce meses por el que se tenga dicho coeficiente, sin que ese ejercicio sea anterior en más de cinco años a aquél por el que se deban efectuar los pagos provisionales.

 

渡辺 寛