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中国における増資

2013年01月28日 13時56分26秒 | 中国の投資環境・経済
こんにちは、中国・上海の田中勇です。

前回は、親会社からの融資手続きについてお話しました。今回は増資手続きについてお話します。近年、増資を検討する企業が多く見受けられます。理由としては、親子ローンにおける規制が厳しくなっていることが主な原因です。(親子ローンの規定については、前回のブログをご参照願います)

しかしながら、増資においても親子ローン手続き以上に注意すべきことが多くあります。
増資の手続きについて、注意すべきことは①手続き手順②総投資額の計算方法③処理期間です。

まずは、①手続き手順ですが、増資のプロセスは以下の通りです。
1. 株主決定・董事会決議
2. 商務委員会の承認
3. 外貨管理局の認可
4. 資本金払込
5. 融資報告書の発行
6. 営業許可証の変更
7. 各種登記変更手続き

増資手続きは、会社設立とほぼ同一の手続きが必要になります。
1. においては、親会社等の株主の承認を得て、董事会の決議を行います。合弁企業の場合、董事会においては、満場一致の決議が必要です。(合資企業法実施条例第33条・合作企業法実施細則第29条)
2. においては、工商行政管理局での登記変更及び仮営業許可証を得ます。増資前後それぞれの定款・合弁契約書、FS(フィージビリティスダディ)等の書類提出が求められます。
3. においては、外債枠の変更をします。詳細は下記にてご説明します。
4. においては、分割で払い込む場合は、一旦増資額の20%以上を払い込み、残りの80%は2年以内に振り込む必要があります。
5. においては、注冊会計師(中国の公認会計士)に出資金を払い込んだことを証明する融資報告書を発行してもらいます。
6. においては、工商行政管理局にて正規の営業許可書を得ます。融資報告書等の提出が求められます。
7. においては、取引銀行・税務局などしかるべき機関で再度登記の変更手続きをします。

次に、②総投資額の計算方法ですが、増資により増加する総投資総額は、登録資本の増加額を基準として計算します。増加後の登録資本額が基準ではないことに注意を要します。例えば、当初、総投資額3,000万USD・登録資本1,500万USDで設立した企業が、400万USDの増資した場合は、最大総投資額の増加額は、800万USDです。
計算式:400万USD÷50%(投資総額に対する登録資本金の最低比率の規定より)
したがって、この企業の最大総投資額は3,800万USD(当初3,000+増資分800)となります。

最後に、③処理期間ですが、すべてが順調に処理できれば、約3か月でできます。2. が約1か月、3. が1営業日、4. ・5. が約2週間、6. が約1週間、7. が約1か月かかります。しかしながら、中国の増資処理については、トラブルが多いため、実際は3か月以上かかります。理由としては、融資と異なり申請・認可機関が多く、それぞれの担当官とのトラブルが発生しやすいからです。特に投資の場合は、中国当局の外資企業誘致ノルマに関わってきますので、担当官の都合で処理が延長されることもあります。さらに、合弁等で持ち分比率が変わる場合、増資資本の資本構成をどのようにするかなどで審査機関の理解が得られず処理が止まるという事例が多発しております。いずれにせよ、増資においては余裕を持ったプラン作成が肝要です。

※これらの手続きは上海における手続きを前提にお話しております。場所によって異なる場合がありますので、ご注意願います。

以上です。

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中国における親子ローン

2013年01月21日 13時30分07秒 | 中国の会計
こんにちは、中国・上海の田中勇です。

中国では、いよいよ新しい会計年度が始まりました。(中国は12月決算のため)現在、多くの企業が、2、3月に開かれる年度決算董事会に向け、今年度以降の事業計画を作成しているのではないでしょうか。そして、その事業計画の中で、増資・融資を検討されている企業もいらしゃるかと思います。本日は、最も一般的な資金調達方法である親会社からの融資手続きについてお話します。

親会社からの融資手続きについて、注意すべことは主に①手続き手順②親子ローンの借入限度額です。

まず、①手続き手順についてですが、親子ローンのプロセスは以下の通りです。
1. ローン契約の締結
2. 外債登記
3. 外債専用口座の開設
4. 借入金の振込実行
5. 借入金の人民元転(必要な場合)
6. 借入金の利息・源泉所得税等の支払い

1、2においては、1ローン契約の締結後、15日以内に外債登記の申請をする必要があります。3においては、外債登記証とその他必要書類を銀行に提出し、外債専用口座を開設します。この外債専用口座は使い回しできず、親会社からローンを受ける都度、開設する必要があります。5においては人民元転の実行が申請から約1か月かかりますので、親子ローンを決定した段階で早めに申請することをお勧めします。6の借入金の利息の支払いにおいて、利息は企業が自由に決定可能ですが、中外債借入業務金利(国人民銀行公布)を基に決定することをお勧めします。源泉所得税の支払いにおいては、企業所得税(10%)、営業税(5%)および税付加税の税金が発生します。また、資金が使用可能なまでの手続き実行期間(1~5)は、外債登記が2週間、外債専用口座の開設が1週間ほどかかりますので、約1か月程度かかります。

次に、②親子ローンの借入限度額ですが、中国における外資企業は、中国国外から借り入れる場合、投注差(外債枠:登記上の「総投資額」と「登録資本金」の差額)の範囲内でのみ借入が認められます[中外合資企業の登録資本金と総投資の比率に関する暫定規定]。また、投資総額の大きさによって、投資総額に対する登録資本金の最低比率・金額が定められております。

【登録資本金と総投資額の比率】
総投資額登録資本金/
総投資額
登録資本金の
最低必要額
300万ドル以下70%以上
300万超~1,000万ドル50%%以上301万~420万ドルの場合は210万ドル以上
1,000万超~3,000万ドル40%以上1,001万~1,250万ドルの場合は500万ドル以上
3,000万ドル超3分の1以上3,001万~3,600万ドルの場合は1,200万ドル以上
さらに、返済期間(ローン実行から返済までの期間)が1年以内(短期外債)の場合は、返済すれば投注差は復活しますが、返済期間が1年を超える(中長期外債)場合は、投注差は減少したままで、復活することはありません。したがって、繰り返し、親子ローンを受ける予定がある中国子会社は、一年以内のローンを組むようにする必要があります。これは、仮に当初の契約が1年以内の債務であっても、支払い遅延等で結果的に1年以上の債務になった場合でも、中長期外債として扱われますので、注意が必要です。

ちなみに、この登録資本金と総投資額の比率は、もともと外資企業による設備の免税輸入を制限していたルールでした。以前、外資企業は総投資の枠内であれば、設備・原材料を免税輸入可能でした。(現在はプロジェクト、輸入するもの等によって扱いが異なります)ここで、際限のない免税輸入を防止するために、一定の出資義務を強制していたのです。このルールが外債管理弁法[国家発展計画・財政部・国家外貨管理局令第28号:2003年施行]により、海外からの借り入れにも適用されるようになりました。

以上です。

参考文献
ジェトロ:http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/law/currency_loan.html
LTコンサルティング:http://www.lt-shanghai.com/jp/new/Article/UploadFiles/huibao/88-20110630.pdf
七十七銀行:http://www.77bank.co.jp/pdf/kokusai/shanghaidayori_201201.pdf
東京都民銀行:http://www.tomin-bc.com.cn/topics/address/100.html
TMチャイナドットコム:http://www.tm-china88.com/category/1562443.html
チェイスチャイナ:http://www.explore.ne.jp/business/cc/article.php?article=6015
みずほ:http://www.mizuhocbk.co.jp/fin_info/overseas/cndb/report/branches/express/express/pdf/R419-0158-XF-0701.pdf
水野真澄の中国ビジネスコンサルティング:http://www.mizuno-ch.com/modules/gaikakanri/3.php

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一般納税人 VS 小規模納税人

2013年01月07日 16時04分02秒 | 中国の税務
こんにちは、中国・上海の田中勇です。

本日は、増値税における一般納税人と小規模納税人について、お話しします。

事業活動において、コストを抑える手段は多くあります。その手法のうちで最も手っ取り早くコストを抑えることができるものが、税金コストであると我々は考えております。なぜなら、税金コストは税金の知識さえあれば、比較的容易に抑えることが可能だからです。中国において、その税金コストの中でもよく話題に上がる項目が増値税です。

増値税の納税者は、一般納税人と小規模納税人で区分管理されております。さらに、それぞれ、資格要件・増値税計算方法・増値税発票発行方法等が異なります。資格要件については、サービス業の会社の場合、年間課税売上高が500万元以上の会社は一般納税人を選択しなければいけませんが、年間課税売上額が500万元未満であれば、一般納税人と小規模納税人どちらかを選択することが実質的に可能です(ただし、一般納税人を選択するには、製造企業50万元・商業企業80万元の年間課税売上高があること、会計処理体制が健全であること、適切な税務資料の提出が可能であることが必要です)。したがって、一般納税人と小規模納税人で自由に選択できる企業は、それぞれのメリット・デメリットを認識し、適切なシミュレーションを行った上で、最終的なコストを抑えることができるのかを検討することが重要なのです。一般納税人と小規模納税人のそれぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

一般納税人
メリット
・売上に係る増値税(売上税額)から仕入に係る増値税(仕入税額)を控除できる
・増値税の発票を自社発行できる
デメリット
・税率が高い(原則17%)
・増値税発票発行の専用機械を購入する必要がある(ただし、機械の購入金額を仕入増値税額として控除可能)

小規模納税人
メリット
・税率が低い(3%)
・増値税発票発行のための専用機械を購入する必要がない
デメリット
・売上税額から仕入税額を控除できない
・売上増値税の発票を発行するには、発行の都度税務局に依頼しなければいけない。

一般納税人と小規模納税人のメリット・デメリットを比較してみると、仕入税額が売上税額に対して比較的多い場合は一般納税人を選択し、一方、仕入税額が売上税額に対して比較的少ない場合は小規模納税人を選択するのが、有利になることが多いです。
例えば、①売り上げが年間100万元、仕入額が85万元の会社②売り上げが年間100万元、仕入額が10万元の会社があったとします。すると、増値税の計算は以下のようになります。
※売上=課税売上、仕入=課税仕入として計算しております。

【一般納税人と小規模納税人におけるそれぞれの増値税の計算】


以上のように、税金の規定を正しく理解することで、税金コストは簡単に確実に抑えることが可能です。それぞれ会社の状況によって、有利・不利が異なります。適切なシミュレーションをおこない、どのような会計処理を行うかを選択することをお勧めします。

参照規定:
・増値税暫定条例・同実施細則
・増値税一般納税人資格管理弁法(国家税務総局令[2010]22号)
・増値税一般納税人の指導期間に関する管理弁法(国税発[2010]40号)
・国家税務総局 北京等8省市に対する営業税から増値税への改革試行にかかわる増値税一般納税人認定に関する公告(国税[2012]38号)

以上です。
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